いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

福島原発・・・気象庁が拡散予測をIAEAに送りながら、公表していませんでした。役人というのは!

2011年04月05日 02時09分12秒 | 日記

  またか、まったく役人というのはと、唖然とします。
取材の現場で、あるいは、プライベートな場面で、もう
何度も経験してきたことですが、役人の習性には、あほ
らしくてため息が出ます。


気象庁が、放射性物質の拡散予測を、なんと地震の
あった当日の3月11日から毎日計算していること
が分かりました。
これは国際原子力機関(IAEA)の要請に基づく
もので、気象庁は、このデータを毎日、IAEAに
報告していました。
  それをIAEAは、各国の原子力を担当する部局に
通知していたそうです。

この予測を、こともあろうに、外国、具体的にはド
イツやノルウエーですが、外国の気象機関が公開して
いました。

それを、気象庁は、まったく何も公表していなかっ
たのです。

いったい、なんということでしょう。

怒る前に、ひとつ、押さえておかなければなら
ないポイントがあります。
この予測は、
  「もし放射性物質が原発から放出されたとした
   ら、風向きや気圧配置によって、どういうふ
   うに広がるか」
を予測したものらしいということです。

  つまり、放射性物質が原発から実際に放出された
のではありません。
そうではなく、もし、原発から放出されたとした
ら、その日は、どういうふうに拡散していくかーー
それを見たものです。
たしかに誤解されやすいデータではあります。

 読売新聞が、そのドイツ気象局の拡散予測図を掲載
していますが、それを見ると、日本列島の太平洋岸に、
広く、拡散するという図になっています。
 東京も、拡散の範囲に入っています。
 なるほど、世界の人がこの図を見たら、東京も放射
能で汚染されたと思うでしょう。

  気象庁の役人は、きっと、こう考えたのでしょう。
  「これは、もし、仮に、放射線物質が原発から放出
   されたらーーという仮定を置いたものだ」
  「実際には、放射線物質は、放出されてはいない」
  「それなら、公表しなくてもいいだろう」

  あるいは
  「まるで放射能が実際に拡散しているように、間違
   って受け取られやすい予測だから、公表しないほ
   うがいいだろう」
  と考えたかもしれません。

  あるいはまた
 「公表するなら、間違って受け止められないよう
  に、詳しい説明をしなければならない。それは面倒
  くさいから、やめておこう」
  考えたかもしれません。

  しかし、役人のあなたたちに考えてほしいことが
あります。
  それは、あなたたちの給料は、私たちの税金で支
払われているということです。
  そしてまた、予測に使ったコンピューターや機械
も、やはり、私たちの税金で買われたものだというこ
とです。

 あなたたちは、私たち国民に雇われているのです。
 税金で給料をもらっているあなたたちが、税金で
買った機械で予測した。

 どうして、それを、税金を払っている国民に見せ
ないのでしょうか。

 もし、公表すると国民が混乱するーーと考えている
とすれば、それは、傲慢というものです。
 国民は、あなたたちの雇い主です。
 判断するのは雇い主でしょう。
 あなたたちが、勝手に判断していいものではありません。

 こともあろうに、それが、ドイツの気象局で公表された。
 我々の税金は、ドイツの人に予測を見せるために
遣われたというわけです。

 もうひとつ。
 IAEAに予測を送り、IAEAが各国に通知す
るということを、あなたたち役人は、知っていたの
でしょう?
 IAEAに予測を送り、IAEAがそれを各国に
通知した。それだけ多くの人が知ったわけですから、
新聞、テレビに加え、これだけインターネットが発達
し、多様なメディアが普及したこの時代にあって、
だれも知らないまま、右から左へ消えていくという
ことは、ありません。

 必ず、どこかで表面に出る。
 そもそも、各国にとっては、公表しても、自分の
国には、何の影響もない話です。

 しかし、実際のところ、メディア論をいう必要
さえありません。
 もともと、IAEAは、隠すつもりがまったくない
のですからね。
 
 そうしたら、必ず、日本にも届くに決まっています。
 そんな想像力さえ、役人にはないのです。

 日本という国は、本当に、役人が悪くしています。
 このブログ、役人の方が読んでいたら申し訳ない
けれど、本当にそう思います。