(きりふかし/ されどこのみち/ ひたすらに)
来日したインドのお坊さんが言っていた。「生きることは苦である。もしも疑うなら、例えばあなたの大好きな食べ物を、食べ続けてごらんなさい。好きな音楽を聞き続けてごらんなさい。必ず苦痛になります」この時は、何故か「なるほど・・・」と納得したものだ。
つまり、老病死が苦であることは誰でも分かるが、生きることが苦であることは、現代のように物の溢れた未曾有に豊かな時代では、なかなか分かりにくいのだ。
しかし、戦争も病気も飢餓も知らずに、人生を謳歌してきた幸福な私達にも、必ず老病死という苦がやって来るのであって、誰ひとり逃れることはできない。
この句の「霧深し」は、そういう人生の先行きに対する不安や恐怖を意味しているのだが、「この道をひたすらに歩もう」という作者の決意表明に、私は大いなる賛辞を送りたい。
イヌタデ(犬蓼)赤まんま、とも