奪衣婆に椿を手向け友恃む 薪
告知祭聖母のようなまり子逝く
無観客桜並木が透き通る 鞠
若布干しカラカラ音の風の道
病み上がりの夫に一杯蜆汁 パピ
居酒屋の名前はコロナ春嵐
菜の花や夕日映えつつ風の波 イヨ
ふるさとの山写しつつ水温む
夕暮の日輪淡しつくしんぼ 沙会
いつまでも莟にあらず桃の花
一陣の風に踊るや雪柳 海人
雨雲と春満月のかくれんぼ
わくわくとシャカシャカ振るや種袋 洋子
春眠やバターの溶けゆく香りする
幼な児のあやせば笑う花の下 稱子
海一望の展望風呂や花吹雪
春の海人類vs病原菌 炎火
トイレットペーパーマスクラーメン山笑う
風そよぐ谿に溢れる山桜 豊春
葉桜や誓いの指輪照る涙
ヨロヨロにコロナを加え春を往く 余白
遅き雪自宅待機爪を切る
天災かはた人災か花に雪 凛
花浄土われらは後期高齢者
気疲れを軽く揺らして花ミモザ 繰子
ふたりには戻れぬ一人花の雨
春の町恋ヶ窪行きバスが来る さくら
次郎長の煙管が光る春の暮
春爛漫夜の宴もテレワーク 裕
武漢より届いた知らせサクラチル
人混みを逃げて静かな野の桜 貴美
青年にウィルスの匂い西行忌 雲水
諸葛菜咲かせて貧しからざるよ
ハコベ(繁縷)
一月ブログをアップしなかった。理由は、➀ガラケーからスマホに替えたからだ。犬の散歩で見つけた植物を、Facebookに載せていたのと、➁コロナウィルスのニュースに気を取られていたからだろう。句会も集まるのを中止し、インターネットで行った。今月も集まるのは無理だろう。
さて、コロナウィルスの影響で、東京、大阪など、都会の医療崩壊が始まっているらしい。政府や首長の対応の遅れは歴然で、残念ながら、武漢、イタリア、ニューヨーク並みの事態になるのではないか。11年前に公開された映画「感染列島」を見るようだ。
武漢のニュースが流れ始めた時点で、又、ダイヤモンドプリンセス号が入港した時点で、渡航禁止、入国禁止を政府が英断していれば、と思うと悔しくてならない。
新型コロナ対策本部、医師会などの言うことに耳を貸さない内閣、厚労省の政治家と官僚の危機感の無さを露呈し、全てが後手後手に回っている。「466億円かけて、布製マスク二枚を全世帯に配る」を首相自ら語るなどは、考えられない事だ。
100年前、1918年から世界中に蔓延したスペインかぜは、パンデミックと呼ばれた3年間に、当時の人口20憶人の4分の1である5億人が感染し、死者が1700万人~5000万人~1億人に達した可能性も指摘されている。
最悪の事態として、スペインかぜと同様に単純計算すると、コロナウイルスによる死者は、世界で6800万人、日本では140万人になる。
そんなことにならないよう、祈るのみ。
小さな町でおどりほおける
雲水さんの句が目に付きました。
>青年にウィルスの匂い西行忌
この句、「ウィルスの匂ふ青年」では、うーむとなるような。
青年にはウィルスの匂いもある…のだと解釈することで納得出来ます。
>諸葛菜咲かせて貧しからざるよ
「貧しからざるよ」と見栄を切ったところに、微笑ましような俳味を感じます。
全国民が窮乏生活を甘んじることが美徳となりつつあるような昨今の空気を、作者も感じておられるようです。
そのような時に「貧しからざるよ」言ってみせる余裕は貴く、まさに風狂の極地のように感じられます。
恐々