一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1028  チンチロリン宿の廊下のうす灯り   遊石

2013年09月14日 | 

チンチロリンとは、①鳴き声からくる松虫のこと。②ドンブリに3個のサイコロを入れて、出た目で勝敗を決める、日本の伝統的サイコロ賭博。

 この句の「チンチロリン」は、二つを同時に言っているに違いない。つまり、外では松虫が鳴いていて、宿の部屋ではサイコロ賭博が行われているのだ。唱歌「虫の声」をお聞きください。以下、歌詞です。

 あれ松虫が 鳴いている
ちんちろ ちんちろ ちんちろりん
あれ鈴虫も 鳴き出した
りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ

きりきりきりきり こおろぎや(きりぎりす)
がちゃがちゃ がちゃがちゃ くつわ虫
あとから馬おい おいついて
ちょんちょんちょんちょん すいっちょん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ

キキョウ(桔梗)

 

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1027  虫の声又付け出した夢日記

2013年09月13日 | 

  スナックW・Hのママ春子が、我が家の10畳の居間に中島みゆきを連れて来ていた。居間には10人ほどの知らない人たちがいて、中島みゆきを囲んで座っていた。ギターは抱えてはいなかったが、これからミニコンサートが始まるらしかった。

  春子が、私に「中島みゆきさんよ」と紹介した。微笑んでいる彼女と目があって、お互い何も言わずに会釈した。ところが私は、コンサートも聞かずに自分の部屋へ行ってしまう。申し訳ないと思いつつも、体が動いてしまうのだった。

  私の部屋には、姉夫婦が泊っていて帰ったらしく、蒲団が敷いたままになっていた。蒲団を片付けていると、携帯ラジオが兄の枕元に置き忘れられていた。その他にもいろいろ忘れ物があったようだった。

蒲団を片付け終わった頃、帰ったはずの姉が戻って来た。

キンミズヒキ(金水引)

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1026  風巻きてざらつく心藪枯らし   鼓夢

2013年09月12日 | 

今年も、つい先日風が巻いた。いわゆる竜巻で甚大な被害が出た。巻きあげられた植木鉢の破片が、外壁に突き刺さっているのだから、人間に当たったら命にかかわるだろう。

さて、「ざらつく心」とは、初耳で面白い言葉だ、と思った。ところが、インターネットで調べてみると、皆さん結構使っている。特に若い人たちが「不快感」を表わす言葉として使っている。例えば、あるブログの

「普段接してて、心がざらつくというか、すごく居心地の悪さを感じる人がたまにいる そういうときのあの感覚ってどこからくるんだろうね 自分が大切にしてる何かを、相手がないがしろにしてることへのざらつきなのか、自分が目を背けてる何かに目を向けさせられることへのざらつきなのか」

季語の「藪枯らし」は、蔓性の雑草でちょうど今頃可愛い花を咲かせていて、名前の通り嫌われ者ではあるが、「ざらつく花」とは言えない。

スズメバチはウド(独活)の花が大好きです

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1025  亡き人によく似た人や風の盆  正子

2013年09月11日 | 

 八尾には、お盆が2度あると言われている。旧暦で言えば、7月15日満月のお盆と、8月1日新月の風の盆である。風の盆も一応お盆だから、この句のように死者や彼等の霊との交感が生まれるのも自然だろう。

話は変わりますが、世の中には、人間の顔の共通点を探しだすタイプと、相違点を探すタイプがいる。私は後者のタイプだから、生まれたばかりの赤ちゃんを見て「あらー、パパそっくりね」などと言うのを聞くと、吹き出してしまいます。「確かに、目は二つ、耳も二つ、鼻は一つ・・・・・共通点を探せばいくらでもある」

 というわけで、風の盆に関する俳句は、これでおしまいです。

日本の最近の馬鹿騒ぎ

富士山の世界遺産・東京の五輪招致

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1024  君思う心の叫び胡弓の音  みつ子

2013年09月10日 | 

 「風の盆」が、遊郭やお座敷の芸者の踊りから派生したとすれば、掲句のようなとらえ方も当然生まれるだろう。

 演奏される「おわら節」の歌詞は、7.7.7.5の26文字で構成する甚句形式である。主として男女の恋愛を題材として扱ったため情歌とも呼ばれる都々逸(どどいつ)と同様と考えて良いだろう。

  おわら節の歌詞は、時代と共に増えてゆき、今では3,000程あるという。以下、その内のほんの一部。

 ○来たる春風 氷が解ける うれしや気ままに 開く梅
○私ゃあなたに あげたいものは 金の成る木と 卵酒
○虎は千里の藪さえ越すに 障子一重が ままならぬ

○恋の病も なおしてくれる 粋な富山の 薬売り

○見たさ逢いたさ 思いが募る 恋の八尾は 雪の中

○話するなら 小松原の下で 松の葉の様に こまごまと
○おわら踊りの 笠着てござれ 忍ぶ夜道は 月明かり
○お風邪召すなと 耳まで着せて 聞かせともなや 明けの鐘
○待てど出てこず 出る時ゃ会えず ほんにしんきな 蜃気楼
○蛍こいこい 八尾の盆に 夜の流しの 道照らせ
○鳴くなこおろぎ 淋しゅうてならぬ お前一人の 秋じゃなし
○私ゃ野山の 兎じゃないが 月夜月夜に 会いにくる



 

