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一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1922   必然の雨音を聴く彼岸かな

2018年03月23日 | 

  毎日薪を割っていたら、いつの間にか彼岸が来てしまった。各地に桜の開花宣言が出て、いよいよ花見の季節か、と思っていたら、東京や箱根は、彼岸に予報通りの雪が積もった。残念ながら、我が家は霙が少し混じっただけの雨だったが。いづれにしても、これから昼が長くなっていく、私の好きな夏に向かっていく。まあ、そういうことだね。

 さて、評論家の西部邁さんが1月21日、東京都大田区の多摩川で入水し亡くなった。享年78。彼を調べてみたら、「西部晉ゼミナール」というトーク番組をMXテレビが9年間も放送していて、それをYou Tubeで見ることができた。

彼の死への言葉。「自然死というけども、その多くは病院死なのが現実。それが嫌だと自殺しかない。俺の最後の願望は“当然死”だね。ある年齢で、ある病状を抱え、いろいろとやり尽くした。警察に若干の厄介をかけたようだがどう考えてもあいつは“当然死”だ、というね」

「永訣・西部晉最後のゼミナール」是非お聞きください。

 西伊豆の日没

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1921   佐保姫の目に射抜かれてしまいけり

2018年03月18日 | 

  今年の初音(鶯の初鳴き)は、3月15日だった。去年よりは早かったが、例年よりはかなり遅かった。まだ随分下手な鳴き方だが、これが「春が来た」の大一声である。

18年 3月15日

17年 3月19日

16年 3月  3日

15年 3月  9日

12年 2月21日 

   又、我が家では、梅は散り始め、ユキヤナギ(雪柳)、ヤシャブシ(夜叉五倍子)、キブシ(木五倍子)、おかめ桜が咲き始め、姫踊り子草、諸葛菜が花盛り。スノードロップも咲き出した。草木も芽吹き出した。

 さて、この二週間、薪割りをしているが、去年からテッポウムシを食べに来ている、オスのジョウビタキ(尉鶲)の写真を、ようやく撮ることができた。間もなく、大陸へ帰るのだろう。但し、中には帰らないで日本で営巣するものもいるという。

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1920   犬の舌赤く伸びたり水温む   清

2018年03月15日 | 

 オーストラリアでは、犬を放し飼いにすると、逮捕されるという。元を正せば、狂犬病が原因かもしれない。日本も、オーストラリアとさして変わらない。ウイルスや細菌に恐怖しているからだ。

 さて、ようやく暖かくなってきた。散歩の犬も息を切らせて喘ぎながら、水を飲む季節になった。喘いでいる犬の舌は、。確かに異常に長くて赤い。この句の作者、清さんとは、名前をもじった俳号の「虚子」さんであった。

西伊豆戸田漁港

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1919   春嵐目高金魚は俊敏に

2018年03月08日 | 

  五日、富士山の標高2200メートル付近で、気温が上がり大雨が降った時に、解けた雪が斜面の土と混ざって土石流となって一気に流れ落ちる現象、「スラッシュ雪崩」が起きた、という。

  我が家では、冬の間生きているのかさえ分からない程じっとしていた目高や金魚たちが、春を感じ取ったたらしく水面近くで俊敏に泳ぎ回っていた。又、薪割りをしていると、蝿らしきものが顔の回りをうるさく飛んでいた。正に啓蟄である。

 ところが今日は、一転して寒くて大雨である。再び目高たちは、鉢底に潜ってしまった。梅も満開だが、この雨で散り急いでいる。

先日、東京に降った大雪の時の写真を、友人が送ってくれました

なかなか可愛いモダンな雪達磨ですねえ

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1918   春の宇治飛び跳ねている好奇心   さくら

2018年03月05日 | 

 この句、具体的なことは何一つ言っていない。春と言っても何か春の花が咲いている訳でもなく、又飛び跳ねていると言っても、場所がどこか分からないし、性別、年齢も分からない。分からない尽くしではあるが、それが私たちの想像に任されている。

 宇治と言えば、平等院鳳凰堂ぐらいしか思い浮かばないが、兎に角大声を発しながら飛び跳ねている、たぶん元気な少年がいる。見るもの聞くもの何もかもが初めてなので、新鮮で驚きに満ちているのだろう。

 ところで、私は修学旅行で平等院鳳凰堂に行ったことがあるが、この世に極楽浄土を表わしたというあの朱塗りの鮮やかさが、余りにも強列過ぎて違和感を感じ、拒否反応を起こした、と記憶している。

オオアラセイトウ(大紫羅欄花) 

別名ムラサキハナナ(紫花菜)、ショカツサイ(諸葛菜)ハナダイコン(花大根)

