共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

『まち』なのか『ちょう』なのか

2023年11月30日 18時00分00秒 | 日記
今日は、勤務先とは別の小学校の放課後子ども教室の日でした。今日は参加者が少なめだったのですが、それでも宿題をしたり工作をしたりして楽しく過ごしてもらえました。

《里の秋》を歌って子どもたちを下校させてから、小田原駅まで歩いて行きました。その道すがらに



『大工町』と書かれた石柱が立っています。

私が10代まで住んでいた茨城県の水戸市にも、『大工町』という区割りがありました。水戸や小田原をはじめとした城下町というところは一定の職業を一つの区画に固めて住まわせる傾向があり、大工町や寺町といった地名が現在でも残っているところが見受けられます。

水戸では『大工町=だいくまち』と読んでいたので、私は何の疑いもなく『だいくまち』だと思っていました。ところが、何気なく近くを確認してみたら





どうやら『だいくちょう』と読むのが正解らしいということに気づいたのです。

つい慣れ親しんだ呼び方で読んでしまいがちですが、何事もきちんと確認してみないといけないな…と、改めて思わされました。もう数十年小田原に通っていますが、まだまだ知らないことだらけです。

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ヒヤヒヤ彫刻刀タイムと最後の『さつまいもと洋梨のパイ』@横浜あざみ野《雫ノ香珈琲》

2023年11月29日 19時10分19秒 | カフェ
今日も比較的暖かな陽気となりました。ただ、そんな穏やかな陽気とは裏腹に、支援級ではいろいろと大変なことがありました。

特に大変だったのが、高学年の図工の授業でした。今は版画に取り組んでいるのですが、彫刻刀の扱い方が危なっかしくて怖いのです。

彫刻刀を使う際には、刃の進む方向に手を置かないことが絶対条件です。しかし、支援級の子は作業そのものに夢中になり過ぎるあまり、『刃の進行方向に手を置かない』という約束をすぐに忘れてしまうのです。 

作業を見ている私は当然のように注意するのですが、しばらくするとまた同じことをやりだします。そこでまた注意するのですが、そうすると向こうも段々と意地になってきて言うことを聞かなくなってくるので大変なのです。

そんな子と格闘しながらどうにか授業を終えて下校させてから、横浜あざみ野の音楽教室に移動しました。そして、いつものように《雫ノ香珈琲》に立ち寄りました。

明日木曜日が定休日で明後日から12月に入るため、実質今日で11月メニューが終了することになります。なので今日は、周年記念特別メニューの『さつまいもと洋梨のパイ』をオーダーすることにしました。 

香ばしく焼き上がるパイの香りに期待値が高まる中、登場したのは



いつとよりさつまいもや生クリームやナッツやさつまいもチップスがマシマシの一皿でした(笑)。これだけモリモリだと、いつも以上に食べ応えがあります。

今日は



同じく周年記念特別メニューのブルーマウンテンブレンドと共に、美味しく堪能しました。さつまいもと洋梨という組み合わせを考案したメニューは天才的で、終わってしまうのが惜しまれるくらいです。

次にこちらに来る時には、もう12月です。またメニューが一新しているでしょうから、今から楽しみです。

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大盛況!イガ栗ース

2023年11月28日 19時15分25秒 | 日記
今日は放課後子ども教室のある日でした。今日まで11月ということで、ギリギリちょっと秋らしい工作をしてみることにしました。

それが



これです。これはイガ栗をモチーフにしたリース、その名も『イガ栗ース』です。

栗の部分は、折り紙を何度か折ると出来る簡単なものです。イガ栗の部分は、紙コップの側面をハサミで切り刻んで放射状に広げたものです。

サンプルとして作ったものなのでいたってシンプルですが、子どもたちに作らせた時には栗に顔を描かせたりイガ栗部分に好きな色を塗らせたりしました。最後にはトップにあたる部分に空けた穴にキラキラモールを差し込んで吊り輪にし、引っ掛けて飾れるようにしました。

子どもたちはワイワイ言いながら、思い思いのイガ栗ースを作り上げていました。かつて支援級の図工の授業でやったもののアレンジだったのですが、支援級の子どもたちでも出来上げられる手軽さがよかったのかも知れません。

裏方としては、この紙コップを切り開く作業がものすごく大変でした。何しろ45名分の紙コップを準備しなければならなかったので、切り終えた頃には右手や首がガチガチになってしまったほどでした…。

