いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

福島原発ーー民主党は野党時代の精神に戻ってほしいですね。

2011年04月16日 02時32分44秒 | 日記

 菅首相と民主党は、今回の原発事故で、対応を完全に間違えまし
た。対応を間違えたといっても、情報の公開が遅かったとか、やる
ことが後手後手に回ったとか、そういうことではありません。
 もっと根本的な、民主党のルーツにかかわる話です。

 民主党は、いろんな政党の寄り合い所帯として生まれました。
 社会党、自由党、民社党、新自由クラブ、社民連、自民党などな
どです。
 
 しかし、ざっくりといえば、民主党のルーツは、
 自民党政権が続いていたころの野党的なものです。
菅首相はその象徴みたいなもので、かつてUiは、市民運動家でした。
市民運動家が首相になったのです。
 
民主党的なもの、民主党の結党の精神というのは、明らかに、野
党的なもの、市民運動的なものです。

そして、大事なことは、長い間の自民党政権の時代、野党的なも
の、市民運動的なものというのは、間違いなく、「反原発」だったと
いうことです。

 福島原発の事故で皮肉なのは、自民党政権が推し進めた原子力発
電のツケに、反原発をひとつのルーツとする民主党政権が対応を迫
られているということです。
 枝野官房長官など、事故のことを、何回かおわびしていました。
 
 しかし、本来、自民党と、自民党時代に原発を推進した霞が関の
官僚がおわびしなければなりません。

 それを民主党の首相、閣僚がおわびするというのは、皮肉であり、
ブラックユーモアであり、シュールな風景です。

 民主党が対応を間違えたというのは、そこを言うのです。

 大地震で原発の事故が起きたとき、菅首相と民主党政権は、思い
切って、
 「民主党は、原発には反対してきました」
 「福島原発の事故には、全力で対応して、収束を図ります」
 「しかし、この事故を機に、原発を減らす、あるいは、原発をな
くすことは出来ないか。それを考えていきます」
 「ただ、いまは、福島原発の事故に全力で対応しますので、国民
のみなさんのお力を貸していただきたいのです」
 と言えばよかったのです。

 そうすれば、国民も、政府に協力しようという気持ちになれた。

 いまの民主党政権は、原発の事故に、いやいや対応しているよう
に見えます。
 そうではなくて、民主党は原発に反対で、原発は出来ればなくし
たいんだが、いまは、目の前の事故に集中しなければなりませんー
ーという姿勢をとっていれば、国民は納得したのです。
 そうすれば、情報を、遅いといわれる前に公開することもできた
でしょう。「原発には反対」と表明してしまえば、隠すような情報は
ひとつもなくなってしまいます。

 なんで、そんなことが分からないのでしょう。
 
 いまからでも遅くありません。
 菅首相か枝野官房長か、
 「民主党は原発に反対です。この事故を機に、原発のあり方を根
本的に考えます」
 「でも、いまは、この事故の処理に力を貸してください」
 と、言ってくれませんか。