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一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2221  山気満つ蜩繁き伊豆の森    豊春 

2021年08月08日 | 

 山気(さんき)とは、日本国語辞典によると、➀山中に生じる気。山中特有の冷え冷えとしてつめたい空気。➁山間の靄・霧。③山酔い(高山病)➃山気(やまき、やまけ、やまっけ)山師のような気質、 投機や冒険を好む気質、とある。この句の場合は、当然➀であろう。

 ヒグラシ(蜩)は、鳴き声からカナカナとも呼ばれる。漢字表記は蜩、茅蜩、秋蜩、日暮、晩蟬などがあり、俳句では秋の季語とされるセミのイメージがあるが、実際には梅雨の最中の六月下旬頃から七月にかけて発生し、ニイニイゼミと同じく、他のセミより早く鳴き始め、九月中旬頃までほぼ連日鳴き声を聞くことができる。鳴く時間帯は、普通早朝と夕方に鳴くが、箱根などの高地では昼間も鳴いている。つまり、涼しいのが好きなのだ。

 ヒグラシの鳴き声を、寂しい、悲しい、切ない、と感じられるので、映画やテレビなどでは「夏の夕暮」を表す効果音としてよく用いられる。

キンミズヒキ(金水引)

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2171  障子張る祖母のまねして母まねて  洋子

2020年12月04日 | 

 明治維新以後140年、「日本は西洋に追いつけ」とばかりに西洋化していった。軍隊しかり、汽車、自動車、教育、住宅、洋服、音楽、食事・・・まあ全てが変わったと言っても過言ではないだろう。

 能、狂言、歌舞伎、琵琶、長唄、日本画、茶道、剣道、柔道、染物、漆器、陶磁器、日本刀など、西洋化に押されながらも、細々と生き残っているものもある。跡継ぎがいなくなり、絶滅を危惧されている職種も多々あるだろう。

   純和風住宅はほぼ滅んだが、洋風住宅の中にわずかに和室が残り、床の間、畳、障子、土壁、などが残されている。

   さて、この句の「障子張る」は秋の季語。冬に備えて張り替えるからである。障子だけなら冬の季語である。障子は、平安時代後期が起源とされ、障子張りは、千年にわたり受け継がれてきた伝統行事である。

 障子張りは、結構面倒な作業である。子供の頃の我が家は、大掃除と共に年末に行っていて、よく手伝わされた。

 まずは敷居から外して屋外で洗う。近くに小川があればいいし、なければバケツ、ホースがあれば尚良い。

 障子を付け置いてから、こびりついた糊や紙をたわしできれいに落とし、乾かす。糊は、米を煮て作る。障子は下から貼る。最後に霧を吹いて皺を取る。

 現在、我が家には和室がないから障子がない。喜んでいいのか、悲しむべきか。実際私は、喜んでいる怠け者である。

サザンカ(山茶花)

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2170  ぶつぶつと呟き聴こゆ紅葉川  薪  

2020年12月03日 | 

 川面に映った紅葉(こうよう)した紅葉(もみじ)。作者の耳には、何かぶつぶつと呟きが聞こえるという。呟いている者(物)は、文法的には紅葉川の川音かもしれない。しかし、そうとは限らないのだ。紅葉(もみじ)かもしれないし、森のざわめきかもしれない。近くにいる知り合い(人間)かもしれないし、他人かもしれない。森の精霊や神様かもしれない。勿論、作者の意識下の声かもしれないのだ。

 主人公が何か(誰か)解らないし、「ぶつぶつ」の中身も分らない。兎に角どうにでも考えられるし、この句は、実に曖昧なのだ。

 そこで私は考える。作者は、紅葉(もみじ)や川や森、作者の過去や現在や未来、そして己の無意識界に耳を傾け声を聴こうとしているのではないのか。そんな鎮静した作者の心理状態を想像するのは、考え過ぎだろうか。

ユズ(柚子)

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2167  畑道を静かに揺るる草紅葉  イヨ

2020年11月27日 | 

 ここ数日のニュースでは、京都や日光など全国各地の紅葉の観光地に多くの観光客が集まり、混雑している。政府が遂行している、ほぼ半額で行ける「GO TOトラベル」の影響が大きい。

 ところが、北海道を初め、都市圏のコロナウィルス陽性者、重症者が増えつつあり、危険な状況らしい。そして再び「GO TOトラベル」の見直しが始まった。

 そんな人間社会を笑うかのように、畑道の草草は、悠々と秋を迎え、紅葉を始めている。来年の春まで、養分を地下の根に蓄えるためなのだ。

食用菊「もってのほか}

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2166  尽くしたる色の饗宴枯葉降る  雲水

2020年11月21日 | 

 家から少し遠いが、車の通らない国有林の林道で、毎日デンと散歩をしている。 国有林には、杉檜が大量に育っているが、林道脇には落葉小木や野草も沢山あり、風が吹くと枯葉が降るように舞って、目を楽しませてくれる。

