普天間基地移設問題でにわかに脚光を浴びた徳之島は,どんな島なのだろうか?。
徳之島と日本の未来 《大機小機・日経:5月13日》
今話題の鹿児島県徳之島は,これからの日本の経済社会を考える上でのヒントに満ちた島である。
まず,徳之島の姿は人口減少,高齢化社会日本の未来を映し出している。徳之島を構成する徳之島,天城,伊仙各町を合計した人口は約2万6千人(2009年10月現在)であり,ここ15年間で約25%も減少している。
国立社会保障・人口問題研究所の推計(06年,出生・死亡とも中位)では,日本の総人口は05年から40年の35年間で約25%減少すると見込まれている。徳之島は,日本がこれからの35年間で目にすることになる人口減少を,これまでの15年間で経験したことになる。
徳之島では高齢化も進んでおり,3町合わせた老人人口比率は30.6%である。前述の人口推計によると,日本の老齢人口比率は35年に30.5%になる。徳之島は15年後の日本の高齢社会の姿を先取りしているのである。
一方で,徳之島は子育てという点では,超先進地域である。市町村別の合計特殊出生率のランキングをみると(03~07年),トップが伊仙町,第2位が天城町,第3位が徳之島町であり,徳之島の3町がトップスリーを独占している。伊仙町の出生率(2.42)は最下位の東京都目黒区(0.74)の3倍以上である。日本の出生率が徳之島並みに上昇すれば,日本の少子化問題は解決する。
日本では一般に離島地域の出生率は高い。前述の出生率のランキングでも,上位30市町村のうち実に25自治体が離島に位置している(沖縄本島を含む)。
離島の出生率が高いのは,人間こそが最も大切な資源だという意識が特に強く,地域全体で子どもを大切にする仕組みが整っているからであろう。例えば,徳之島が属する奄美群島では「子どもは宝」という考え方が根強く,理想的な子どもの数を4人以上とする住民が多いという。
現代の都市部において離島並みの地域支援を期待するのは難しい。しかし,日本全体が離島のように「人間が最重要の資源」という意識を持ち,社会全体で子育てを支援する体制を整えていくことは可能なのではないか。
徳之島の姿は,人口減少・高齢化という日本の将来の姿を先行的に示すとともに,日本が今後取り組むべき少子化対策のお手本となっているのである。
鳩山政権はこの数週間で,沖縄・徳之島から学んだことが多かったはずだが,少子化対策の面においても,教訓を生かしてもらいたい。
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