それでも、子どもたちが嬉しそうにイガ栗ースを持ち帰っていく姿を見て

『大変だったけどやってよかったな…』

と思えました。今日は風呂場で、右手を存分に労ってやろうと思います。

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仕込みに追われております…

2023年11月27日 18時45分10秒 | 日記
今日は、比較的暖かな陽気となりました。そんな中、私は自宅でシコシコと放課後子ども教室の工作の仕込みをしていました。

今週金曜日には師走になる、ということはクリスマスが近い、ということで、子どもたちにクリスマスリースを作らせる企画が立ち上がっています。何人かの大人で作業を分担しているのですが、私は折り紙で



リースにつけるリボンを作っています。

このリボン、折り紙一枚で作ることができ、仕上がりもかなり可愛らしいものとなっています。とりあえず放課後子ども教室に在籍している事の数を確保しようと量産体制をしいた結果



はい、山盛りになりました(汗)。

このリボンの作り方を紹介した動画を転載してみました。簡単にできるので、是非試してみてください。


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さすがの東急ハンズ

2023年11月26日 19時30分10秒 | 日記
今日は、いつぞやぶりの厳しい寒さとなりました。11℃という最高気温はつい先日の最低気温なわけですが、そんなに一気に急降下されると面食らいます。

さむさに滅法強い自覚のある私も、今日はさすがに真冬の上着をひっぱり出しました。本当は師走に入るまでは着るのを避けたかったのですが、そんな悠長なことは言っていられません。

さて、今日は用事があって



町田の東急ハンズに行きました。様々な誘惑をかい潜りながら買ってきたのは、



このカッターとカッティングボードです。

来月の放課後子ども教室の工作に向けて紙を円く切れるカッターを探していたのですが、文具コーナーのカッター売り場をいくら探してみてもありませんでした。ちょっと焦りつつサービスカウンターに聞きに行くと  

「あぁ、それなら工具売り場ですね。」

と言われて案内され、



無事にみつけることができました。

それにしても、私が探していたものが『文具』ではなく『工具』だったことに驚きました(汗)。これを何に使うのかについては、また後日に…。

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未明の訃報に〜ハイドン《弦楽四重奏曲第79番 ニ長調 作品76-5》より第2楽章『ラルゴ・カンタービレ・エ・メスト』

2023年11月25日 13時35分10秒 | 音楽
今朝早く、衝撃的な知らせが舞いこみました。昔からよくしてくださっている方の御母堂様の訃報でした。

その御母堂様とは毎年お正月にその方のご自宅にお邪魔する度にお目にかかり、いろいろと楽しいお話をさせていただいていました。以前から手術と入退院を繰り返しておられるとのことで容態が心配されましたが、今日未明にご逝去されたとのことでした。

大変お元気に受け答えをされる御母堂様で、昔のことも気さくにお話してくださいました。また次のお正月にも楽しくお話をさせていただければ…と思っていましたが、それも叶わぬこととなってしまったことが悔やまれてなりません。

訃報というものは、いつも突然です。心の準備など到底できるはずもなく、そのことがいやでも悲しみを増幅させていきます。

せめて今は亡母様の御霊に向けて、ヨーゼフ・ハイドンの《弦楽四重奏曲第79番 ニ長調 作品76-5》から、第2楽章『ラルゴ・カンタービレ・エ・メスト』を送らせていただきます。イザイ弦楽四重奏団の演奏で、嬰ヘ長調という抑制された響きの中に流れるハイドンの優しい悲しみをお聴きいただきたいと思います。

ここに改めて、故人の御冥福を御祈念申し上げます。合掌。


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糖分補給に小田原みかんスイーツ

2023年11月24日 19時15分10秒 | スイーツ
今日は忘れることなく、きちんと小学校に出勤することができました(当たり前だ)。今日は低学年の子どもたちの授業で、いろいろな人たちに遊んでもらうためのオモチャ作りをしたのですが、上手くいったところもあればそうでないところもあって大騒ぎでした。

今日は授業が終わったあとに、個別支援員のオンライン講習がありました。これは半期に一度必ず受けることになっているのですが、半分くらいは毎回ほぼ同じ内容なので、ちょっと眠くなりました…。

そんな講習を終えて退勤して小田原駅へ向かい、帰る前に売店で



これを買ってきました。これは小田原の名産品のひとつである温州みかんを使ったドロップとホワイトチョコレートです。

適度に酸味のある温州みかんの風味は、ドロップのみならずホワイトチョコレートにもよくマッチしています。この他にも、片浦地区で栽培されている片浦レモンや湘南地区で栽培されている湘南ゴールドといったブランドフルーツを使ったドロップやチョコやグミが発売されています。

