キマグレ競馬・備忘録

競馬、MLB、スポーツ観戦、趣味など気になる事を書いています。

本「立花隆 最後に語り伝えたいこと」

2024年05月22日 | Book
2015年に行われた立花隆による長崎大学での講演と、作家大江健三郎氏との1992年の対談を再構成した本。
前半は、被爆者、核の脅威について。これからこの体験をどう伝えていくか、自分の経験も含めて語る。後半は、大江健三郎氏との対話。約30年前のソ連崩壊の頃の対談だが、その後の環境問題や人口減、移民、格差の問題、戦争の話について語っており、2人の先見の明を感じた。
立花隆は、若者に対して、有効性を求めすぎてはいけないこと(コスパ,タイパの風潮)、大衆運動は99.9%は負け戦であり負け続けても継続こそ力であり、自分の意思を持ち続けることが大事という。またメディアに対しては、視覚メディアと言語メディアでは性格が違うこと。言葉のメディアは、心情的に深いところに届く。視覚のメディアは一瞬で情報を伝えるが、深いレベルで理解するためにはデータなどで二重三重に補足しないと良質な情報にはならない。写真は、言葉と組み合わせて初めて伝達力を持つこと。情報伝達の難しさを感じていると言う。
最後に、保坂正康さんの解説、回想記は興味深かった。 昭和史に焦点を当てて文筆活動をする保坂さんと森羅万象について好奇心旺盛な立花隆とは、同じノンフィクション作家で方向性が全く違うけれど、出来事の真髄を知りたいという欲求は共通している。同年代の盟友として、共感する部分が多かったのだろう。二人には若い頃から接点がありその話も面白かった。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日の音楽:メドウィン・グ... | トップ | 今週は、ダービー~傾向分析 »
最新の画像もっと見る

Book」カテゴリの最新記事