  林道には、キウイにそっくりだが3センチほどのサルナシの実が毎日決まったところに落ちていて、デンの大好物である。猪の掘り返した後もあるから、猪も大好きなのだろう。

 今年の夏から、楢の木が大量に枯れる「楢枯れ」が始まったから、猪たちは、ドングリが少なくて食料に困っているかもしれない。

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2165  モーツァルト聞きつ菜虫の捕らわるる  雲水  

2020年11月17日 | 

 ミニトマトにいた、メンガタスズメの幼虫。ナスやトマトを食害する害虫ですが、成虫の蛾の羽根に、人の顔に似た模様があり、それで名付けられたそうです。ドクロ蛾、骸骨蛾とも呼ぶそうですから、

冬は地下に潜り、サナギ(蛹)となって越冬するらしい。

 成虫は、蜜蜂のフェロモンに似た物質を出して、蜜蜂の巣を襲い、穴を開けて蜂蜜を食害するそうですから、見つけたら直ちにハサミでちょん切った方が良さそうです。

トリカブト(鳥兜)

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2164  建売の買い手なきまま赤のまま  稱子

2020年11月09日 | 

  赤のまま(赤まんま)は生命力が強く、各地にのさばっている雑草である。新築したばかりの建て売りの庭に、あっという間にはびこってしまったのだ。

  子供たちがままごとで、この粒の花をしごき、赤飯に見立てて遊んだので赤い御飯、赤まんまと呼ばれるそうである。

 赤のままは、イヌタデ科のイヌタデ(犬蓼)が正式名。辛みもなく食べられないので「イヌ」がついたという。

 一方、刺身に添えられる紫の辛みのある蓼は「柳蓼」で、「蓼食う虫も好き好き」の蓼である。「自分にはよく理解できないけれど、好みは人それぞれだ」という意味である。

スイフヨウ(酔芙蓉)

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2163  草紅葉口紅つけぬ半年間     洋子

2020年10月23日 | 

  秋彼岸もとうに過ぎ、今日は二十四節気の霜降。霜が降りるにはちと早いが、いよいよ紅葉の季節が始まった。今年は、新型コロナウイルスに始まり、一年がコロナ・コロナで終わりそうだ。

 パンデミック、発熱、感染、PCR検査、擬陽性・偽陰性、マスク、アルコール消毒、三密、外出自粛、自宅待機、ソーシャルディスタンス、リモートワーク、テレワーク、休業要請、など様々な言葉が飛び交った。近頃は、go to travel 、go to eat、 go to 商店街、県別のgo to キャンペーンが花盛りだ。

 その中でも、典型的なものがマスクである。この句の、外出しないから口紅はいらない。外出してもマスクをするから口紅はいらないのである。

 紅葉の季節が始まり、作者は口紅をつけないこの半年間と言ったが、まだまだマスクは外せそうにない。これから冬に向かい、インフルエンザとコロナウィルスの混交感染が始まるからだ。

トウガラシ(唐辛子)

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2162  十月のさて鶯の狂い鳴き  雲水

2020年10月13日 | 

 この2,3日ウグイス(鶯)が、8月以来再び鳴いている。原因は、台風14号の接近に伴い、北風が吹いて、12~13度の低温が続いたのに、再び22~23度に上昇。だから鶯が「春が来た」と勘違いしたのではないだろうか。とても珍しい現象である。さすがに蝉は、死んでしまっているから鳴かない。

 そこで、草花はどうかと思い、庭を回ってみた。あった、あった、ハハコグサ(母子草)と白のシモツケ(下野)が可愛く咲いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑シモツケ(下野) ↓ハハコグサ(母子草)とホトトギス(杜鵑草)

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2161  雨の色陽の色加え初紅葉  雲水

2020年10月09日 | 

 今年の10月初旬、キブシ(木五倍子)の紅葉に気付いた。気付いたことも初めてのことである。桜や櫨よりも早く、キブシが紅葉したのだ。

 キブシは3月に、ヤシャブシ(夜叉五倍子)と共に、最も早く花が咲くから、とても目立つが、更に紅葉の楽しみも増えた。

 今年は梅雨が長く、その後の高温が長く続き、植物の生育がとても悪かったし、消滅したものも多かったから、得した気分である。

キブシ(木五倍子)、別名キフジ(木藤)とも

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2160  待つわなど軽く言ひしが秋の雨  さくら

2020年10月06日 | 

 秋彼岸が過ぎて、夏が終わった。これからは、一雨ごとに寒くなる。そして、室内の気温が18度を下回ると、薪ストーブを点けるのが、我が家の習わしである。

  それよりも、気掛かりなのが、昨日台風14号が発生したことだ。進路はまだ定かではないが、たぶん発達して関東方面に来るだろう。

 さてこの句、「1時間ほど遅れる」と言われ、何気なく「待つわ」と言ったものの、寒くさえ感じられる秋雨の中、どこで時間をつぶせば良いか、迷っている作者が目に浮かぶ。喫茶店とか図書館とか、デパート、まあ色々あるけれど、近くに適当なものがないのだろう。