今週は、何だかものすごく疲れました。帰宅したら、早目に休みます。

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新嘗祭に行くはずが…

2023年11月23日 17時35分10秒 | 神社仏閣
今日は新嘗祭です。決して『勤労感謝の日』などという、訳のわからない名前の祝日ではありません。

そんなわけで、今日は相模國一之宮寒川神社に参詣…しようと思っていたのですが、ふと目覚めると既に昼近く!一瞬

『…え?』

と、時計を見ながらフリーズしてしまいました。

新嘗祭が挙行されるのは10時からですから、電車に乗って行かなければならない寒川神社にはどうあっても間に合いません。たとえ我が家から徒歩圏内の厚木総鎮守厚木神社であろうとも、絶対に間に合わないであろうことは明白でした。

最近、授業や放課後子ども教室の工作の準備に追われて寝不足気味なことは自覚していました。その歪みのようなものが、祝日である今日に出てしまったのかも知れません。

それでもとりあえず厚木神社に参詣してみようと、遅まきながら出かけてみることにしました。その道すがらに大鷲神社があるのですが、そこを通りかかったら



なんと今日はニの酉の日でした。

ちょっとビックリしましたが、何はともあれお参りすることにしました。門前には



熊手を売る屋台も立ち、新たな熊手を買い求める人たちも見られました。

今年は二の酉までなので、これで今年の酉の日は終わりです。寝坊したことは悔やまれましたが、諦めずに出かけてみてよかったと思いました。

明日は普通に金曜日なので、学校勤務があります。変に今日休んでしまったので、明日出勤し忘れないように気をつけようと思います…。

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これでコンプリート!『みるくぷりん』@横浜あざみ野《雫ノ香珈琲》

2023年11月22日 19時10分10秒 | カフェ
今日も小学校の子どもたちは元気いっぱい、休み時間になる度に外をすっ飛んで歩いていました。その分、勉強の時間になるとあちこちで電池切れを起こし、先生方もかなりお冠でした…。

そんな小学校勤務を終えてから、横浜あざみ野の音楽教室へ移動しました。そして、いつものように《雫ノ香珈琲》に立ち寄りました。

今日は何をおいても『みるくぷりん』です。今回はキャラメル・ミックスベリーに続いて



いちごソースをオーダーしました。

シンプルかつ濃厚なミルクプリンに今回添えるのは、ワッフルにも使われている定番のいちごソースです。いちごソースの甘酸っぱさがミルクプリンの甘味を引き立て、正統派いちごみるくといった味わいを楽しむことができます。

これで、みるくぷりんのソースは3種類コンプリートしました。マスターが

「3種類コンプリートされた方は初めてです。」

と仰っていましたが、もっと多くの方々に楽しんでもらいたい逸品です。

明日は祝日です。ここ最近一日休んでゆっくりした覚えがないので、明日はゆっくり過ごしてみようかと思っています。

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大盛況の『小田原えっさホイおどり』レクチャー

2023年11月21日 17時45分10秒 | 日記
今日の放課後子ども教室では、9月に行われた『小田原えっさホイおどり』のチームの方を講師にお招きして、総踊りで踊る『小田原えっさホイ小唄』の振付をレクチャーしていただきました。軽く準備体操をして、



冒頭の構えから振付がスタートしました。

2年生たちは前年度にレクチャーを受けてはいるものの、そこそこ時間が経ってしまっているからどうか…と思っていました。ところが、いざ始まってみると2年生たちは驚くほど以前の振付を覚えていたのです。

そして前年度を知らない1年生たちですが、これが意外と(と言っては失礼ですが)ついていけていました。もしかしてら、先月の運動会に向けてみっちりとダンスの練習を積んだ経験が、ここで活かされたのかも知れません。

途中休憩も挟みながらみっちりと教えていただき、最後には



全員で総踊りを通して踊って、大盛況でレクチャーを終えることができました。子どもたちは一様に高揚した感じで、楽しんでくれていたようでした。

元はと言えば、子どもたちにこの地域に根ざした踊りがあることを知って関心を持ってもらえたら、そしていつか小田原の小学校の運動会でこの踊りが踊られるようになったらいいな…と思いながら企画したレクチャーでした。ここまで子どもたちに喜んで踊ってもらえるのであれば、もしかしたらそんな日も遠くはないのかも知れない…と、そんな淡い期待を抱くことができた有意義なひと時でした。

