いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

東日本大震災・・・被災者のメンタルケアで、石井苗子さんが保健の専門家として被災地に入っています。

2011年04月18日 01時15分15秒 | 日記

 このところ、芸能人やスポーツ選手が大勢、被
災地に入り、避難所を訪ねています。
 杉良太郎さんは、芸能人が避難所を訪ねるとパ
フォーマンスだとかなんだとか、いろいろ言われ
るだろうが、自分は困っている人を助けたいから
やるんであって、なんと言われようとかまわない
ーーという趣旨のことを話しています。
 立派な人だと思います。

 実際、芸能人やスポーツ選手が避難所を訪ねる
と、避難所にいる人々も、いっときであるにせよ、
ぱっと華やかな気分になることができるので、大変
いいことだと思います。こういうことは、思いっき
り、善意に受け取るのがいいと思います。

 今回は、芸能人の中で、異色の人のことをお話
したいと思います。
 芸能人やスポーツマンが、いまのように現地に
入り始める前、早くから被災地に入って活動して
いる人がいます。
 石井苗子さんです。
 石井さんは、もともと英語の通訳をしていまし
たが、英語の力を生かしてテレビのキャスターと
なりました。そのうち、映画にスカウトされ、「あ
げまん」でデビューしました。
 あるとき、一念発起して、聖路加に入学し、看
護師となりました。
 さらに、東大医学部の博士課程に入り、200
7年に保健学の博士号をとります。

 専門はメンタルケア、精神衛生で、仕事におけ
るストレスに治療などに当たっています。

 今回の地震と津波の被害を見て、石井さんはい
わきに入り、被災者のメンタルケアに当たります。
そうした活動を受け、聖路加で、組織をあげて、
福島での被災者のケアをすることになりました。

 石井さんは現在、福島と東京を往復しながら、
被災者のケアと、それだけではなく、支援部隊の
ストレスのケアも担当しています。
 スタンスは、「長期のケア」「長期戦」です。
 
 女優というより、保健の専門家としてのボラン
ティア活動です。
 女優として被災地に行けば、ほかの芸能人と同
じようにテレビにも取り上げられるのでしょう。 
しかし、保健の専門家として被災地に入ってい
るので、テレビに取り上げられる機会がありません。
 おかしいなことです。
 芸能人やスポーツマンが被災地を訪問するのは

大きな意味がありますが、しかし、1日か2日、
せいぜい数日でしょう。
 それに対し、保健の専門家として、長期戦の覚
悟で被災地に入ると、あまりニュースにならない
ーーというのは、大変残念なことです。

 石井さんと聖路加のチームの活動は、他の医療
チームももちろんそうですが、非常に意味のある
ことです。
 私の実家が被災した神戸もそうでしたが、被災
した人たちは、長い長い我慢を強いられます。神
戸で仮設住宅がなくなったのは、つい数年前のこ
とです。自宅の再建で、住宅ローンの二重払いに
苦しむ人も多いのです。その地域に住んでいた人
が離散し、コミュニティが崩壊したケースも珍し
くありません。とくに、高齢者は、すっかり気力
をなくしてしまうことがあります。
 被災者は、否応もなく、長期戦になってしまう
のです。
 石井さんのように「長期戦を覚悟しています」
というのは、被災者にとっては、ものすごくあり
がたいことなのです。

 もうひとつ。
 石井さんは、支援者、支援部隊のストレスの対
策も担当するそうです。
 すばらしいですね。
 長期戦になると、支援部隊も疲れてきます。
 1週間なら、気合いだけでやっていけるでしょ
うが、何か月も続くとなると、気合いだけではで
きません。
 その支援部隊のストレスまで考えるというの
は、本当に長期戦に備えるということですから、
すばらしいと思います。

 いつか、どこかの段階で、新聞やテレビで報道
してほしいですね。

 石井さんは、読売新聞の医療のページ「ヨミド
クター」で、ブログを持っていて、このボランテ
ィア活動の報告をしています。
 アドレスは
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=21225

 です。
 ぜひ、アクセスしてみてください。
 
石井さんたちの活動を、もっと知ってもらい
たいと思い、私のこのブログで、取り上げました。
 これからも、このブログで応援します。