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1023  編み笠の角度揃へり踊りの輪   晋

2013年09月09日 | 

 風の盆で踊っている若者達は、八尾で生まれ育った八尾ッ子。生まれた時からおわら節と踊りを間近に見聞きしながら育った若者達だそうです。

風の盆で踊る娘たちは、25才までの未婚者に限り、結婚すれば踊れない、26才になれば踊れないのだそうです。

 この句のように、踊りを見て私は、彼らが十分な稽古を積んでいることが分かりました。だから、東京など各地から請われてまで、出張の演舞をしているのでしょう。

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1022 三味胡弓秋の音色を奏でをり

2013年09月08日 | 

 八尾で人気の「鏡町」の踊りを見ることができたのは、実にラッキーでした。お陰で、風の盆の真髄に触れた気がしたし、遠く八尾まで来た甲斐がありました。

 ビデオで見てはいましたが、実際に見てこその、「なるほど、風の盆にはまり、同じ人が毎年のように訪れたり、30万人もの観光客が道路を埋め尽くすのも、納得」でした。

丁度、同じ鏡町の私が見たのと同じ場所、同じアングルで撮ったビデオがありましたので、是非ご覧下さい。

「風の盆・鏡町」←クリックして下さい。

高度に洗練されたおわら節と踊り、照明のぼんぼり、舞台装置、演出は完璧です。

かつて、花町として賑わった鏡町の踊りは、芸妓踊りの名残もあって

艶と華やかさには定評がある

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1021  風の盆旅に出ている風の神

2013年09月07日 | 

  初秋の日本海から吹く風「ダシ」は、稲作業に様々な弊害をもたらしたため、越中八尾では、風よけを祈願する「風の宮」を建て、風の神を祀ったことから、江戸時代に「風の盆」が始まったようです。

  又、風の盆は、本来旧暦の八月朔日(ついたち)つまり『八朔』に行われていた。「二百十日」の頃でもあり、台風シーズンとも重なり、風の神を鎮める祭りとして定着したようです。

 祭が効いたらしく、今年は雨の神が頑張っていて、風の神は大人しくしていました。

上新町の輪踊り。観光客も参加して・・・・

 

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1020  人込みのゴミとなりけり風の盆

2013年09月06日 | 

 夜の9時、八尾町指定の駐車場でバスを降りる。そこには、八尾育ちのガイドが待っていた。彼女の案内で、西町、東町、諏訪町、上新町など、ぶらぶら1時間近く歩く。

 通りに面する建物は、江戸時代あたりの古い町家、屋敷、蔵などに統一されていた。郵便局や銀行なども一見するとそれに見えない、昔ながらの構えなのだ。見事であった。こんなに調和の取れた町なら確かに住んでみたい、と誰でも思うだろう。

 さて、この町を日本全国からやってきたバスツアーの観光客が、風の盆を見ようと徘徊している。出発前に言われた通りの状況で、夜9時過ぎなのに通りは観光客に埋め尽くされていた。

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1019  雨上がりものみな澄みて秋に入る  沙会

2013年09月05日 | 

 越後に入ってからずーっと雨。熱帯低気圧になった台風に、前線が刺激されているらしい。2時過ぎに、バスは宿泊先の越中宇奈月温泉に到着。掛け流しの露店風呂に入り、ありきたりの旅館料理(名前はホテル)を食べ、しばしの休息。

  夜9時にバスが八尾に到着すると雨は止んでいた。天候は、やはり杞憂だった。この句のように、雨が塵芥を押し流し、冷気を呼び、皆さん正に初秋を実感したのではないだろうか。

 さて、風の盆は江戸時代から始まっているが、現在のような祭形式になったのは、明治以降という。当時の八尾は輸出産業の養蚕が盛んで、越中の絹織物の集散地であり、薬などと共に商業が盛んだった。当然、財をなした羽振りの良い旦那衆が沢山いるから、遊郭なども繁盛していたそうである。関西・関東からも歌舞音曲の人々が集まり、洗練された「おわら節」と優雅に振付された花柳流の「踊り」が考案されたのだそうである。

ススキ

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1018  随道が分かつ晴雨も秋の旅  摩耶子

2013年09月04日 | 

  川端康成の雪国の冒頭ではないが、晴れが一変し関越自動車道の長いトンネルを抜けると、空はどんよりとして霧雨が降っていた。

 たとえ小雨でも楽器が濡れると、おわら節も踊りも中止になると聞いているから、今夜の「風の盆」は中止だろうか。折角の旅がオジャンになるかもしれない・・・・

 しかしこの句には、なるようにしかならないんだから、そんなことは心配はせず、精一杯秋の旅を楽しみましょう、という作者の達観の境地が感じられて快い。

 さて、本来の「随道」は中国語に由来し、棺を埋めるために、地中を掘り下げて墓穴へ通じる道のことを言う。「隧道」とも書き、現代では「トンネル」と同義。

 

ハギ(萩 )  マメ科ハギ属の落葉低木

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1017  八尾にて我を待つのか酔芙蓉   猛

2013年09月03日 | 

 9月1,2日、越中八尾おわら風の盆、俳句吟行の旅に行って来ました。

「風の盆」は、昭和30年代ぐらいまでは、ほとんど近隣の人たちしか知らないローカルな祭りで、見物人も大して多くなかったそうです。

 ところが、1985年(昭和60年)に、高橋治の小説「風の盆恋歌」がベストセラーとなり、一挙に火が付き、今では人口2万人の町に、3日間で30万人が訪れるそうです。

 ですから、この句を鑑賞するには、どうしても「風の盆恋歌」を読まないと始まらないのです。小説の影響で、今では八尾の町のいたるところに「酔芙蓉」が植えられています。

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