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重宝しています

2023年11月20日 19時19分19秒 | 日記
今日も暖かな陽気となりました。さすがの暑がりの私でも長袖シャツに袖を通してはいますが、上着はまだ登場していません。

ところで、最近私は自宅でひたすら折り紙細工を作っています。来月のクリスマスに向けて放課後子ども教室で子どもたちに工作をさせるための下準備なのですが、何しろ教室の在籍数が50人前後いるため早くから準備しておかないと間に合わなくなってしまうおそれがあるのです。

その時に役立つもののひとつが



テープのりです。スティックのりを薄手の折り紙に塗ると紙がふやけてよれてしまったりするのですが、これだとそんな事故もないので、細かい作業部分も含めて重宝しています。

もちろん私だけで作っているわけではなく、関係スタッフで手分けして作っています。何とか来月の該当日に間に合うように、これからも頑張って作ります。

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どうせやるなら、これくらいしなくちゃ…

2023年11月19日 18時50分18秒 | 日記
今日は用事があって、小田急線で相模大野まで出かけていました。久しぶりに来た相模大野はいろいろと様変わりしていて、ちょっと戸惑うこともありました。

それでも、毎年変わらないのがクリスマスイルミネーションの豪華さです。今年も駅直結のステーションスクエアには



このような巨大なクリスマスツリーがお目見えしていました。

この他に、ショッピングビルの前にも



御覧のような大きなツリーが登場していました。ここは人口基盤の吹き抜けになっているところなので、



2階の高さからもこのように眺めることができます。

こうした充実したものを見るにつけ、先日ご紹介した本厚木駅前のイルミネーションのチンケさと比べて溜め息が出ます。イルミネーションとは、どうせやるならこのくらいやらなければ意味がありません。

ただ、これくらいのイルミネーションを厚木でもやろうと思ったら、駅前を一度全部ぶっ壊してリセットしてやり直すくらいのことをしなければならないでしょう。ですから地元には何も期待せず、他所でいろいろと楽しませていただこうと思っております…。

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高いよね…

2023年11月18日 19時19分19秒 | スイーツ
今日は昨日の荒天から一転して、穏やかな晴天に恵まれた一日となりました。そんな中、私は自宅でシコシコとデスクワークに勤しんでいました…。

途中でお腹が空いてきたので、近所のセブンイレブンに軽食を仕込みに行きました。そこで見つけたのが



この『みかんサンド』です。

私は普段あまりフルーツサンドを選ばない方なのですが、このサンドウィッチは美味しそうだな…と思ったのです。ただ、サンドウィッチ一個が税込みで¥421は、さすがに一瞬尻込みしました。

結局買ってきたのですが、甘めのみかんが美味しいものでした。ただ、さすがに¥400を超えるサンドウィッチはしばらく買わないと思います…。

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早くね…?

2023年11月17日 16時30分16秒 | 日記
今朝はかなり激しい雨が降り、授業中に外を見た子どもたちも怖がっていました。それも午後には止んで、子どもたちが下校する頃には陽も差すようになってきました。

後片付けを終えて退勤してから、ちょっと雑貨屋へ寄り道していくことにしました。目的のものを買ってふと見ると



なんとクリスマスを通り越してお正月の飾り物が登場していたのです。

まぁ確かに年賀はがきも売り出されているわけですから分からないではありませんが、何だかものすごく早い気がしてちょっとゲンナリしてしまいました。せめて師走に入るまで、お正月のことは正直見たくなかったです…。

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あるべき姿を子どもたちに〜川田正子による《里の秋》

2023年11月16日 16時50分40秒 | 音楽
今日は、勤務先とは別の小学校の放課後子ども教室の日でした。毎回『帰りの歌』を歌ってから帰るのですが、今月の帰りの歌は《里の秋》を歌っています。

《里の秋》は作詞・斎藤信夫、作曲・海沼實による作品です。小学校4年生の音楽教科書に採用されていて、2007年には『日本の歌百選』にも選ばれている有名な歌ですから、ご存知の方も多いかと思います。

