今日も今日とて外出を禁じられた身として、自宅でひたすら外部との接触を絶っていました。その中で今日もいろいろと音楽鑑賞していたのですが、昨日に引き続きバッハの

リュート作品を中心に聴いていました。手術を前にして落ちこんでいる氣持ちに、バロックリュートの低音が心地よく響きます。
バッハのリュート作品のなかで、個人的に好きなのが《組曲ト短調 BWV995》です。
バッハの《組曲第3番BWV995》は、《無伴奏チェロ組曲第5番BWV1011》からの編曲です。チェロ組曲がハ短調で書かれているのに対して、リュート組曲はト短調で書かれています。
この曲は、プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ガヴォットI&II、ジーグの7つの楽章で構成されています。
1:プレリュード
フランス序曲の形式で、重々しい付点リズムが特徴の前半部と、速い3拍子のフーガである後半部とで構成されています。
2:アルマンド
元来はドイツ発祥のアンマンドですが、この曲ではフランス風のややゆったりとしたテンポで演奏されます。
3:クーラント
クーラントはフランス発祥の快活な三拍子の舞曲ですが、この曲のクーラントは3/2拍子で、一般的なクーラントよりややゆっくりとしたテンポで演奏されます。
4:サラバンド
サラバンドはシャコンヌ同様にスペイン発祥のゆっくりとしたテンポの舞曲で、この曲では8分音符の下降音型が荘重な雰囲気で演奏されます。
5:ガヴォットI&II
ガヴォットはフランスの舞曲で、重音を駆使したガヴォットIと、三連符が駆け回るガヴォットIIの2つの部分から構成されています。
6:ジーグ
ジーグはイギリス発祥の舞曲ですが、この曲では付点リズムと模倣が特徴的なフランス風ジーグとなっています。
リュート版の特徴としては、原曲のチェロ版よりもより装飾的なパッセージや和声が追加されています。また、ト短調に下げられたことで全体的に哀愁を帯びた曲調になり、より典雅な響きが加わっています。
そんなわけで、今日はバッハの《組曲ト短調 BWV995》をお聴きいただきたいと思います。ポーランドのリューティスト、クラウディナ・ゾリアネックの演奏でお楽しみください。
続いて、原曲である《無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調BWV1011》をお聴きいただきたいと思います。この曲では通常のチェロの調弦と違って

1番弦をラではなく1音下げたソに調弦する『スコルダトゥーラ』が指定されています。これによって

通常チューニングと違った、より豊かな重音を奏でることができるようになっています。
それでは、今度は《無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調BWV1011》をお聴きいただきたいと思います。鈴木秀美氏のバロックチェロ独奏で、重々しい響きの中にもフランス趣味が香るチェロ作品の金字塔的名曲をご堪能ください。