いまジャーナリストとして

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東日本大震災・・・復興構想会議がスタートしましたが、しかし、国会は何をしているのでしょうか。

2011年04月15日 12時08分15秒 | 日記

 *** 復興構想会議というものが出来ました ***

 東日本大震災からの復興を目指し、菅首相は復興構想会議を設置
して、14日に初会合を開きました。防衛大学校の五百旗頭真校長
が議長で、メンバーは、大学教授が中心です。
 会議の性格は、首相の私的諮問機関です。



 梅原猛さんや、御厨貴さん、内館牧子さんら、なかなかの顔ぶれ
が見えます。
 被災した岩手県、宮城県、福島県の知事も入っています。

 これから毎週土曜日の午後に会議を開き、6月末をめどに提言を
まとめるということです。

 菅首相は、14日の会議の冒頭で、
 「ただ元に戻すという復旧ではなく、改めて作り出すという創造
的な復興をお示しいただきたい」
 とあいさつしました。


 ・・・とまあ、これが、復興構想会議の全容です。

 顔ぶれは悪くないし、期待したいと思います。

 しかし、これでいいのだろうかという思いがどうしてもあります。
 首相が、こうやって、私的諮問機関を作り、政策を考えるという
スタイルは、中曽根首相が好んで用いました。
 中曽根首相は、自ら選んだ委員について
 「委員のみなさんには、暴れ馬のように活動してほしい」
 と話しました。
 「暴れ馬」という言い方がいっとき流行しました。
 
 これで流れが決まり、その後の政権も、いろんな諮問会議、委員
会を作りました。
 「賢人会議」という名前もよく使われたものです。

 共通するのは、
1)首相が選んだ学者や経済人、企業経営者、文化人がメンバーに
なる。
2)首相から、政策立案の要請を受け、会議や委員会として、答申
や提言をまとめる。
・・・というものです。

 しかし、なにかがおかしいのです。

 *** では政府は何をしているのでしょう? ***

 メンバーの法的な地位がどうのと、野暮なことを言うのではあり
ません。
 そうではなく、大事な政策を立案するたびに、首相が私的
な会議を作り、首相が選んだ人をメンバーにし、そこで政策を考え
るというのであれば、では、政府って、いったい何でしょう。
 
経済産業省、国土交通省、農水省、厚生労働省、財務省、外務省、
総務省、さらには自衛隊、警察、消防と、日本には、あらゆる分
野をカバーする省庁があって、それを統括する組織として官邸が
あります。
 そして、首相が、そのすべてを司るのです。

 それなのに、首相が私的な会議、委員会を作ってそこで政策を立
案するというのであれば、政府は、いったい、何のために存在する
のでしょうか。

 政府の閣僚のみなさん。
そして、大勢いる官僚のみなさん。
 はずかしくないですか?

 しかし、もっと大きな問題があります。
 議会、国会です。

*** 議会はいったい何をしているのでしょうか ***

 この復興構想会議で、もっと大きな問題は、国会は何をしてい
るのか? ということです。

 国民が「頼むぞ」といって、国政の場に送り出したのが国会議員
です。
 本来であれば、衆院、参院で、
 国会議員による「復興構想会議」
 が作られるべきなのです。

 え? 国会に?
 と思われるかもしれません。
 そうです。
 国会にです。

 アメリカは、国会のことを連邦議会といいます。
 連邦議会に、たとえば、外交委員会という委員会があります。 
 この外交委員会は、非常に強力な権限を持ち、政府の外交に大き
な影響を与えます。外交に関しては、まるで独立した外交をしてい
るかのような独自の政策を作り、独自の動きをします。
 外交委員長は、国務長官のような地位と権限を持っています。
 ほかにも多くの委員会がありますが、いずれの委員会も、同じよ
うに独自の政策を考えます。

 民主主義国家では、すべての政策は、法律で決められます。そし
て、法律を審議するのが国会です。だから、議員が、自分で政策を
考えて、法案を作り、国会で成立させれば、政策になります。
 それが本来の姿なのです。

 では日本はというと、国会が、まったく機能していない。
 日本の国会は、すべての機能、すべての権限を、政府に投げ渡し
てしまっているのです。

 東日本大震災のように大規模で悲惨なことが起きたら、本来、国
会が立ち上がらなければなりません。
 国会議員が、衆議院、参議院で、委員会を作り、自ら政策を考え
て法案を作り、自ら国会で法案を審議し、自ら法律を作ればいいの
です。
 そうすれば、例えば、被災者にまずは100万円を渡すーーなど
ということも、すぐに出来ます。

 国会議員は、法案を審議するのが役割ですから、本当は、何だっ
てできるのです。
 
 ですから、本当は、国会に
 「復興構想会議」
 を作ります。
 メンバーは、もちろん、国会議員です。
 そして、構想会議の議長には、見識のある国会議員がなって、どん
どんと復興に向けた法律を作っていけばいいのです。

 国会議員は、私たちが、「頼むぞ」といって国会に送り出した国民
の代表です。
 そのひとたちが、復興構想会議を作ってメンバーになるのは、国
会議員の本来の役割です。
  それなのに、日本の衆議院議員、参議院議員は、いったい何をし
ているのでしょう。
 大震災にあたって、議員諸氏の顔が、ぜんぜん見えないではあり
ませんか。

 大学教授が復興構想会議のメンバーになり、復興政策を考え、決
める。
 それが東日本大震災の復興策になるーーこれは、ちょっと、おかし
くないですか?
 それが当たり前だと思うことが異常なのです。
 国会議員のみなさん。
 おかしいと思いませんか?
 あなたたちは、法律を作ることが出来るんですよ。

ひとことでいえば、
 いまこのときにあたって、国会はいったい何をしておるのか
ということに尽きるのです。




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