おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
終戦から77年となる昨日(8月15日)、全国戦没者追悼式が九段会館で約310万人の戦没者の冥福を祈って開催されました。
東京から栃木への疎開家族であった私たちの子ども時代には、浅草で戦火から逃げ惑う父母の話、満州やラバウルから帰還した叔父たち、あるいはすんでのところで玉砕を免れた特攻隊員だった叔父の話など、戦争というものが実に身近に感じられていたものです。
ところが、終戦から77年も経つと、戦争の記憶が悲しいほどに風化して唖然とすることがあります。
1.8月13日の産経新聞(The Sankei News)「主権回復」第4部「戦争とどう向き合う(2) 自分は戦えるか 迫る現実」に衝撃的なグラフが載っていました。
「世界価値観調査(2017~20年)」の「戦争になった場合、あなたは国のために戦いますか?」の問いに対して、対象の世界16か国中で日本が「はい」の割合がもっとも低い13.2%。
40%前後のイタリア、カナダ、ドイツと比べても際立って低い数値でした。
中国は90%近くが「はい」、さらにスウェーデン、フィンランド、ポーランド、ロシアが続きます。
ロシアから侵攻される前のウクライナは60%弱でした。
もう1つの特徴は、年齢が下がるほど「はい」(戦わない)の比率が下がるのも特徴です。
グラフだけなら次にURLから見られますので、目を通しておいてください。
https://www.sankei.com/article/
20220813-S3VXAU6CEVOFBLIRU5I7MK7NRY/
2.日本にとってこの戦争がどういうものであったかを知るために、事実に基づいて冷静に書かれた2冊の本を紹介します。
(1)大東亜戦争における6つの作戦の失敗の原因を経営学者、政治学者などが掘り下げ、構造的問題と結びつけた日本軍の戦略論・組織論の歴史的名著『失敗の本質』(戸部良一ほか)。
共著者の一人の村井友秀氏は日本軍には組織的な問題が3つあったことを[「侵攻」の後で ウクライナと戦後77年]<最終回>〕で「日本完敗 軍組織に欠陥」として次のように語っています。
讀賣新聞オンライン(8月15日)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220814-OYT1T50132/
1)戦略・作戦・戦術各レベルでの目標が不明確だったこと
2)根拠のない楽観主義に支配され、兵力を逐次投入して自滅していったこと
3)あいまいな目的で陸軍の部隊を小出しに送り込み、次々に全滅していったガダルカナル島の戦いが典型例であること
1984年の出版の本ですが、「日本完敗の失敗の本質」を教訓に残せる本です。
(2)このブログに何度か書いていますが、『忘れたことと忘れさせられたこと』(江藤淳、文春文庫)。
『忘れたことと忘れさせられたこと』は、日本がいわゆる「無条件降伏」をしたのではない事実を日本人自身が歪曲したことをさまざまな公的文書で明らかにした本です。
メディアの90数%は「無条件降伏」として報じていますが、この本を読むと「そうじゃなかったのか!」と驚くはずです。
著者のもう1つの『閉ざされた言語空間』(文春文庫)― 戦後のGHQの検閲による言論統制と新聞社自身による自主規制がわかる本 ― と共に読むと、私たちが教えられてきた歴史認識が一変します。
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<お目休めコーナー> 8月の花(14)