イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

転倒イワシの唄 ~俺はコケ続ける~

2010年12月29日 01時37分46秒 | Weblog
「なぜ最近、ブログを書かなくなってしまったのですか?」

と、とある人から訊かれた。

「話せば長くなる。いつかきっと伝える日がくるから、今はそっとしておいてくれ」

潮風に吹かれながら、僕は答えた。

と、いうのは嘘である。

なぜブログを書かなくなったのか? 人には訊かれないが、自問はしている。やっぱりちょっとは気になっている。

思い当たる節はいろいろある。

ツイッターではわりと頻繁につぶやいているので、そっちにネタやエネルギーが流出してしまっているのかもしれない。仕事モードからなかなか抜けきれないので、まとまって何かを書くという時間を作れない(作らない)という事情(というか単なる言い訳)もある。人生について、いろいろと胸に去来するものがあり、うまく言葉でそれを表せないという実存的な問題もちょっとだけはある。単に面倒くさいと思ってしまう自分もいる。どうせ書くならくだらないことじゃなくて、まともな身のあることを書きたいという真面目な自分もいる。他にも、さまざまな要因が絡み合っているような気もするが、うまく分析できていない。というか、もともと、分析の対象にするほどたいしたブログではない。結局、いずれにしても深い意味などないのだ。

そんなわけでしばらくブログを放置していると、よけいに悪循環にはまってくる。たまに昔の記事を読み返したりして、妙に客観的になって恥ずかしくなったりもする。ようこんな青臭いこと書いたもんやなあと。ここまでアホな奴もめったにおらんなあと。度胸モンやなあと。

それにしばらく放置していると、いざ書こうと思っても言葉が出てこない。

会話でもそうだ。ある人と仲良くなって、毎日あれこれしゃべり続けていたら、「どこそこのカレー屋さんのらっきょうがやたらと美味しい」みたいな些末なネタで、いくらでもしゃべり続けられる。しゃべればしゃべるほど、ネタが出てくるものなのだ。

だけど、めったに会うことのない人が相手だと、会話が続かない。「お仕事の調子はどうですか?」「天気がいいですね」。みたいな話をしてしまった後に、言葉が出てこなくて窒息しそうになる。もともと僕はとっても口べたなのだ。文章でも同じだ。書いていないと言葉は出てこなくなる。

しばらく何も書かずにいたのに、いきなり「帰省するまでに冷蔵庫の食材をすべて食べ尽くさないと」とか、「公園で歩いていたら段差に足をとられてずっこけた」みたいな些末な日常をいきなりあらたまって書いてよいものかどうか躊躇してしまう。そんなくだらないことを、世間様にむかって発信するべきなのかどうか、しばし考え込んでしまう。実際、家のなかでずっと仕事を続けているだけという、金太郎飴みたいに同じ日々を過ごしている僕の周辺に起こっていることは、この程度の非常に小スケールな事件しかないのである。

*

というわけで、今日は夜に公園を散歩していたら、思い切り転倒してしまった。走っていて転ぶならまだしも、歩いていて転ぶというのも情けない。足腰、弱っているのか。暗くて段差に気づかなかった。一瞬、足首が折れたかと思うほどの激痛が走り、そのまましばらく芝生に横たわった。やけに星が綺麗だった。あの星は、夜空に輝く星なのか、激痛によって脳内からわき上がってきたイメージなのか、わからなかった。

俺はこのまま死ぬのか――、そう思った。

というのは嘘であるが、死ぬときってこんな感じに不意に訪れるんだろうなあって思った。

部活でサッカーをしていたときは、頻繁に足をくじいていた。足は痛かったけど、なんだか昔を思い出して懐かしくなった。足をくじいたのは、散歩していたから。散歩しなければ足はくじかなかっただろうけど、くじいてもいいから散歩する人であり続けたい。なんてことを考えたりもした。リスクをとらないことが最大のリスクなのだ。危険な道を走り続けることが、僕にとって一番の安全策なのだ。そうだ、走り続けよう、歩き続けよう。来年も。

足首を引きずりながら家まで歩いて帰った。年末までには治らないだろうから、歩くのは大丈夫だろうけど、今年はもうジョギングはできない。結末はいつもあっけなく訪れるものなのだ。

冷蔵庫をあけて、水で喉を潤した。あと2日しか東京にいないから、冷蔵庫のなかも綺麗にしておきたい。みかんも食べ尽くしておきたい。もともとあまり食材は入っていないし、野菜を駄目にすることも多いのだけど。大根が三分の一、納豆、卵、細切れ肉、しなびてきわどいブロッコリーなどが残っている。生姜は年を越してくれるだろう。

昼間、パスタをつくっていたら、タカの爪、コショウ、オリーブオイルが、惑星直列するみたいにいっぺんになくなった。ありがとう、今年のペペロンチーノ。百回以上つくったような気がするな。

まだ仕事は続けているが、今年最後の納品も昨日で終わり、すこし気持がほっとした。いまやっている本の仕事は、本当に楽しい。これが翻訳を始めようとおもったときに、求めていた何かなのかも、という手応えを感じている。かっこよく言わせてもらえば、仕事じゃなくて作品をつくっているような気持になりつつある。とんでもない駄作になるかもしれないけど。

そして久しぶりにブログを書いて、少しだけ肩の荷がおりた。浜田の旅行記、マラソンレポートの続き(4月から連載休止中 笑)、ほかにもいろいろと書きたいことはあった。ごめん、来年絶対に書くから!

やっぱり久しぶりに書いてよかった。書き出せば、また恥ずかしいこともたくさん書いてしまうだろう。だが、書いているときは、案外それを恥ずかしいとは思わないものなのだ。


明日から毎日、ブログを書こう。絶対に。


と、いいたいところなのであるが、多分それは無理だろう 笑


というわけで、今日もまたやっぱり恥ずかしいことを書いてしまったのであった。オーノー!












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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
よいお年を~☆ (れんげ)
2010-12-30 07:32:34
ウンウンそうそうってうなずきながら読んでいる自分がいました。私も放置状態です(^^;
おもてなし朗読会、見ました~!とってもよかったです。だじゃれも絶妙で。
帰省お気をつけて&よいお年をお迎えください。
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よいお年を~!! (iwashi)
2010-12-30 12:27:50
れんげさん

コメントありがとうございます。来年はもっと余裕をもって時間を使いたいです ^^ ブログもいっぱい書きたいなあ。朗読会、ご覧いただいてありがとうございました~!

れんげさんにとって来年がよい一年になりますように!
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明けまして! (Lily)
2011-01-04 17:17:23
おめでとうございます
次のエントリーの“2011”に頭をひねっていたら、自己ツッコミが入っていましたね(笑)

わたしも、前半うんうん頷きました。
足首はもう大丈夫?
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おめでとう! (いわし)
2011-01-04 17:42:48
Lilyさん

あけましておめでとう!
いきなり今年を振り返ってしまいました(^^)
修正しました~。

足首はまだ完治はしていないけど大丈夫です。今年もどうぞよろしく!
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