太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

止めて欲しい現物展示

2019-02-02 09:27:31 | 日記

日欧経済連繋協定(EPA)が発効された。早速TVはワインやチーズの関税が下がるニュースを伝えた。関税がかけられた時の輸入品まで値下げ販売する大手スーパーのセールが紹介され、お客さんもワインを何本も買いながら嬉しそうにコメントをしている微笑ましい限りである。そもそも関税分が安くなったからワインを買おうという客が居るのも驚きだ。ワインほど値段の差が激しい商品も珍しいが、味の差など一向に分からないこちらはどうでもよいのだが。若しかしたら老眼鏡を掛けて製造年とか産地のラベルまで読まないのがそもそも興味が湧かない理由かも知れない。いや超有名ソムリエが格付け番組でスーパーの格安品と高給ワインの試飲で味分けられなかったことも影響している。

大変酒好きの上司と海外出張した事がある。名門の出で大変上品な人であった。機内でワインが配られ、赤白どちらをと尋ねられ、両方と答えて何倍も両方飲んだ。良くどちらが好きかと問われる場面があるが、氏は沢山飲んだら差なんか分からないよ。機内でワインの銘柄など訊ねている者が居るが素人だね。君が肉なら赤、魚なら白と覚えているのと差はない。高給かどうかは雰囲気で決る。ここは機内サービスだよ、と。それが全く嫌みがなくさらりと聞こえる。やはり育ちは適わない。隣では皮つきバナナを器用にナイフとフォークで捌きながら食べている人が居た。この人の育ちは分からなかった。フランス貴族の出ではなさそうだった。

EPA発効のニュースで有名和牛ブランド、所謂××ビーフと言われる生産者が綺麗なブロックを傍らに輸出拡大の意欲をコメントしている。背景の牛舎ではその和牛らしき牛が耳に鑑札をつけて一生懸命餌を食べている。おまけにその後は可愛い子ブタが乳を貪っている有名ポークの話だ。使用前、後くらいの差がありニュースを見た人はどちらに気がそそられるか。ああこの牛や豚もと思ったら美味い肉など想像するのは悪魔のグルメである。止めて欲しい、特に動物食材の生前の姿を同時に流すのは。グルメ番組でも、牛舎や豚舎、あるいは鶏舎を訪ねて、いやーっ美味しそうとコメントするのは流石のバカキャラタレントでも言わない筈だ。

モンゴルの片田舎のソム(村)で夕食に招待された時である。ラーメンの寸胴みたいな鍋で解体した羊の料理が出たことがある。彼らにとっては貴重な放牧羊である。調理法はいたって簡単、茹でるだけである。調味料は一摘みの塩、でも彼らにとっては大変なご馳走である。大きな皿に盛られてその肉が出て来る。大きなナイフを渡されてさあ食えと勧められる。見ると骨付きの肉やら、腸はほぼ原形、目玉まである。匂いは想像を絶する。骨を取って僅かに肉を削いで食べていると、目玉を指してこれは目に良いから食べろという。最後は寸胴の上に溜まった真っ黒い灰汁を大きな酒盃に注いで、今日は脂を沢山摂ったが、これは消化に良いから飲めという。こちらは招待されているし長老の勧めを断ることなど出来ない。30年くらい前のナスDのようなものだ。

魚の活造りで尾頭つき、あるいはまだピクピク動いているものを外人に、新鮮だからと薦めるのは、牛舎の前で新鮮だからと肉を勧めるのと近い感覚かも知れない。食べ慣れ、飲み慣れている物がやはり美味しい。ワインもチーズも大人になって覚えた味である。EPAの恩恵は程遠い。