漢字の指導は、本当にあれこれ試した半年でした。
文字には、音があります。
そして漢字には、意味もついてきます。
意味
音 形
この三角形(線が引けない・・)が全部くっついていないと、
見て意味がわかるけど、読めない(正しい音が出ない) → 音読できません
読めるけど、意味がわかっていない → 書き間違えます
読めるけど、形を覚えていない → 書き間違えます
漢字って文脈で読めるので,結構「知ってるけど書けない」でもOKな文字でもありますね。
「え~と、なんて書くんだったっけ」なんて
私は一年中言っています。
チャレンジの子どもたちは、全員、書字に弱さが見られます。
中でも「読めるけど書けない」極端なタイプの子がいます。
大変頭の良いのに、どうしても、書くときに形を思い出せません。
ですが、音読させると、すらすら読めるし、ふりがなもちゃんと打てるのです。
他には、
形を見て、音も意味もなかなか出てこない(つまり読めない)子がいます。
英語とはまた違う苦労が、漢字ならではの苦労があるのです。
ちなみに、文字によって読み書き困難の出現率は違います。
音読(読み)の障害は、
ひらがな0.2%、カタカナ1.2%、漢字6.7%で、
書字(書き)における障害は、
ひらがな1.2%、カタカナ2.1%、漢字6~8%
(参考:宇野彰(2004)「発達性 dyslexia」Molecular Medicine Vol41, No.5.)
とあるように、
ダントツに漢字の習得は難しい。
(ちなみに英語の読みはもっと難しいんですよ:余談)
ですから、教える方も、その子の認知情報処理タイプや、興味関心を生かした指導をすればよいのでしょう。
わたしも国語は参考書を色々買いました。
一番良かったのが、学研の「じゅもんでおぼえる漢字練習帳」でしたが
これは残念ながら絶版。
このすばらしさは使ってみてわかりますが、
イメージと音、そして意味を全部くっつけた”じゅもん”があるところです。
視覚優位の子なら、一発でほぼ書き順まで覚えてくれるという
涙が出そうなくらい嬉しい本なのです。
そしてそれを参考に、「自分で作ってみなさい」と進めました。
やってみようと思った子だけが取り組みます。
以前にも紹介しましたが、本当に面白いのができます。
(ホワイトボードアプリを使ってipadで作成したものを保存)
これも、「じゅもん」をなるべく一緒に考えて、
言葉で連想できるようにしますが、ここは最初は大人の力が必要かと感じます。
ちなみに
希 = 「メ!布で希少動物をとっちゃだめ」
印 = 「イケメン(Eの形の上の方がちょっとスネ夫っぽいらしい)兄ちゃんが、鎌を持って印をつける」
だそうです。飛・・・忘れましたが、鳥が串刺しになっていたような話だったと思います。
そのあたりから始まって、
「自分らしく漢字を勉強する」を探して、ようやく最近定着したように思います。
昨日、漢字テストをしていた子が間違えた漢字を
さっ、とイメージ化しながら練習していたのを見て、
彼は自分の勉強法を手に入れたな、と感じて嬉しく思いました。
そのほかの子どもたち。
Aくん、アプリで筆順をやってたはずなのに。
こんな絵になっちゃって。これ、なんですか?
また、Aくんが英語で使ってるノートにこんな絵も。
落書きに見えてたんですが、
「これ、漢字なんです」とお母さん。
それなら、とノートを新しくして、
そこに書きためるようにしました。
国語の漢字の時間に書きました(下)。
二年生の漢字練習帳から、自分で選んで絵にしています。
漢字の選択は、
「どれを選んでもいいけど、自分が書けない漢字」という条件があります。
「君は才能がある!これはすごい!
全国のガンダム好きで漢字が苦手な子に売れるで!」と
応援しています。(どんな応援や・・・)
Aくんに引き続き、Bくんも、イメージ化の得意な子です。
ある日、「根」という字を覚えようと思って
黒板が好きなので、「黒板に書いておいで」と言ったら、
一面に、「漢字の絵」を書いていました。
根っこから連想したのでしょう、幹、枝、葉、雨、空、太陽、
そして川、村、田、岩、山・・・など、
どんどん広がっていきました。
お母さんと、「これからこの方向で漢字増やして行きましょう」と相談し、
本人も乗り気だったので、さっそく今週からコレ(下)。
素敵な大きいスケッチブックに、カラー筆ペン。
お母さんの気持ちが感じられました。
「今日は何にしよう~」
というので、
「町はどうかな。町の中にはいろいろあるねえ~」と振ると、
そこから「よっしゃあ!」と取り掛かりました。
時間が15分しかなかったのですが、わからない漢字も沢山出てきます。
「ええっと、”こうそうびる”の”こうそう”ってどう書くんやったっけ」
「ええっと、”かばん”・・・・”かせんじき”・・・」
自分で、電子辞書代わりにポメラ(小型ワープロ)を使って
どんどん調べていました。
「おれ、こんなに調べたんやで!」と
履歴を得意そうに見せてくれました。
この後どう進めるかな。
写真を見せて、それを漢字で表現していくとか・・・
なんか色々面白そうなことを思いつきます。
「これで6年生までの漢字が覚えられるんですか??」
と言われると、それはどうかな~
でも今は、これまで嫌々やらされていた漢字の練習に
前向きに関わってくれている、
その姿勢を大切にしたいと思っています。
無理にさせてはいけません。
今はこんな様子ですが、これが、これからまだまだ変わると思います。
子どもは成長し、変化していくので
それにこちらが合わせてやれば、勝手に勉強方法を見つけてくれる。
ちなみに、「じゅもん」方式で最初覚え始めた子も、
いまは、じゅもんなしでも覚えられるようになっていますよ。
いつまでも同じやりかたに指導者がこだわらないのも大切だと思います。
人の想像力や個性っていうのは、素晴らしいと感じさせてくれました。
大切に育てていかなくちゃ、と思ってます。