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1917   表札を持たされている雪だるま   歩智 

2018年03月03日 | 

 今日、東京からお客様が訪ねて来るんです。初めてではないし、駅からそんなに遠くはないけれど、この雪ではタクシーは絶対動かない。つまり歩くしかない。しかし、どの家も雪に覆われて、隣近所さえ見分けにくくなってしまった。「そうだ、子供たちが歩道に作った雪達磨に、玄関の表札を掛けておこう。そうすれば、見分けやすいかもしれない」

 毎年、積雪量日本一を誇る?青森県酸ケ湯、今年は413センチだとか。さすがに酸ケ湯では、雪達磨を作る人はいないでしょうねえ。福井県も2月に144センチ積もり、国道の車が数百台立ち往生して大変でした。

 この積雪は、どうやら地球温暖化と関係があるらしい。アメリカ東部やアイスランド、フランスでも大寒波に見舞われている。これから、どうなりますことやら・・・・・

紅梅

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1915  春霞沖行く船のエンジン音   海人

2018年02月28日 | 

(はるがすみ おきゆくふねの エンジンおん) 

  立春からひと月近く経った。寒さも峠を越え、梅が見ごろを迎えた。こうなると、大気の水分やPM2.5などの塵が増えて視界がぼやけるのが「霞」である。

 気象観測では、視界一キロ未満を「霧」、一キロ以上を「靄」というが、古来強い秋の「霧」に対して、やや弱いのが春の「霞」である。又、昼の「霞」に対して、同じ現象でも夜は「朧」である。

 さてこの句、沖ゆく船の見えるか見えないかの曖昧な視覚に対して、エンジン音だけが鮮明に聞こえている。この視覚と聴覚の食い違いが面白い。

白梅

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1914   陶雛の見つめる宇宙兜太死す

2018年02月27日 | 

(とうひなの みつめるうちゅう とうたしす) 

 現代俳句協会名誉会長・日本芸術院会員、文化功労者の俳人金子兜太氏が逝った。俳句界の「巨星墜つ」と言うべきか。有名な人で句集や著作も多いから、多くを語る必要はないだろう。

「梅咲いて庭中に青鮫が来ている」など難解な句も多い。兜太氏は私の師匠多留男先生と同年代で、戦争体験がその後の人生と俳句に大きな影響を与えていたのは間違いない。以下、代表句として知られている10句。

 曼珠沙華どれも腹出し秩父の子

水脈の果炎天の墓碑を置きて去る

銀行員等朝より蛍光す烏賊のごとく

彎曲し火傷し爆心地のマラソン

人体冷えて東北白い花盛り

霧の村石を投らば父母散らん

暗黒や関東平野に火事一つ

梅咲いて庭中に青鮫が来ている

おおかみに蛍が一つ付いていた

夏の山国母いてわれを与太という

唯今5分咲きの梅

 

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1913   鶯を空耳で聞く二月かな

2018年02月23日 | 

(うぐいすを そらみみできく にがつかな) 

 去年も同じことがあった。鶯の声を聞いたが、自信が持てない。気のせいか?空耳か?あれから一週間経ってしまった。

  あれから鶯は鳴かない。ということは、やはり空耳に違いない、間違いなさそうだ。無意識の期待感?かもしれない。

 ウグイスは、匂鳥(においどり)、歌よみ鳥(うたよみとり)、経よみ鳥(きょうよみどり)、春告鳥(はるつげどり)、黄粉鳥(きなこどり)、人来鳥(ひとくとり)花見鳥、などと呼ばれているそうです。古来、鶯の人気は絶大です。

こんな風に、梅の蕾が割れてきました

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1912   春寒や打てば打つほど曲がる釘

2018年02月19日 | 

(はるさむや うてばうつほど まがるくぎ) 

 直径5ミリほどの梅の蕾の先端(萼)が割れて、真っ白な2ミリほどの花弁(花びら)が少し見えてくる。そして蕾は膨らみ始め白色が広がり、ついには五弁の花びらとなって開く。

 そのように、もう咲いているものもあるし、まだ固い蕾のままのものもある。我が家の梅の早いもので、五分咲き、遅いもので一分咲き程。

廃業した材木屋さんからもらった材木で作った二代目のコンポスト

防腐剤を塗ったけれど、果たして何年持つだろうか?

