今日も安定した晴天に恵まれました。小学校の子どもたちも元気いっぱいに走り回ったり、勉強したりしていました。
そんな中で今日は音楽の時間があったのですが、その時にベートーヴェンの《メヌエット》を鑑賞することになりました。それで、何かの拍子で私が話すことになって少しだけベートーヴェンについて話したのですが、最後に
「因みに今日は
ベートーヴェンの誕生日なんですよ。」
と付け加えたら
「えぇ〜っ!?」
と大騒ぎになってしまいました。
余計なこと言っちゃった…と後悔したのですが、次の瞬間子どもたちが
「♪ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデー ディア ベートーヴェ〜ン、ハッピーバースデートゥーユー、おめでと〜う👏!!」
と大合唱しました。これには担任の先生も含めて全員で大笑いになり、結果的に和やかな雰囲気で授業を終えることができました。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)は1770年の今日、ドイツのボンで生まれました。その後の生涯や活躍については、改めてここでつらつら書くことでもないかと思います。
若い頃のベートーヴェンは、作曲家と共にピアニストとして名を馳せていました。そして、生涯に32曲のピアノソナタを残していますが、今日はその中から記念すべき第1番のソナタをご紹介しようと思います。
《ピアノソナタ第1番 ヘ短調 作品2-1》は、ベートーヴェンが22歳の1795年に完成させた作品です。
1792年11月、ベートーヴェンはフランツ・ヨーゼフ・ハイドンに師事するために故郷のボンを離れて音楽の都ウィーンへ赴きました。しかし、当時多忙を極めていたハイドンがベートーヴェンに施した指導は決して期待に応えるものではなかったようで、後にベートーヴェンは
「ハイドンからは何も学ぶところはなかった」
とさえ口にするようになりました。その後、ハイドンの門下を飛び出したベートーヴェンはヨハン・ゲオルク・アルブレヒツベルガーやアントニオ・サリエリらに師事しましたが、1795年にハイドンがイギリスへの演奏旅行から帰国すると、同年に完成した3曲のピアノソナタをかつての師に献呈しました。この3曲が作品2としてまとめられ、翌1796年にウィーンのアルタリアから出版されました。
この第1番のソナタは劇的、悲劇的に書かれていて、《悲愴》や《熱情》といった後の時代の作風を強く予感させる内容となっています。♭が4つも並ぶヘ短調という調性を採用した背景には、自作の曲を演奏するピアニストとして聴衆により強い印象を残そうというベートーヴェンの野心が窺われます。
そんなわけで、今日はベートーヴェンの《ピアノソナタ第1番 ヘ短調 作品2-1》を、フォルテピアノによる演奏でお聴きいただきたいと思います。若きベートーヴェンの野心みなぎる力作を、作曲当初を彷彿とさせる古楽器の響きでお楽しみください。