第3回目では、ジャック・ウェルチが「タイプA」のライフ・スタイルを持つ人間であったことを書きました。
このタイプは、経営面で「急げ、急げ」病を発揮しますが、個人生活でも破綻を来たしやすいのです。
事実、彼の結婚生活は、以下のとおりです。
1980年代半ば、RCAの買収など仕事上で最大規模の交渉を進めている間に、わが私生活で最大の合併話が壊れつつあった。妻のキャロラインとの間がうまくいかなくなったのだ。
私は一貫して極め付けのワーカホリック(仕事中毒)であり、妻は4人の子供を育てる仕事を立派に果たしてきた。長女はハーバード大ビジネススクールで勉強している。長男は私の出たイリノイ大の化学工学の修士課程にいる。二女はハーバード大の建築学の修士課程だ。二男はバーモント大に入った。
私は妻には引き続き家庭にいてほしかったが、妻の方は子育てを終えて、外で新しい道を歩みたがった。あれほど私の出世を支えてくれた妻だったが、私がGEの頂点に立って以来、仲がギクシャクしていた。お互いに友情は感じ、尊敬はしていたが、共通するものがなかった。長い間つらく、苦しんだ末、87年4月に、28年間の結婚生活に幕を閉じた。友好的な離婚だった。子供たちに分別があり、理解してくれたのが幸いだった。もし子供がまだ幼かったら離婚は大変な痛手になり、傷ついたことだろう。
*『私の履歴書』(日本経済新聞社)より引用
「仕事中毒で家庭を顧みなかった」と自ら述懐するジャック・ウェルチは、その後17歳年下の弁護士と再婚します。
ところが、です。
GEを引退したが、人生から引退したわけではない。終わりでなく新しい人生の始まりだ。95年に心臓のバイパス手術をして、体調はすこぶるいい。もっと妻と一緒にゆっくりできる時間が増えるのを期待している。
と同じ『私の履歴書』を結んだウェルチは、2度目の妻からも離婚されているのです。
1999年に『フォーチュン』誌で「20世紀最高の経営者」に選ばジャック・ウェルチ。個人的には、心臓のバイパス手術をしたり、2度の離婚をしたり、幸福だったとは言えそうもありません。