現在の教科書には二番までの歌詞が掲載されていて、かつて私もそこまで習いました。その時の個人的な感想は

『いい曲だけど、何だかボンヤリした歌だな…』

というものでした。

その頃、私は祖母の前でこの《里の秋》を歌って聴かせたことがありました。ところが、歌い終えると祖母が

「あれ?三番は?」

と言ってきたのです。

「え?いやだなぁおばあちゃん、この歌は二番までしかないよ。教科書にも二番までしか載ってないもん。」

と私が言うと、祖母はしばらく考えた後で私の知らなかった三番を歌い始めました。そこで私は、強烈な衝撃を受けることとなったのです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

《里の秋》の詩は、はじめは昭和16年に《星月夜》という題名で四番まで書かれました。当時、戦時下で教員として子どもたちを指導していた斎藤信夫が書いた詩は以下のようなものでした。





ここまでは現在でも知られている内容です(字の下手さと拙い画力については無視してください…)。それに続けて

三、 
きれいなきれいな 椰子の島  
しっかり守って くださいと
ああ とうさんの ご武運を  
今夜もひとりで 祈ります

四、 
大きく大きく なったなら  
兵隊さんだよ うれしいな
ねえ かあさんよ 僕だって  
かならずお国を まもります

といった歌詞が続いていました。

お分かりのように、昭和16年といえば太平洋戦争が勃発した時です。その時に書かれた詩には、三番の「しっかり守って」「ご武運を」や四番の「兵隊さん」「お国を守ります」に、国民の間に満ちていた戦争に対する高揚感が滲み出ています。

ただ、実はこの《星月夜》に海沼實は曲を付けませんでした。おそらく海沼は詩の中にある戦意高揚とは異なる家族愛の情景に、言い知れぬ違和感を感じ取っていたのかも知れません。

そして戦争が終結した昭和20年、南方をはじめとする外国の戦地から続々と引き上げてくる兵士たちに向けて、NHKラジオでは「外地引揚同胞激励の午后」という番組が企画されました。その時、海沼は斎藤に

「スグオイデコフ カイヌマ」

という電報を打ちました。

この頃の斎藤は、戦時下で行ってきた自身の学校教育に対して言いようのない罪悪感と虚無感にとらわれていました。それでもやってきた斎藤に海沼は、

「一番・二番はそのままでいいから、三番・四番の歌詞を復員兵を慰労し励ます詩に改作してほしい」

と依頼します。

この依頼を受けて斎藤が詩を書き上げたのは、なんと放送の一週間前だったそうです。12月24日の放送当日、書き上げた三番を持参すると、海沼は曲名を《星月夜》から《里の秋》に変更するよう提案しました。

その歌詞は



というものでした。

こうして、本来は戦意高揚のために作られた歌が、平穏な家族愛の歌へと大変身して披露されたのです。

外地からの引揚げは、情報が錯綜したり船がなかなか辿り着かなかったりといったトラブルもあって、想像する以上に大変なことだったようです。そういった多くの引揚者に対して里の家族がどんなに帰りを待ち望んでいるかを表現するこの歌を歌ったのは、当時小学校五年生(11歳)だった童謡歌手の川田正子でした。

川田が出来たて覚えたての歌を歌い終えるとスタジオは静まり返り、しばらくして称賛の声と拍手の嵐が起きました。そして放送が終わる前から、

「感動した」
「何という歌だ」
「もう一度聞きたい」

という声でNHK中の電話が鳴り止まず、一時局内がパニック状態に陥ったといいます。

更にNHKには《里の秋》を聴いた人々からの投書が山のように届き、そのことで翌年の正月に始まった『復員だより』という番組で半年間この曲が放送されました。こうした経緯のある曲なのですが、何故か現在の教科書からこの大切な一節は完全に削除されてしまっています。

私は祖母の歌で三番の存在を知って、何だかボンヤリした歌だと思っていた《里の秋》に最後のピースがきちんとはまったような感覚になりました。そして、こんな大切な一節を知らずにいた自分を、子どもながらに恥じ入りました。

思えば私はこの頃から、教科書というものに疑念を抱くようになっていたような気がします。その皮膚感覚のようなものは数十年の時を経て、より強固なものになっていると感じています。

そんな話を、放課後子ども教室の子どもたちは真剣に聞いてくれていました。これからこの歌を習う低学年の子も、かつて習った高学年の子も、こうした大切な事実を知っておいてほしいと願って止みません。

そんなわけで今日は《里の秋》を、初演で歌った川田正子の歌唱でお聴きいただきたいと思います。自分たちの父や兄たちがきっと復員してくるという願いを一縷の望みをかけて信じて待つ、当時の人々の切実な思いが伝わるような本来の姿の《里の秋》をご堪能ください。


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