「この句には、(や)と(かな)の二つの切れ字があるけれど、いいのですか?」という質問を受けました。私の意見としては、
① 切れ字は、一つの方が、焦点がはっきりして失敗が少ない、とでも言っておきましょうか。しかし
② 切れ字が二つは、駄目ではない。あくまで、ケースバイケースです。逆に、どんどん作ってみて下さい。必ず、この場合は良い、この場合は止めた方が良い、というケースがあるはずです。
③ この句の「明治は遠くなりにけり」は知っていても、「降る雪や」を知らない人が意外と多いのです。
つまり、「降る雪や」以外に春夏秋冬、新年のどんな季語でも構わないのです。季語が動く、季語が定着していない、という訳です。しかし、ここが俳句の難しいところですね。
④ では、この句の場合は?
季語の(降る雪や)と(明治は遠くなりにけり)が絶妙なバランスを保っている、と思います。
⑤ 「降る雪や」ですが、「降れる雪」「雪が降る」「雪降れり」など、切れ字を使わないやり方もあるのですが、作者はそうしなかった。
⑥ 結論は、切れ字は二つあって良い、但し、バランスをよく考えること。