一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

74   海に出て木枯帰るところなし   誓子

2010年11月24日 | 

「現代俳人の自選50句」というような本があった。私の句会の会員に、「この中から、好きな句を10句選んで下さい」とプリントを渡した。

 

高得点だったのが、この句。俳句をやっている人なら、ほとんど知っていると思う。

 

この句、単なる風である木枯を擬人化して、作者の孤独感を表現している。しかし、次のような解釈も成り立つ。

 

私(作者)が海(浜辺)に出たら木枯が吹いていた。私には帰るところがない。

 

「出て」と「なし」の主語が「木枯」でもあり、「私」にもなり得る、という曖昧さが、この句の良さだ。俳句の短詩という特質をうまく利用した典型と言える。

 

山口誓子は、昭和の戦前・戦後に活躍した。朝日俳壇の選者を永年務めた。

特に、「物A」と「物B」を詠み込み、読者に喜怒哀楽を感じさせるという、二物衝撃の方法を提唱したことで有名。

 

 

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 73  八十路とは見えぬ気... | トップ | 75   木枯へピカソの顔... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

」カテゴリの最新記事