To be continued.

                   
アイリスの気ままに紡ぐダイアリー

告白 湊かなえ

2009-06-19 22:32:01 | 読書


面白いけど、好きじゃない小説なんて初めてだ!

四歳女児、犬に餌をやるためプールに忍び込み、転落死
シングルマザーの教師が勤務する中学校のプールに、彼女の子供が落ちて死亡する。
当初は事故と思われていたが、殺人犯は○○○の中にいた

後味の悪い作品だった。
今風な題材(少年犯罪、児童虐待、いじめ、ひきこもり、エイズ)で、面白く最後まで一気に読ませるが、読後感は良くない。
自分勝手な理屈をこねる、壊れかかった人間ばかり。
結局最後も復讐とか言っても、大勢の人が巻き添えを食って死ぬんだろうし。
これがあなたの望む復讐なのかと問いてみたい。

何故、この本が本屋大賞なんだろう。

「第一章 聖職者」には引き込まれた。オチが空恐ろしい。
ここでやめてくれていたら、スゴイや!って感想で終わったのに。
そのあと、事件の関係者ひとりひとりのモノローグが、第六章まで続く。

ひとつの事件を巡って、関係者がそれぞれの立場で別の角度から語ると、色々な側面が見えてくる。
各人の心理状態や行動、そして真相に至る過程は興味深い。
自分勝手な思い込みの強い人間のせいで、不幸がどんどん広がっていく。
負の連鎖は断ち切れず、復讐に終りはない。
最愛の子供を殺された女教師が、犯人の生徒が一番大切に思っているものを見つけるまで、執念深く待ち続けているのも恐ろしかった。

違和感を覚えたのは、中学1~2年生の子供たちのモノローグ。
自分の感じたことや周囲の状況を、明確に巧みに語る語る。
それも、今どきの子供らしい言葉使いではなく、内容は自己中ながらも、表現方法は明解でキッチリと分かりやすくね。
あまりにも大人びた語り口で、13、14歳の子供が書いた文章にしては不自然に感じた。

好き嫌いは別にして、確かに面白く、続きが気になってアッという間に読めてしまいます。
文章も読みやすく、若い人にも手に取ってもらえそうな内容で、本屋さんも売りやすそうですね。