マーケティング研究 他社事例 585 「経済活性化はスタートアップの数が指標になるのか?2」~先進国経済では因果関係なし~
さて、前回のブログでは、経済活性化の指標とされた元データについて考察して来ました。
そして、ここからが本題です。
TEA(総合企業活動指数)のデータとGDP(国内総生産)データの因果関係は世界のすべての国を対象にすると成立します。
しかし、当然ながら国の発展段階に応じて開業をめぐる環境の違いが大きいし、経済発展がこれからの国と成熟した国とでは経済成長の在り方も違うはずです。
また、従来の分析では因果関係、つまり起業率が上がったから、それによって国の経済が成長したのか、それとも国の経済が成長したのか、それとも国の経済が成長しているから、さまざまなチャンスが生まれ起業率が上がっているのかが分からないという事があります。
沈教授は、こうした点に注目し、京都産業大学の学生とGEMデータを用いて起業率と経済成長の因果関係についてその分析を行いました。
その結果、経済の発展段階によって異なる結果となることが分かりました。
GEMの区分でアフリカの貧しい国々など経済があまり発展していない「要素主導型経済」の場合や、中国などのように効率化が経済成長を生む「効率主導型経済」の場合、従来の研究通りTEAとGDPに相関関係がありました。
さらに、「TEAが上がったからそれによってGDPが成長した」という因果関係がはっきりしたのです。
つまり、この2分類(要素主導型経済・効率主導型経済)の場合は、起業率が上がると経済は成長できると言えます。
一方、日本を含む先進国で構成される「イノベーション主導型経済」は事情が違います。
TEAとGDPの間の因果関係は統計的に支持されなくなったのですが、分かり易く言えば、イノベーション主導型経済では、単に起業率が上がるだけで経済が成長できるわけではないことを示します。
「TEAとGDPに相関があることは同じなのだから、大差ないのではないか。学者の研究だけの話だ」と思う人がいるかもしれませんがそうではないようです。
なぜなら、今回の結果は「起業率を高めて経済を成長させる」という政策の方向性が、そもそも間違った前提に基づいている可能性があること示すからです。
欧米に比べると開業率の低迷状況もずっと変わっていないことを考え合わせると、打つ手の見直しは急務ではないでしょうか?
日本を含むイノベーション主導型経済で重要なのは、「起業率」という数ではなく「イノベーションを伴う起業」だと沈教授は考えています。
政策では分かり易い数字で議論しがちですが、今求められているのは、スタートアップの中身を見極めながら、日本が今後とも世界を相手に戦っていける成長分野に重点的に施策を打つことではないでしょうか?
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
ご興味があればご一読下さい。
経営の根幹は「人」です。働く人次第で成果が変わります。自分事で働く社員を増やし、価値観を同じくし働く事で働きがいも増します。
彩りプロジェクトでは、風土改革を軸にした「私の職場研修」、「未来を創るワークショップ研修」等、各企業の課題に合わせた研修をご提案差し上げます。ITソフトメーカー、製造メーカー、商社、小売業者、社会福祉法人、NPO法人等での研修実績があります。
研修と一言と言っても、こちらの考え方を一方的に押し付ける事はしません。実感いただき、改善課題を各自が見つけられる様な研修をカスタマイズしご提案しているのが、彩りプロジェクトの特徴です。
保育園・幼稚園へご提供している研修【私の保育園】【私の幼稚園】は大変ご好評をいただいています。
また、貴社に伺って行う研修を40,000円(1h)からご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
メール info@irodori-pro.jp
HP https://www.fuudokaikaku.com/
お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/
成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣
さて、前回のブログでは、経済活性化の指標とされた元データについて考察して来ました。
そして、ここからが本題です。
TEA(総合企業活動指数)のデータとGDP(国内総生産)データの因果関係は世界のすべての国を対象にすると成立します。
しかし、当然ながら国の発展段階に応じて開業をめぐる環境の違いが大きいし、経済発展がこれからの国と成熟した国とでは経済成長の在り方も違うはずです。
また、従来の分析では因果関係、つまり起業率が上がったから、それによって国の経済が成長したのか、それとも国の経済が成長したのか、それとも国の経済が成長しているから、さまざまなチャンスが生まれ起業率が上がっているのかが分からないという事があります。
沈教授は、こうした点に注目し、京都産業大学の学生とGEMデータを用いて起業率と経済成長の因果関係についてその分析を行いました。
その結果、経済の発展段階によって異なる結果となることが分かりました。
GEMの区分でアフリカの貧しい国々など経済があまり発展していない「要素主導型経済」の場合や、中国などのように効率化が経済成長を生む「効率主導型経済」の場合、従来の研究通りTEAとGDPに相関関係がありました。
さらに、「TEAが上がったからそれによってGDPが成長した」という因果関係がはっきりしたのです。
つまり、この2分類(要素主導型経済・効率主導型経済)の場合は、起業率が上がると経済は成長できると言えます。
一方、日本を含む先進国で構成される「イノベーション主導型経済」は事情が違います。
TEAとGDPの間の因果関係は統計的に支持されなくなったのですが、分かり易く言えば、イノベーション主導型経済では、単に起業率が上がるだけで経済が成長できるわけではないことを示します。
「TEAとGDPに相関があることは同じなのだから、大差ないのではないか。学者の研究だけの話だ」と思う人がいるかもしれませんがそうではないようです。
なぜなら、今回の結果は「起業率を高めて経済を成長させる」という政策の方向性が、そもそも間違った前提に基づいている可能性があること示すからです。
欧米に比べると開業率の低迷状況もずっと変わっていないことを考え合わせると、打つ手の見直しは急務ではないでしょうか?
日本を含むイノベーション主導型経済で重要なのは、「起業率」という数ではなく「イノベーションを伴う起業」だと沈教授は考えています。
政策では分かり易い数字で議論しがちですが、今求められているのは、スタートアップの中身を見極めながら、日本が今後とも世界を相手に戦っていける成長分野に重点的に施策を打つことではないでしょうか?
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