To be continued.

                   
アイリスの気ままに紡ぐダイアリー

「亡国のイージス」読了。

2005-08-11 23:34:33 | 読書
残りページが少なくなると、読み終えるのが惜しくなりました。

終結の後には、それぞれの旅立ちが用意されていて救われる思いです。

まず本を開いたら、<主な登場人物> 36人の名前が・・・・・・
しかも自衛隊や防衛庁の階級入りです。
無事に読み終える事が出来るのか、不安にもなります。

それも最初の序章で杞憂に終わりましたが。
ここで3人の主役の人物紹介になるのですが、根っこになる生い立ちと事件の核心が、余す所無く織り込まれています。
3人が誰とは知らないうちに、偶然出会っているエピソードの入れ方も憎い。

で、肝心の事件が発覚するのは上巻の最後の方。

その前に、どうしてこういう事態に陥ったのかが、護衛艦<いそかぜ>の中の様子と平行して描かれている。

事件の発端となる一つの論文がある。

生まれた国に、責任ある自由と誇りを取り戻したい、という強い思いの。。。

《誰一人として「日本とは何か」「何を優先して、何を誇るのか」について、世界に通用する明確なロジックを持っていなかった》

《重要なのは、国民一人一人が自分で考え、行動し、その結果については責任を持つこと》

《保身にばかり長けた政治家ではなく、一人の人間として自らを誇れる人物にこの国の舵を取ってもらいたい》

《現状では、自衛隊装備は防御する国家を失ってしまっている。亡国の楯だ。必要なのは国防の楯であり、守るべき国の形 そのものであるはずだ》

強烈な打撃を受けた。

日本は島国であることが幸いしてか、独立した国家であることが当たり前だった。

革命や独立戦争で勝ち取った民主国家ではないから、本当の有難味なんて分かっていない。

戦後、国としての在り方なんて真剣に考えてこなかったツケが回って来ているようだ。

オリンピックやワールドカップの時ぐらいしか意識しないからね。

こんなに平和で繁栄した社会で暮らしている私たちは恵まれているのだ!!という事をよく考えてみないと。

戦争、貧困、餓えなどで苦しんでいる人々は世界にたくさんいる。

世界の一員として恥じることなく生きてゆけるようにならなくては!

それにしても日本の政界、経済的にも外交的にも問題山積みなのに内輪もめみたいなことで、衆議院解散だよ。

選挙になると人が変わったように真剣に取り組みだす政治家って人種、嫌いだ。

国民の範となるべきなのに、自分のことのみ考えている。
これでは世の大人も子供も押して知るべし。

どこから立て直していけばいいのだろうか?

誤解を恐れずに言えば、一番信頼がおけて国民のことを考えてくれているのは<天皇>だと思えてしまう。

傍観者だと何でも言えちゃうのだけれど、自分も含めてこれからの生き方を見直さないとね。

普段は思いもしない色々な事を考える刺激を与えてくれる小説でした。

ところで、「如月 行」の生き方に何度涙したか・・・・・・

若くして、こんなに重い荷物を背負って、辛い生き方を選ばなくてもいいのに。

すぐに映画の「ニキータ」を連想したけどね。

映画でこの役を演じている俳優さん、新人みたいで見たことが無い。
どうなんでしょうか?
これだけイメージが小説で出来上がってしまうと、見る目が厳しくなってしまいそう。

映画、観に行こうか迷うよね。

多くの要素が絡み合って、これでもかと押し寄せてくる面白さを味わった後では、やっぱり不満が出て来るのは間違いないでしょう。
真田広之はずい分イメージが違うように思うけど。

でも映像でどう描いているのか観てみたいし・・・・・・
小説は、文句無く第一級のエンターテイメントです。