「藪枯らし」は、別名ビンボウカズラ(貧乏葛)、ヤブタオシ(藪倒し)などと呼ばれ、雑草の中の嫌われ者である。一方、十六~十七世紀頃、マルコポーロの「東方見聞録」などで、中国大陸の東方にありアメリカ大陸の西にある独立国をジパング(日本)、という記述があるそうである。つまり、当時の欧米では、世界地図に「ジパング」が記載されていたのである。
「俳句は、取り合わせを考えよ」と言われる。例えば、衣服の場合、帽子、上着、ズボンやスカート、靴などどう取り合わせるのか、という美的センスが必要である。建築や料理、茶道など日本文化のあらゆるものに共通している。
さて、藪枯らしという卑小なものに、「ジパングに日が沈みゆく」という地球規模の大きなものをぶつけ、欧米から俯瞰させたことが、この句の取り合わせの妙、面白さと言える。
ハンゲショウ(半夏生)別名 カタシログサ(片白草)、三白草