29日から窯焚きの予定だったが、大型台風が通過しそうなので、延期することにした。こんなことは、28年間で初めてのことだ。
標高400メートルの山の尾根は、やたらと強い風が吹く。恐ろしくて近くのホテルへ逃げ込んだことがあるくらいだ。
数年前の11月、台風は上陸しないで沖を通過したのだが、山の木が相当倒れた。特に山桜が多かった。伊東、網代あたりでは、屋根が飛んでしまう被害が出たくらいだ。瞬間風速4,50メートルはあったのではないか。
台風と言えば、昭和33年の狩野川台風を思い出す。私の家は山の手だったので被害はなかったが、台風のあと学校に行ってみると、教室の机に花が活けられていた。確か、2つか3つだったと思う。小学2年生だったから、大して気にも留めなかったが、今そのことを記憶しているということは、意外とショックだったのかもしれない。なんと1269名が亡くなったのだ。
最近、奄美大島で大雨の被害が報じられているが、私はテトラポットを作るアルバイトで1,2か月住んだことがある。その時に聞いた話だが、
台風の通過中、余りに風が強くて危険なので、工事現場の飯場から町へ非難することにしたそうだ。その時、止めてあった車が宙に舞ってひっくり返ったそうだ。その人たちの車は、人が乗っていた重みで助かったのだが、瞬間風速70メートルあったそうだ。
子供のころは、台風が接近すると、内心喜んだものだ。学校が休みになるし、川の水かさが増えて行くのを見に行ったり、停電のためロウソクの明かりで食事をするのが楽しかった。親の庇護下にいるということは、実に有難い。
この句、私の師匠・多留男先生の句だが、「日本固有の台風と茶漬けが合っていて、戸主の緊迫感がよく表れている」と、句会で西東三鬼に誉められたそうである。