学習障害と英語指導を考える

特別支援の視点から。
どの子もハッピーになるような指導を。

国語力に期待すること

2012年12月08日 | チャレンジ英語教室(読み書き困難)

チャレンジ英語教室の受講生は、

今年の5月から国語も同時に受講することをお願いしています。

 

これは3年間、学習障害や発達障害のある子どもさんに英語を指導していて、

つくづく「英語の授業だけでは、伸びない」と痛感したからです。

 

英語も国語も「ことば」であるからには、

言語の基礎となる音の単位を聞き、操作できる力がまず育ってから、

音を意味と結びつけて語彙を増やし、

それが文法ルールに従って文章を聞いたり発話したりできるようになり、

言葉の文脈や意図するところがつかめるようになる。

 

英語でも、例えば文法や単語がある程度わかるようになると

本当でしたら文章を読んで意味がわかる、

自分でも文を作ってみる、

というように進んでいくものだと思いますが、

実はそのずいぶん手前で大きな問題があると感じるのです。

 

 

「○○くん、主語はどれ?」

「・・・・」

 

「名詞って、何?」

「・・・・・」

 

「意味の固まりで、スラッシュしてごらん」

「・・・・・」

 

「このHeって、誰のことを指してる?」

「・・・・」

 

こんなことが本当に多いのです。

 

主語が何かすらわからない子に文法用語を並べて解説したところで、

まったく何を言ってるのかわかっていないことは一目瞭然・・・・。

 

三人称単数だとか現在完了といった

文法用語が難解なんじゃなくて

そもそも、日本語の文構造や品詞の感覚が育っていない!!と感じています。

 

 

今年、国語教室をなぜ開いたか?

 

それは、

徹底的に、文の構造や意味を母国語で理解させたかったからです。

 

大量の問題をこなすには、母国語が良いのです。

英語を早く伸ばしてやりたいから、

国語からしっかりアプローチするのです。

 

 

現在チャレンジ教室で使っている国語教材では、

主語と述語を2年生問題で扱うのですが、

述語は、「何だ」「どんなだ」「どうする」の3種類あります、と説明されています。

これが、名詞、形容詞、動詞にあたります。

 

例えば、

「太郎君は今日は学校に行きました。」

という文章の主語と述語に線を引きましょう、

 

という問題から始まって、

 

行きました、

 

は、「何だ」「どんなだ」「どうする」のどれですか?

 

と問われます。

それがきちんと区別できるようになると、

例文をひとりで分解できるようにステップごとに進んでいきます。

 

それがまあ、驚くほど、最初はほとんどできません。

特に、名詞と形容詞の区別がつかないようです。 

 

母語だからといって、文法が自然と身についているわけではないのですね。

しっかり説明を理解しながら、

言葉集めなどの活動を通して、

文の構造や、品詞や文法の感覚を育てていきます。

 

それがどれほど英語文法の理解の助けになるか、

英語の先生ならきっとピンと来るでしょ??

 

 

数えられる名詞、数えられない名詞とか英語ではありますが、

それ以前に、

 

「名詞って何よ?」

 

を母国語でしっかりと感じさせてやらなくては、

とても英語の名詞などわからないのです。

 

基本の名詞の”感覚”がわからなければ、

動名詞と不定詞がとても理解できないでしょうね。

また、句や節の理解も難しいでしょう。

 

形容詞の感覚がわからないから、

分詞の形容詞的用法がわからない。

関係代名詞が大きな形容詞だという感覚も、

全くわからないのではないでしょうか。

 

 

また、テストや問題では、

「問題の意味がそもそもわかってない」子どもが多いことも問題です。

文章の意図や、何が書かれているのかがわからなくて困っている子どもたちに

英語の授業内では対処してやることなど

ほとんどできないのではないですか。

 

 

でも、多くの子どもたちがつまっているのは、「そこ」なのです。

だとすれば、そこから積み上げなくては、

本当にわかってほしいレベルにまで来ることは不可能です。

 

 

 

英語の先生がその子の英語力を本当に伸ばしたいと思ったら、

国語力から伸ばさなくては。

 

できない、と思わずに、できる方法を考えなくては。

 

 

報告ですが、

5月から始めたチャレンジ国語教室の子どもたちは、

確実に国語力が上がってきていますよ。

 

以前知的ボーダーといわれていたお子さんが、

夏休み明けに理科で80点を取ったとお母さんが知らせてくれたのですが、

今週は、算数で90点、他の科目でも70点~80点以上、という結果だったと

テストのプリントを持って来てくれました。

「学校では何の特別なこともしていない」そうですので、

やはり、チャレンジの国語の勉強が良かったんだと思う、

とおっしゃって下さいました。

 

わたしは国語の指導はしたことがありませんでしたが、

それでも伸びてくれるんだから、ありがたいことです。

 

国語できちんと読み書きができる子は、

英語が伸びるはずです。

彼は来年中学1年生。楽しみです。

 

 


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