今日は朝から強い雨が降り頻る、生憎の空模様となりました。私は全く分からないのですが、こういう日は花粉も飛んでいないようで、いつもより世の中のマスク率が低いようにも感じられます。
さて今日はたまプラーザの教室に出勤する前に、赤坂のサントリーホールに来ました。先月も来ましたが、今日もこちらで開催されるパイプオルガンのランチタイム無料コンサートを聴きに来ました。
今回の演奏者は冨田一樹さんという日本人の方でした。先月はバッハからロマン派まで多彩でしたが、今回はブクステフーデをはじめとした中期ドイツバロックの作品が採り上げられました。
オープニングは北ドイツのリューベックで活躍し、バッハやヘンデルの先駆けとなった中期ドイツバロックの巨匠ディートリヒ・ブクステフーデの《チャッコーナ ハ短調》です。チャッコーナ(シャコンヌ)は緩やかに繰り返す低音の上に旋律を紡いていく変奏曲です。ブクステフーデは華やかな曲調が特徴的ですが、この曲ではペダルの低音の上に、時にのどかに、時に細やかに歌われる旋律が魅力的な作品です。実は我が家にあるブクステフーデのオルガン作品集のCDの1曲目がこのチャッコーナなので、個人的に非常に馴染み深いものでした。
次はリューベックの隣のハンブルクで活躍したハインリヒ・シャイデマンの《ファンタジア ト長調》です。ファンタジア(幻想曲)ならではの自由な旋律線の中にも、洗練された豊かな対位法音楽が展開される作品です。
次はハンブルクに程近いリューネブルクという街で活躍し、若きバッハにも影響を与えたゲオルグ・ベームのコラールです。その名も《天に在す我等が神よ》。バッハも数々のオルガンコラールを作曲しましたが、ベームのこの作品はその先駆とも云うべき、如何にもルター派教会における代表的な祈りに用いられる音楽に基づいた、美しい旋律の装飾コラールです。
今回のプログラムで唯一のオランダ人であるヤン・ピーテルスゾーン・スヴェーリンクは、オランダのオルガニストながら北ドイツ・オルガン楽派の育成に最も貢献した人物と言っても過言ではありません。半音階を多用する静謐な作風は、独特の世界観を形成して聴くものの心を捉えます。今回は《トッカータ イ短調》が演奏されました。半音階的な要素はあまりありませんが実に簡素にまとめられていて、北ドイツ地方に点在する素朴なオルガンの音を想起させる静かな作品でした。
最後は再びブクステフーデの《プレリュード ニ長調》です。もう「This is Buxtehude!」と言いたくなるような、華やかな旋律が次から次へと紡ぎ出されていく作品です。まるで北ドイツの長い冬を耐えた人々が春を迎えた喜びを爆発させているような明るさに満ち満ちた音楽は、聴いているだけで幸せな気持ちになります。大団円は大オルガンならではのフルスエルで結ばれました。こちらも我が家のCDに収められている曲でしたので、個人的に非常に馴染み深いものでした。
演奏後、居合わせた観衆から惜しみない拍手が贈られ、
オルガニストも、それに応えていました。
オルガニスト自身もリューベックで学んでいたということもあって、ブクステフーデをはじめとする北ドイツ・オルガン楽派の作品で固められた今回のプログラムは実に面白いものでした。スヴェーリンクを演奏するにはこちらのオルガンは大き過ぎたかも知れませんが、ブクステフーデにはうってつけの規模で、独特の音の厚みを堪能することが出来ました。
今日紹介された彼等の作品がやがてバッハやヘンデルといった後期バロックの作曲家に受け継がれ、更に昇華していくという歴史の流れが垣間見える素敵なコンサートでした。こうしたコンサートを通じて、彼等の作品がもっと演奏されるようになることを願って止みません。
さて今日はたまプラーザの教室に出勤する前に、赤坂のサントリーホールに来ました。先月も来ましたが、今日もこちらで開催されるパイプオルガンのランチタイム無料コンサートを聴きに来ました。
今回の演奏者は冨田一樹さんという日本人の方でした。先月はバッハからロマン派まで多彩でしたが、今回はブクステフーデをはじめとした中期ドイツバロックの作品が採り上げられました。
オープニングは北ドイツのリューベックで活躍し、バッハやヘンデルの先駆けとなった中期ドイツバロックの巨匠ディートリヒ・ブクステフーデの《チャッコーナ ハ短調》です。チャッコーナ(シャコンヌ)は緩やかに繰り返す低音の上に旋律を紡いていく変奏曲です。ブクステフーデは華やかな曲調が特徴的ですが、この曲ではペダルの低音の上に、時にのどかに、時に細やかに歌われる旋律が魅力的な作品です。実は我が家にあるブクステフーデのオルガン作品集のCDの1曲目がこのチャッコーナなので、個人的に非常に馴染み深いものでした。
次はリューベックの隣のハンブルクで活躍したハインリヒ・シャイデマンの《ファンタジア ト長調》です。ファンタジア(幻想曲)ならではの自由な旋律線の中にも、洗練された豊かな対位法音楽が展開される作品です。
次はハンブルクに程近いリューネブルクという街で活躍し、若きバッハにも影響を与えたゲオルグ・ベームのコラールです。その名も《天に在す我等が神よ》。バッハも数々のオルガンコラールを作曲しましたが、ベームのこの作品はその先駆とも云うべき、如何にもルター派教会における代表的な祈りに用いられる音楽に基づいた、美しい旋律の装飾コラールです。
今回のプログラムで唯一のオランダ人であるヤン・ピーテルスゾーン・スヴェーリンクは、オランダのオルガニストながら北ドイツ・オルガン楽派の育成に最も貢献した人物と言っても過言ではありません。半音階を多用する静謐な作風は、独特の世界観を形成して聴くものの心を捉えます。今回は《トッカータ イ短調》が演奏されました。半音階的な要素はあまりありませんが実に簡素にまとめられていて、北ドイツ地方に点在する素朴なオルガンの音を想起させる静かな作品でした。
最後は再びブクステフーデの《プレリュード ニ長調》です。もう「This is Buxtehude!」と言いたくなるような、華やかな旋律が次から次へと紡ぎ出されていく作品です。まるで北ドイツの長い冬を耐えた人々が春を迎えた喜びを爆発させているような明るさに満ち満ちた音楽は、聴いているだけで幸せな気持ちになります。大団円は大オルガンならではのフルスエルで結ばれました。こちらも我が家のCDに収められている曲でしたので、個人的に非常に馴染み深いものでした。
演奏後、居合わせた観衆から惜しみない拍手が贈られ、
オルガニストも、それに応えていました。
オルガニスト自身もリューベックで学んでいたということもあって、ブクステフーデをはじめとする北ドイツ・オルガン楽派の作品で固められた今回のプログラムは実に面白いものでした。スヴェーリンクを演奏するにはこちらのオルガンは大き過ぎたかも知れませんが、ブクステフーデにはうってつけの規模で、独特の音の厚みを堪能することが出来ました。
今日紹介された彼等の作品がやがてバッハやヘンデルといった後期バロックの作曲家に受け継がれ、更に昇華していくという歴史の流れが垣間見える素敵なコンサートでした。こうしたコンサートを通じて、彼等の作品がもっと演奏されるようになることを願って止みません。