ジョン・レノンの軌跡(1976)
1.平和を我等に
2.コールド・ターキー
3.インスタント・カーマ
4.パワー・トゥ・ザ・ピープル
5.マザー
6.女は世界の奴隷か!
7.イマジン
8.真夜中を突っ走れ
9.マインド・ゲームス
10.夢の夢
11.a:ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)b:平和を我等に(リプライズ)
ジョン・レノンが射殺されてから、今年で25年。早いものだ。ジョン・レノンは40歳のときに死んでしまったが、その年齢を自分はとうに過ぎてしまった(-_-#)
非業の死を遂げたせいもあると思うが、現在のジョン・レノンの一般的なイメージは“愛と平和の戦士”であり、代表曲はなんといっても「イマジン」なのである。どうも僕はここいらの評価が不満で、確かにヨーコの影響もあるのだろうが、ビートルズ後期からソロにかけて、ジョン・レノンは“愛と平和”を訴えた歌を数多く発表していたけど、彼のファンなら分かってるように、ジョン・レノンは決して“愛と平和”だけの人ではない。彼は、アグレッシブなロックンローラーであり、先鋭的な感覚を持ったミュージシャンであり、そして何よりも素晴らしいソングライターだ。そこいらに、もう少し触れて欲しいと思うのだが。
そんなジョン・レノンの多様な世界が全て堪能できてしまうお得な一枚が、このベスト盤『ジョン・レノンの軌跡』である。ここでのジョン・レノンは、“愛と平和”を訴えるだけでなく、社会的なメッセージを発し、ドラッグ体験を歌い、母親への思いを赤裸々に綴り、作曲からレコーディングまでたった一日で済ませた曲をミリオンセラーにし、自身の内なる世界に遊び、クリスマスを祝う。ミュージシャンとして様々な一面を見せているのだ。ジョン・レノンといえば「イマジン」しか知らない人が『ロックンロール』を聴いてたまげた、という話を以前聞いたが、そういう人にこそ、このベスト盤でジョン・レノンを再認識して貰いたいと思う。彼は、非常に才能溢れるミュージシャンなのである。なんで今さら、こんな事を言わなければならないのか、と思うと情けないが(笑) ま、射殺されたのはCIAの陰謀だとする説もあるくらいの人だから、ミュージシャンとしてのジョン・レノンが語られる事が少ないのは、仕方ないのかもしれないけど。
ソロ活動に於けるジョン・レノンは、テーマが何であれ、自分の心情に正直な音楽を作ってきた。熱心なファン以外は、その辺に息苦しさみたいなものを感じるかもしれない。実際僕も、このベスト盤は中学生の頃愛聴していたけど、オリジナルアルバムはあまり聴いてない。有名な『ジョンの魂』も後に買ったけど、あまりの赤裸々な内容についていけず、2~3回聴いてそれきりになってる^^; でも、このベスト盤の曲はみな好きだ。特に「コールド・ターキー」「真夜中を突っ走れ」「インスタント・カーマ」「夢の夢」あたり。「ハッピー・クリスマス」もいい。最高のクリスマス・ソングと思う。ほとんどがシングル曲であるので当たり前だが、どの曲も分かりやすく、アーティストの主張もしっかり盛り込まれて、素晴らしいポップソングばかりだ。ビートルズの同僚ポール・マッカートニーのヒット曲集を聴くのとは、また違った楽しみがある。
ジョン・レノンが生きていれば、ポール・マッカートニーの80年代に於ける失速はなかったのではないか、なんて思う時がある。互いに意識していただろうし、生半可な曲を作ってまた批判されてはたまらん、とポールも気合入れただろうから(笑) そう考えると実に惜しい。
所で、ジョンとヨーコは一心同体であり、ジョンとヨーコの作品は常に対になっているのだそうだ。ジャケットもそっくりだし(笑) ただ、ジョンのファンでもヨーコのアルバムは聴かない、という人も多く、自分の作品と同様にヨーコの作品を評価して貰えない事に業を煮やしたジョンは、復帰作『ダブル・ファンタジー』で、自分とヨーコの曲を交互に並べる、という作戦に出た。イヤでもヨーコの曲を聴かねばならないように仕向けたのである(笑) このアルバムをジョンの曲だけテープに録音して聴いていた、という人も多いらしいが、その行為はジョンの意向に反する事だった訳だ。ファンとしては複雑だね(笑)
という訳で、12月になると思い出す曲は、やっぱり「ハッピー・クリスマス」なのだった。決して「恋人がサンタクロース」ではない(爆)