 

 

 

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1911   掘り返す鶫の庭や春一番

2018年02月15日 | 

(ほりかえす つぐみのにわや はるいちばん) 

 たった二年余りで、材木で作った堆肥箱が腐ってがたついてきた。仕方ないので、新しく作り直すことにした。余りにも腐るのが早いので、今回は塗りたくない防腐剤を塗ることにした。最低五年くらいは持って欲しいから。

 前回と同じ大きさの、縦、横、高さ一メートル。薪置き場に、作業し易いように、足場パイプを高さ75センチにして組んだ。サンドペーパーで磨いてから、塗装し、乾燥してから組み立てる予定。

 さて、ようやく小鳥たちが囀り始めた。春一番らしきものも吹いた。杉花粉も飛び始めたという。姫踊り子草も咲き出した。梅は、まだせいぜい一分咲きだが。今朝の気温は8度。風がなければ随分暖かく感じたはずだ。いずれにしても、春の息吹はそこここに感じられる。

若芽が美味しいので成長が待ち遠しい、オオアラセイトウ(大紫羅欄花)写真は去年のもの

別名、ショカツサイ(諸葛菜)、ハナダイコン(花大根)、ムラサキハナナ(紫花菜)とも

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1910   立春の柚子を採ったり搾ったり

2018年02月11日 | 

 先日、友人から「すき焼きパーティー」のお誘いがあった。夕方、ビールと大根サラダを持参して伺った。席に着くと既に、空のすき焼き鍋が中央にあり、ラップをした牛肉、野菜、豆腐、糸蒟蒻などが大皿に盛られていた。準備万端のようであった。

 ところが、最初に台所から結構な量のトロ、鯵、鰯の刺身、芽かぶが盛られた大皿が運ばれてきた。勿論、大根サラダも出てきた。更に、ニンニクの芽の炒め物が出てきた。更に、どでかい銀座天龍の餃子が出てきて、私は驚いた。

 とてもじゃないが、すき焼きまでは腹が回らないから、同席した仲間も同意した上で、すき焼きは止めてもらうことにした。

 中止が決まった後、更にマツタケ御飯。茹でたトウモロコシ、漬物、塩昆布、大苺、そしてチョコレート・・・・・

 さて、パーティーには、鍋パーティー、寿司パーティー、ピザパーティーなど様々なパーティーがあるだろうが、メインの料理がとうとう出されなかったのは、生まれて初めての経験であった。

 そして、次の日再び呼ばれ、今度こそはと「すき焼きパーティー」が始まったことは、言うまでもない。めでたし、めでたし。

マンサク(金縷梅、満作)

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1903   梅一輪ここも昔は海の中

2018年01月18日 | 

 散歩の途中の崖に、古代の海中で生まれた堆積層を目の当たりにすると、膨大な時間の長さに驚き、足が止まり感慨に耽ってしまう。

我が家の梅は、必ず一輪だけ早く咲く奴がいる。だから、次々と咲くだろうと楽しみに待っていても、まず1週間は咲かない。実に不思議である。

そこで、以前書いた必ず思い浮かぶ句がある。

梅の花一つ斥候かもしれず   多可

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1820   硫黄噴く大涌谷の花馬酔木   薪

2017年05月08日 | 

 二年前の五月に、大涌谷で小規模噴火があり、六月には噴火警戒レベルが3に引き上げられた。3.11以降、日本列島が、地震と噴火の活動期に入ったらしい、と言われている。

 大涌谷は、熱海からわずか直線距離で十二キロほどだから、大規模噴火になれば火山灰や噴石が飛んで来る可能性もあるだろう。しかし、幸いにもその後活動は沈静化し、噴火警戒レベルが1に引き下げられたが、火口周辺の立入規制は解除されず継続している。

 箱根には、馬酔木の群落が各所にある。馬酔木の名は、「馬」が葉を食べれば毒に当たり、「酔」うが如くにふらつくようになるからであるとされている。

↑ウノハナ(卯の花)とヤマツツジ(山躑躅)↓

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1819   第248回 4月 岩戸句会

2017年05月07日 | 

硫黄噴く大涌谷の花馬酔木     薪

筍を抱けば赤子の湿りかな

 

竹の秋霧雨烟る無職かな      豊春

喧嘩止むしじまの部屋や百千鳥

 

さくら・やなぎ枝垂競ひて水面まで 侠心

散る花を追いて水鳥北帰行

 

君見えぬ桜ことしも咲きました   美部

くつ眺めオール漕ぐ花筏乱れ

 

大手毬青ざめて咲く今が好き    洋子 

くるくるとコーヒーまぜて花筏

 

春の夢家族揃いて旅に出る     章子

大ぶりに活けるも淋し残る花 

 

葉桜や真白きべべの宮参り     海人

波を読み捩じり鉢巻若布刈人 

 

手も口も休めず老婆蕗を摘む    歩智

櫻散る子供にかえり酒を酌む

 

悦びのひとつ桜の故郷に住む    稱子

里山の著莪の群生風渡る

    

境内の水有る所花筏        炎火

宇宙から花見を兼ねて生命体

  

鳥の恋枝しなわせて追いかけっこ  清海

むせかえり目にも鮮やか菜の花や

 

楽し気にサクラ見下ろす阿波踊り  余白

桜とは咲きて愛でられ散りて好き

 

桜より色濃き自転車漕ぐ少女    雲水

後ろ手に子を見守るや花の下

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