いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

福島原発・・・東電が汚染水を排出し、抗議が相次いでいます。役人は責任を東電に押しつけています。

2011年04月07日 02時10分49秒 | 日記


 また役人の話を書きます。
 またがっかりという話です。

 東電が、福島第一発電所の建物にたまった低レベル汚
染水を海に放出しています。
その量が、1万トンというのですから、半端な量では
ありません。
 これまで、たとえば柏崎原発で、低レベル汚染水がち
ょっと漏れたといっては大騒ぎしたものです。しかし、
1万トンという圧倒的な量を前にすると、ちょっと漏れ
たといって大騒ぎしたのは、いったい何だったんだろう
と思わざるをえません。

 この1万トンを放出するにあたって、事前の通知が十
分ではなかったというので、あちこちから抗議と批判の
声が出ています。
 沿岸の水産業にとっては死活問題です。
 韓国など近隣諸国も抗議しています。

 確かに、この放出は、なんだかあっという間に決まって
しまって、あれよあれよという間に実施されてしまいました。
 低レベルとはいえ、汚染された水を1万トンも放出する
のですから、こんなことを、東電だけで決められるはずが
ありません。
 当然、政府、具体的には、保安院や原子力安全委員会が
東電に許可したことは間違いありません。
 いや、もっといえば、東電ではなく、保安院や安全委員会
が決めたのだろうと思います。

 こんなこと、東電だけで決められるはずもないでしょう。
1万トンもの汚染水の放出を、いち私企業だけで決められる
とすれば、そのほうが、どうかしています。

 端的にいえば、この汚染水の放出は、政府が決めたのです。

実をいえば、地震で原発に被害が発生したあと、対応が
まずいという批判を受け、数日たってようやく、菅首相が、
政府と東電を合わせた総合対策本部を設置しました。
 この総合対策本部が、原発事故への司令塔になるという
触れ込みだったのです。
 実際、海江田経済産業相は、毎日、この本部で長い時間を
過ごしていました。
 
 汚染水の放出は、当然、この本部で話し合わせているはず
です。
 そして、そこには、政府各省庁の役人も、いたはずです。
 総合対策本部ですから、原発に関係する経産省、保安院、
原子力安全委員会だけではなく、食料を扱う農水省、外国
との交渉にあたる外務省など、各省庁が入っていなければな
りません。
 
 ですから、汚染水の放出は、政府の各省庁は知っていた
はずなのです。
  
 ところが、あちこちから批判が出たのを見て、6日、保安
院は、東電に対し、放出するときは関係自治体に広く通知す
るように、という指示を文書で出したのです。

 これは、いったい、何なのでしょう。
 保安院は、汚染水の放出を、もちろん知っていた。
 汚染水の放出は、東電といういち私企業が持つ権限をはる
かに超えている。
 当然、政府が責任を持つものです。

 そのために、総合対策本部を設置したのでしょう。
 「でも、うちの役所は聞いてませんでした」
 というのであれば、給料を返上するべきでしょう。

 漁師さん、漁業団体、関係自治体に、汚染水を放出する
ことを連絡するのは、政府の責任でやるべき話です。
 それを、いまさら、東電に、放出するときは関係自治体
に通知しなさいーーはないでしょう。

 それは、通知するのは東電の責任であって、保安院は知
らなかったんですーーとエクスキューズしているだけです。
 保安院の役人が、責任を東電に押しつけているだけです。
 いや、政府の役人が、そろって、責任を東電に押し付け
ているのです。
 
 しかし、みなさん。
 この期に及んで、責任を東電に押しつけますか?

 保安院の会見も、ハナから、必要ありませんでした。
 保安院の会見は、東電から聞いたことを、そのまま伝え
ているだけです。
 まったく意味がありません。

 会見は、東電と、枝野官房長官だけでいい。
 保安院も、原子力安全委員会も、存在する意味はまった
くありません。
 
 菅首相は、政治主導を掲げるのですから、こうした役人組
織は、ぜひ、解体していただきたいと思います。

 きょうの新聞のコラムに、痛烈なジョークが書いてあり
ました。
 初対面の二人が名刺を交換して、あいさつしました。
 「あなたのところは、どのぐらいの方が働いていらっ
 しゃるのですか?」
 「うーん、半分ぐらいですかねえ」
 
 何人ぐらいの人が働いているのですかと聞いたのに、
 答える側は、思わず、「働いているのは半分だけだ」と、
 日ごろ感じていることを、つい口にしてしまったという
 わけです。

 いまの政府の役人を見ていると、
 「どのぐらいの方が働いていらっしゃるのですか?」
 と聞かれたら、
 「うーん、2、3人ですかねえ」
 と答えてしまいそうです。
                    (止)
    




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