アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(8月5日)はテレワークの1日。
ある筋から私に5冊の本の推薦を依頼されたので絞り纏める作業をしていました。
仏教の本を1冊取り上げたいと思ったのですが、入手困難なので諦めました。

何だかこのところ、私の本を巡って世界がどんどん広がっています。
この8月から11月にかけて面白い現象が次々と起こりそうでワクワクしています。


さて、昨日の19:45~22:00は12人の受講者を迎えてカウンセリング道場のチャレンジコース。

仲間から「ベテラン・クライアント役」と呼ばれ、自らをこのカウンセリング道場での「ヒール役」と称する谷 正さんがクライアント役。

中島美恵子さん、栗山慶美さん口野重昭さんの3人がそれぞれ15分以上担当。


栗山慶美さん 担当場面)


口野重昭さん 担当場面)

谷さんが積年抱えているテーマでカウンセリングが始まりました。

うすうす気づいていることでありながらも解決できる問題ではないことをご自分でも気づいているテーマだけに厄介でもあります。

私はこのような問題は『ソクラテスの対話』の技法が使えると連想しました。
ただ、講座中は申し上げず、その代わりここにある文章をコピペすることにしました。

2016年7月26日、ペルグリーノ博士(モントリオール個人心理学研究所理事長、カナダ心理学会終生名誉会員)が「リーダーのためのワークショップ」と題する講座に「アドラー式『ソクラテスの対話』テクニック」をあえてご披露くださったのです。

その際に私がファシリテーターとして用意した文章が次のものです(一部割愛部分あり)。
「リーダー」を「カウンセラー」と読み替えると、しっくりきます。

リーダーのためのワークショップに「アドラー式『ソクラテスの対話』テクニック」を用いる理由
ファシリテーター 岩井俊憲
 
古代ギリシアの哲学者であるソクラテスの対話法をリーダーのためのワークショップに採用した理由についてファシリテーターの立場から開講の前にお伝えいたします。
 
その根拠は、次の2つです。
 
1.ペルグリーノ博士ご自身がリーダーのためにソクラテスの対話法を身につける必要性を強く願っていたからです。
2.アドラー心理学の中に流れる理論と実践法の中でペルグリーノ博士を置いてソクラテスの対話法を本格的に伝えられるアドラー心理学者が存在しないからです。
 
ソクラテスは、相手が思い込んでいる偏見 ― ギリシア哲学用語では「臆見(ドクサ)」、アドラー心理学によれば私的論理の「基本的な誤り(ベーシック・ミステイクス)」など― に対話法を通じて気づかせ、協力関係をもとに「真の知恵=無知の自覚」に至らせる理論と実践法を用いていました。

このことによってもたらされる効果は「産婆術」とも呼ばれ、相手の不確実な知識から真実の概念が誕生するのを助けることにたとえられています。

ペルグリーノ博士は、アドラーの理論に忠実であろうとする「クラシカル・アドレリアン」の祖であるソフィア・デ・ブリエス博士から博士号を授与され、また教科書にも載せられないこの技法を修得されました。

リーダーを「誰かをどこかに導く指導者」よりも、「自分で本質を見抜く力を探す積極的な参加者の援助者」として位置づけ、リーダーがソクラテスの対話法を身につけることをペルグリーノ博士は願われたのです。

このワークショップでは、1日という時間の制限がありますが、リーダー/カウンセラーこそがフォロワー/クライアントの可能性を引き出すために対話法を身につけることの意義をご理解いただけることと信じています。

心理学・哲学に共通する背景を熟知するペルグリーノ博士こそが、受講者の皆様を通じてこのリーダー向けの「ソクラテスの対話法」を日本に根付かせることができる唯一の存在だからこそ、今回の貴重な機会を設定させていただきました。

受講に先立ち、以上を何とぞご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 
2016年7月27日


対話的なカウンセリングはクライアントに深い「内省」と共にクライアントとカウンセラーとの間に創発(注:「生物進化の過程やシステムの発展過程において、先行する条件からは予測や説明にできない新しい特性が生み出されること」『広辞苑』)がもたらされます。

谷さんが望んでいたのは「内省」によって生み出される「創発」だったのではないでしょうか?


ところで、『ソクラテスの対話』を学べる機会がこの12月に到来します。
ラフですが、次のとおりです。

■ テーマ: ソクラテスの対話法を対人関係・葛藤解決・セラピーに役立てる

■ 共催組織:ヒューマン・ギルド/日本アドラー心理学協会/アドラーと仲間たちの会

■ 企画の目的:
多くの日本のアドレリアンに、世界のアドラー・シーンで活躍する優れた臨床家・教育者であるマリーナ・ブルフシュテイン博士から、アドラー心理学のエッセンスを、より深いレベルで学ぶ機会を提供する。 (コンテンツだけでなくコンテクストを学ぶ)

■ 開催方式: オンライン・ワークショップ(WS)

■ 日 程:12月 3 日(土)4 日(日)に Zoom で開催

<お目休めコーナー> 8月の花(5)



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