マニュアル力vs考える力vs創造する力

東京大学教授の上田正仁氏の著作、『東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方』を読みました。昨今の大学生の思考方法に警告を与えると共に、大人である私にも有るべき方向を啓示する本です。

マニュアル力とは、「答えが一通りに決まっている問題を与えられた時間内に効率よく解く能力」、あるいは「ある課題をルールやマニュアルに従って、てきぱきと処理する能力」です。

考える力とは、問題の本質を見極める力です。。

創造する力とは、問題をあなた独自の方法で解決に至るまでやり遂げることができる力です。

考える力とは、マニュアル力の基礎の上に成り立ち、創造する力は考える力がなくては成立しません。考える力は創造する力と表裏一体の能力です。

「自ら考え、創造する力」は、大きく3つの力に分解することができます。

1つめは、「問題を見つける力」。他の人は誰も疑問に感じないところ、常識だと考えられている所に問題点を見出す能力です。

2つめは、「解く力」。自ら創造した課題に取り組み、克服する問題点を整理・分析・分解し、答えに至たる能力です。

3つめは、「諦めない人間力」。目に見える成果がなくても、諦めず、根本的な解決・答えを見つけ出すまで粘り強く考え続ける能力です。

「何が分からないかを明確に意識する」という過程こそが、「問題を見つける力」の最も肝心な部分です。問題を見つける極意は、情報を集め、内容を理解した上でそれを捨てることです。

「解く力」では、「類型化」「要素化」「各要素の個別解決」という段階を追うモデルを適用します。

最も重要なのはエラーをしてもへこたれず、何度でも粘り強くトライを繰り返す「人間力」です。また、失敗から何かを学び取ろうとする冷静な分析力です。

失敗は成功の母。怒れる必要はありません。決して諦めず、希望を持って最後までやり抜くことが成功に至たる秘訣です。

考え続けるということは、言い換えれば「ひらめき」を待つということです。一生懸命努力を重ねて行き詰まったとき、ピンチのときこそ、「ひらめき」は近いのです。

副題にある通り、想定外の時代を生き抜くためにヒントを教授してくれます。迷っていたり、考えに煮詰まっていた自分に、勇気を与えてくれました。