一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第72期王座戦第1局

2024-09-05 23:36:03 | 男性棋戦
第72期王座戦(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)五番勝負が4日に開幕した。藤井聡太王座に挑むのは、永瀬拓矢九段。前王座で、前期の第4局、必勝の将棋から落手を指し、頭をかきむしった表情は、話題になったものである。
あれから1年、また両雄が相まみえることになったわけだが、藤井王座だって、実力を発揮して勝ったとは思っていないだろう。「前期の王座は、私が1年間お預かりしました。今度こそ王座を賭けて勝負しましょう」という気分ではなかったか。
さて第72期の開幕局は、神奈川県秦野市「元湯陣屋」。私が大盤解説会を聞きに行った唯一の施設だ。将棋は永瀬九段の先手で、角換わりになった。角を一手上がってから角を換わったから一手損だが、藤井王座に金の悪形を強いている。
そこで私だったらこの金の形が気持ち悪くてつい修正してしまうが、藤井王座はそのまま戦うつもりだ。
永瀬九段、1歩を犠牲に馬を作る。都合2歩損だが、馬も大きい。
しかし藤井王座は端に手をつけ、戦線を拡げる。とりあえず端。そして手を渡す。大山康晴十五世名人が指しそうな勝負術だ。藤井王座は本当に22歳なのだろうか。
永瀬九段は2筋から反撃する。玉の側近の金を攻めるにはこの一手で、いつか指したかった手である。
藤井王座も素直に応じざるを得ないが、これは永瀬九段が好調なのでは? と思う。
だが数手進むと、永瀬王座の飛車が捕まってしまった。なぜこうなってしまうのか? まるで、藤井王座のマジックを見ているかのようだった。
永瀬九段、金捨てから強引に飛車を取る。だが藤井王座の飛車打ちが厳しく、永瀬玉は相当厳しくなった。
と、永瀬九段は角捨ての鬼手! なるほど、△同玉でも△同飛成でも、先手玉は延命する。
が、藤井王座が玉を引いたのが、怖いようでも最善手。つづく歩の王手にも玉を躱し、永瀬九段の投了となった。前期NHK杯準決勝・▲羽生善治九段VS△藤井NHK杯の終盤で、藤井NHK杯が、羽生九段の王手ラッシュをのらりくらりと躱して勝ったことを思い出した。
それにしても藤井王座の強さよ。永瀬九段にさんざん攻められていながら、間隙を縫っての反撃で、先手を受けなしに追い込んでしまう。永瀬九段の「最後のお願い」にも冷静に対処し、フィニッシュ。こんな勝ち方ができるのは、藤井王座しかいない。
永瀬九段は残念だったが、永瀬九段は藤井王座に、0勝2敗からでも3連勝する力量がある。第1局に負けてもなお、五番勝負は面白くなったのである。
第2局は18日。
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