タムラソウ(田村草)

 

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2159  ドーナツの穴から見える彼岸花  洋子  

2020年10月05日 | 

  人は見えないものを見るために、双眼鏡や天体望遠鏡、そして電子顕微鏡などを開発してきた。実際、遠方の銀河や極小のウィルスを見ることができたが、それは宇宙全体からすれば、ゼロに等しい。

 アメリカのトランプ、中国の習近平、ロシアのプーチン、トルコのエルドアン、北朝鮮の金正恩、ベラルーシのルカシェンコ・・・・・世界が良くなる可能性は、ゼロに等しい。

 さてこの句、お子さんか、お孫さんか、はたまたご本人か分からないが、ご本人だったら、猶更茶目っ気が感じられて可笑しい。観光地で顔を入れて写真を撮る、そんな光景も思い浮かぶ。

 ミスタードーナツ?のドーナツを、手に掲げてその穴から何かを見る。それが、彼岸花というのが実に可笑しい。記憶にはないが、私も子供の頃、そんなことをして親に叱られたことがあったかもしれない。食べ物で遊ぶことは、食べ物を粗末にしている、として叱責の理由になりそうだからである。 

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2157  肴には古漬胡瓜月の庭  裕

2020年10月03日 | 

(さかなには ふるづけきゅうり つきのにわ) 

 肴(さかな)の語源は、室町時代にお酒のおかずを「酒菜(さかな)」と呼んだことに始まる。字だけが肴に変わった。あてがうが語源の「あて」、手でつまむが語源の「つまみ」と同義。

 「月の庭」は、中秋の名月の出ている庭のことで、夜とはいえ月光に照らされ秋草もはっきり見えるだろう。そんな庭のテーブルで、月を愛でながら酒を酌み交わすのである。

 この時期の肴には、芋名月とも呼ばれるから第一に里芋の衣被、芋茎(ずいき)、そして枝豆など。

魚は、秋刀魚、秋鯖、鰯、鮭などが旬である。ところが、作者はとりあえず古漬け胡瓜で一杯始めた。味のしっかり滲みた古漬け胡瓜は、歯ごたえもよろしく、実に美味い。

ツリガネニンジン(釣鐘人参)

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2156  背のまろき己れを糺す風の萩  仁

2020年09月18日 | 

 夜明けの庭に出てみると、ようやく咲き出した萩が、昨夜の雨に崩れて地に触れている。けれども蜜蜂や花蜂、蝶が舞っている。

 年を取ると、ついつい猫背になってしまう。猫背は、心臓や胃、内臓に悪いことは周知しているから、背筋をピンと伸ばすのが良いのだが、気が付くと猫背になっている。崩れ萩を見て、作者は猫背の己を顧みる。我が人生を顧みる。そして身を糺す。

ヒルガオ(昼顔)

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2155  台風の余波は遠くのわたしにも  雲水

2020年09月11日 | 

この2,3年の台風は強力で、日本列島各地に多くの被害を出している。去年の15号、19号は、本当に恐ろしかった。

今回の10号は、九州地方を襲った。920HP以下と強力で特別警報を出すクラスだったが、上陸接近する頃には勢力がやや衰え、特別警報を出すには至らなかった。原因は、9号が同じコースを通り、海水をかきまぜて海水温を下げたからだ。

 強力台風発生の原因である地球温暖化は、人間の活動によって排出された温室効果ガス、二酸化炭素などが主因となって海水温を押し上げている、というのが大方の意見のようである。

  いずれにしても、これからの台風は大型、強力となって、東海、関東地方に上陸するに決まっている。明日は我が身だ。

   国別の二酸化炭素排出量を調べると、中国がダントツの1位、アメリカが2位、インド、ロシアに続いて、日本は5位である。

国別 二酸化炭素排出量(2017年)

1      中  国             28.2%

2      アメリカ             14.5

3      インド              6.6

4      ロシア              4.7

5      日 本           3.4

6      ドイツ           2.2

7      韓 国           1.8

8      カナダ      1.7

9      インドネシア        1.5

10     メキシコ            1.4

ヒメギボウシ(姫擬宝珠)

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