にのじ@ばよりん的日常

バイオリン弾きにのじの日常生活!
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2009-01-17 00:36:10 | オーケストラ
山陰地方の4つの学校を巡る演奏旅行も終わりました。
それぞれの学校にそれぞれの顔があり、生徒の表情も様々、校舎も先生方もそれぞれ特徴が。

今回の旅行ではいつもと違って養護学校にもお邪魔しました。
その島根県立石見(いわみ)養護学校は雪深い盆地にありました。
中国山地の奥深く、降り続く大雪の中やっとたどり着いたその校舎。
こじんまりとしていて掃除も行き届いた清潔な教室。
でもトイレの構造が普通とは違っていて、そこが養護学校であることを改めて教えてくれました。

聞いてくれた子供たちは幼稚園児くらいの小さな子から高校生まで。
心や体に様々な障害を持ちながら懸命に生きている子供たちです。
そんな子供たちと一緒になって音楽を作り上げた時間は奇跡のように輝きに満ちていたのです。
このコンサートは体育館で手の届くような距離で演奏します。
だから子供たちの表情や心の動きがとてもよく見えるのです。
ガーシュインの「アイ・ガット・リズム」を一緒になって歌い、ボディパーカッションを一緒に楽しみ、懸命に、でも楽しそうに彼らは参加してくれました。
こちらと子供たちとの心の通い合いが生まれて、魂が響き合っていたのです。
彼らの、何も飾らず何も纏わない裸の魂が跳ね回りはじけ合い、我々の魂に迫って来ました。
こんな体験は滅多に出来る事ではありません。
大きな感動を彼らが我々に贈ってくれたのです。
素晴らしい体験でした。
大雪で前も見えない峠越えで難儀した事も、体育館が寒くて体が思うように動かず苦労したことも。
全て吹き飛ばして仕舞うほどのパワーを彼らがくれたのです。

オケの女性たち、感動のあまり涙を流す人も多かった。
私もウルっと来てしまい涙をこらえつつの本番だったのです。
お客さんと感動を共有した演奏会はいくつも経験しました、しかし聞いている生徒さんから感動をもらった演奏会なんて初めてと言って良い事。
音楽の持つ力を再認識すると同時に、彼らからもらった感動を心の財産にしてこれからも演奏をしていきたいと思います。



今回の旅行はレンタカーで移動をしましたが、ちょうど大雪とぶつかってどこへ行こうと雪の中。
それも半端ではない積雪量、昨日訪れた奥出雲の横田小学校などは積雪が1メートルになろうという程。
そこへ辿り着くには何回か雪深い峠を越えなければいけませんでした。
行くのも帰るのも雪との格闘、これだけ雪道と格闘したのも初めての経験でした。

横田へ向かう途中、一つ手前の亀嵩(かめだけ)という町のコンビニで出会った一匹の老犬。
雪の峠を越えてやっとたどり着いたコンビニは竜宮城のようにも思えたほど。
そこでお昼ご飯を買い込みトイレを借り、お店のオバチャンに道を聞いていた時に店の奥から出てきたその老犬。
まるでエビス様のような笑い顔で現れて、私の方をやさしく見つめていたその犬に出会えて、それまでの運転で張りつめ緊張の極であった心からふっと力が抜けて優しい気持ちになれました。
旅をすることは出会いを繰り返す事でもありますが、こんな犬に出会えるなんて何と幸せな旅なのだろうと思った日。
これだから旅は止められないのです。