薪割りも最後の佳境に入った。細木は全て処理が終わり、残りは大物ばかりである。大きいものは直径70センチ、長さ3メートルもあり、一人ではテコでも動かぬ。一本数百キロはあるだろう。
チェンソーの刃を研ぎながら、どうしたものかと思案している所へ、偶然昔の座禅仲間が二人やって来て、手伝ってくれるという。渡りに船とは将にこのこと。私のラッキーボーイは、今でも続いているようである。
チェンソーでの薪切り作業を終えて仕事場に戻ると、作業着に小さな尺取が付いていた。迷ってうろうろと頭を振っている尺取に指を差し出すとすぐに乗って来た。暖かいから気持ちが良いのか、よく動く。しかし、指の先端に来た時、先がないので頭を上げていつまでもゆらゆら揺れていた。こいつは、植木の葉を食べてしまう害虫ではあるが、生まれたての1センチに満たない赤ちゃんであれば、生かしてやりたい。そこで、梅の新芽の上にそっと置いてやった。梅の葉が好きかどうか知らないが、「頑張って生きなさいよ」