昨日はチャレンジ教室、今年は新規生が3名入ったので
てんやわんやでなかなか更新できていません。
ですが久しぶりにアルファベットを1から教えられるのは楽しいですし、
音韻意識も同時に指導しているので、彼女・彼らが2年後にどうなっていくか楽しみです。
昨日は、5年生から継続して来ていたAくんが中学校1年生になり、
初めての期末テストを持って来てくれました。
英語は85点。
中間テストも良かったのですが、
期末で取れているほうが重要なので一安心でした。
「わあ、すごいやん!よくがんばったね!
これはお母さんが喜んだでしょう!?」
というと、
「うん」と頷いていましたが、本当にAくんは親子二人三脚でずっと頑張って来られていたので
どれほど今はホッとされていることかと思いました。
Aくんは、小学校4年生の終わりごろにチャレンジ教室に問い合わせがあり、
5年生から通い始めました。
その年、一人だけ受け入れた新入生でした。
ローマ字もほとんどできないだけでなく、国語が大変で、
漢字は書字にも読みにも問題があり、かな文字も逐次読みでした。
ですので、5年生の始めの頃は、『多層指導モデルMIM』を用いて検査をし、
拗音や撥音が特に弱いようだったので、最初はカードを用いて読み練習をしてもらいました。
それも、「ほっぷ」「ぎょう」などの単位からの練習です。
漢字は1つの文字を思い出すまでに、4〜5回消しては書き、消しては書き、
を繰り返しており、「えっと、違う・・・あっ・・・違う・・」とつぶやきながら
何度も頭のなかのイメージを思い出そうとしている様子が見られました。
ですが会話はとてもスムーズですし、
落ち着きのある様子が見られ
我慢強い、頑張りやさんでした。
英語は、アルファベットを最初からやりました。
自宅でも練習できるように、ipadアプリの、StarfallとMontessoriCrosswordsを使っています。
5年生の秋には、文字の形と音がほぼ取れて、
多少間違っていても書けるようになったことから(写真)
ここから一度、Toe by Toeに挑戦しました。
ところが、うまくいかなかったのです。
2文字の混成すらスムーズにできない様子を見て、
それまでToe by Toeで読めるようになっていた子と何が違うのかを考えました。
前年度までToe by Toeで読めていた子は、
日本語の読みには問題がなく、書字にのみ大きな困難のある書字障害の生徒でした。
また、音韻意識のテスト成績も良く、聴覚記憶も高い生徒でした。
いっぽうAくんは、かな文字の読みでも躓いていることから、
文字と音の対応そのものに弱さがあるだけでなく、音韻意識の弱さもあるようでした。
Toe by Toeは、デコーディングに特化している教材ですので
デコーディングの条件となる音素意識がある程度なければ難しいと思っています。
このことから、一旦Toe by Toeはやめて(結局1年近く使わないことになりました)、
OG(Orton-Gillingham)を基礎としたワークブックを使い、
音韻意識を同時に指導するよう、アプローチを変更しました。
("I Can Read Book A" by Cheryl Orlassiono写真参照)
こちらのほうがToe by Toeよりも絵も可愛い♡ですし、
訓練っぽくないので心理的負担も少し減りますね。
音韻意識活動は、オンセットーライムの混成を中心に。
1回あたり30分程度のマンツーマン指導です。
まだ小学生なので、焦らずもう少し、文字と音の対応をゆっくり進めようと考えました。
そのうち、
ipadアプリで課題を作成し、自宅でも練習できるようにしました。
そして6年生の終わる春休みから、
もう一度、今度はスカイプでToe by Toeを集中的に2ヶ月間実施しました。
今度は、デコーディングに集中して取り組むことができました。
読み書きの誤りには、その子の特徴的な弱さが表れるのですが、
A君の場合は、音の弁別が少し弱いこと(聞き分けが苦手)、
そして不規則な読み方をする単語を覚えられないこと(文字を全体で暗記することが苦手)といった弱さがありました。
そのほか、d/b/p/qの混乱といったロゴ表象的誤りもありました。
上のToe by Toeの記録では、
一番下の段で、同じ所を間違え続けていますが、これはサイトワードです。
途中からは、サイトワードを覚える覚え方の練習を工夫するようにして、
なんとか2ヶ月を終了したところで中学入学・・・・。
今ではサイトワードも自分なりに覚えているようです。
「単語練習しているとき、新しい単語でも、音が思い浮かぶ?」と尋ねると、
「うん、音にしてる」と返事が返ってきました。
これはとても大切なことで、
新出単語を覚えるときに音が思い浮かばないと、
なかなかスペリングに結びつかないので
いくら形だけ書く練習だけをやっても意味がないのではないかと思っています。
Aくんは2年間よくがんばりましたが、
最初にも書きましたが、親子の二人三脚だったからこそ、定着が早かった。
課題を確実に自宅でやってくれました。
入会当初は、「高校なんてとても無理では」と心配されていたので
ここまでの道のりは精神的にも大変つらい時期があったのではないかと想像します。
いまのAくんは、部活も充実して、
勉強も「僕一番だった」と言えるくらい自信を持った様子から、
小学校のときの学習困難の様子は見えにくくなっています。
ただ、生来の弱さは弱さとして存在しているので、
彼の努力が今は実っているけれど、スピードを要求されるような課題になると
もしかすると弱さが出てくるかも知れないな・・・と思いながら、
これからは文法に取り組んで行くところです。
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