ニッポンの小説 高橋源一郎著
「日本の小説に対する根源的な問いについて。文学とは何か、小説とは何か、言葉とは、意味とは。」
世の中には数多くの小説があって、いろいろな読まれ方がされているが、現代の小説は真剣に向き合って読まれるものではないらしい。雑誌の片隅にひっそりと掲載され、気が付かないような小説もある。小説のテーマとして、よく「死」が取り上げられる。子供は「死ぬと何も残らない」と認識していて、その意味をよく知っている。しかし大人になるにつれ、「死」は意味を持ち、小説の中には死んだ人が様々な形で登場する。(記憶の中だったり、スピリチャルな形だったり) 大人の世界における「死」は、生きている人に影響を与える。大人はそう考えるというのは面白い考察だった。
また文脈の繋がりの無い素人小説の事例や昔の小説家が書いた文章が、現代の読者には、いかに無意味なものかという面白い事例を挙げている。言葉にしても時代背景にしても、共感できるものが無くなると小説は読まれなくなる。
とにかく小説の本質が、この100年でどのように変化してきたかを、様々な事例を挙げて著者の考えを述べていますが、正直、面白いけれどやや読みにくかった。著者がこの本で言いたかったことが、自分には少ししか理解できなかった。また日を改めて読み返してみたいと思う。