学習障害と英語指導を考える

特別支援の視点から。
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チャレンジ教室:文字の想起が弱いAくん

2017年07月05日 | チャレンジ英語教室(読み書き困難)

チャレンジ教室は私にとっても、いつもチャレンジです。

参加して1年ちょっとになる小学生のお子さんは、
「文字と音のつながり」が極端に弱いという問題を抱えています。

ですが文字そのものは正しく捉えられますし、
英語の(すごく難しい)音韻意識テストでも、
満点取るほどになりました。

だけど、文字と音がどうしてもくっついてくれないのです。

この大変さといったら・・・
知ってる文字、
なのに音が思い出せないんです。

想起がこれほど大変だと
当事者にとっては「知ってるはず」というのはわかるので、
間違える度に、恥ずかしい、くやしい、悲しい、そんな思いでいっぱいになるだろうなあと思います。

例えば顔がわかるけど名前が思い出せない人が目の前にいる状況を想像してください。

「○○です」と言われて「あっそうだ!○○さんだった!」みたいな。記憶のどこかにはあるけれど、引き出すのが難しい・・・。

目の前に「えっ?ほら私ですよ。先週挨拶したでしょ。名前覚えてくれてないんですか?

」みたいな人がずらっと並んでると・・・という状況に、近いかもしれません。

 

彼にとっては、文字を読むことそのものが、苦行になっていたと思います。

1年間かけて、文字さえ思い出せれば、聞こえた単語を読んだり書き取れるレベルになりました。

ですが、文字の想起に脳の処理が精一杯になってしまうことで、
読みスピードが上がらないほか、肝心の意味理解に回す余力がなくなります。

逐次読み、あるいは文字がわからない状態では、
語彙を増やすのも難しく、その上位スキルの文法や読解の理解がどうしても遅れてしまいます

今はまだ小学生ですから、このまま読み書き指導を継続してもいいのですが、
中学校に向けた準備としては、
ワープロの使用がおそらく一番有効な支援ツールになるだろうと思っています・・・

ワープロさえあれば書字は問題なくなるはずですし、
読み上げソフトも使えたら、読字の苦労がかなり軽減されるでしょう。

中学校入学後に、英語学習での合理的配慮としてこれらのツールを使わせてもらえるように、いまからコツコツ備えていきます。


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