一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

四十四たび大野教室に行く(後編)・電王戦を見る

2013-04-10 00:46:48 | 大野教室
手合いは私の二枚落ち。Minamiちゃんの二歩突っ切りに、私は△2三銀と飛車取りに立つ。ここで▲3二飛成△同銀▲1一角成とすれば下手必勝だが、Minamiちゃんは無理をせず▲3六飛。
さらに▲3五銀~▲2六飛とされたら上手マズかったが、ここでもMinamiちゃんは別の手を指し、私は事なきを得た。しかし勝負はこれからである。
銀交換のあと、私は△4六銀ともたれる。次の△3五金の飛車殺しが狙いだ。大野八一雄七段が来て、「どうして(下手は)こんな展開になったの?」と合点がいかぬ様子だ。
確かにここでは、上手がうまく誤魔化したと思ったのだが、このあとのMinamiちゃんの指し手が冴えていた。▲9七角と覗いたのが機敏な一手で、形勢は急接近。ここはしくじったと思った。
Minamiちゃん、▲5四銀の王手。これもいいが、ここではもっといい手があった。
▲6四角とタダのところに飛び出る手で、△6四同玉は▲5四金までの詰み。この順を逃したのは痛かった。
私は△3九飛と王手に下ろし、▲5九金に△5八歩の金取り。▲同玉△4六桂▲6九玉△5八歩で、形勢が逆転した。
▲6九玉では、▲6七玉と上に逃げるところ。△3七飛成なら▲5七銀で、これなら持駒のない私は、指し手に窮していた。玉は上に行く方が安全なのである。
最後は私の勝ち。でもお世辞抜きに書くが、Minamiちゃんは着実に実力を付けている。Minamiちゃんが自宅で将棋の勉強をしているとは思えぬから、これは一種の才能であろう。本気で将棋の勉強をしたら、女流棋士になれるのに、惜しい。
船江恒平五段-ツツカナ戦は、船江五段が▲6八竜と金を取り、△4三歩に▲7八竜と成桂を取り、自陣の憂いを一掃した。これは人間側の2勝目となったようである。
M君が、「奨励会員と香落ちを指すより、大沢さんと香落ちを指す方がイヤです」という。M君、若いのにオジサンをよろこばせる術に長けている。
私はIi君と指すことにした。Ii君は目立たないが、なかなかの将棋バカである。
私の先手で相居飛車に進む。Ii君の得意は一手損角換わりで、その対策というわけではないが、私は先日図書館で、糸谷哲郎六段著「現代将棋の思想」を借りた。ここに一手損角換わりの最新定跡が載っていたからである。
しかし付け焼き刃はいけない。変化をうろ覚えだったのですぐに定跡を離れ、私は一瞬のうちに吹っ飛ばされてしまった。
Ii君には相性がよかったはずだがそれは過去の話で、最近はまったく勝てる気がしない。Ii君の今後の活躍を祈る。
船江-ツツカナ戦が、妙なことになっている。船江五段が決め手を欠き、形勢が接近しているというのだ。
終盤は正確な手が要求されるのに、人間側はここまで疲労困憊。対してPC側はヤル気満々?である。流れはPCだ。
しばらく観戦していたが、キリがないので、ここでお開き。きょうは植山悦行七段には教えてもらわなかった。
表はどしゃぶりの雨だった。しかし将棋に天気は関係なく、むしろ雨のほうが将棋を楽しみやすい意味がある。つまりきょうは、最高の天気ともいえた。
食事は近くのトンカツ屋で。参加者は大野七段、植山七段、M君、W氏、Fuj氏、Wa氏、Minamiちゃん、私の8人。Wa氏は最近大野教室の常連になった人で、棋歴は浅いが、将棋熱はありそうだ。大野教室はもちろん、ジョナ研メンバーにもなり得る可能性を秘めている。ではここで、席の配置を記しておこう。

  大野 M
壁   □
 Minami Fuj

  一公 W
壁   □
  植山 Wa

背後では、将棋バカグループ(失礼)が電王戦の検討をしている。形勢はPCがよい。こうなったら、もうPC持ちである。人間はこれから間違える可能性があるのに、PCはまず間違えない。
ややあって、船江五段の投了が伝えられた。どんよりとした空気が流れる。
「コンピューターと人間の対戦は無理がありますよ」
植山七段がポツリとつぶやいた。
トンカツ定食を美味しくいただき、同じメンバーで駅前の喫茶店に入る。
アイスコーヒーとコーヒーゼリーのセット(480円は安い)を頼んで、しばし政治の話。次回の選挙は誰が落ちるか、いろいろな意見が飛び交った。
M君に、先ほどの「香落ち云々」の発言の意味を問うと、奨励会員との香落ち戦は、下手が相振り飛車にしてバンバン攻めてくるから楽なのだという。その点私は、カンタンに攻めないので、倒すのに骨が折れるらしい。
M君に、私のスマホの待ち受け画面「中井広恵女流六段」を見せびらかす。
しかしM君は無反応だ。それがどうしたんですか? という顔である。熟女の魅力が分からないとは、しょせんM君もまだ、コドモである。
大野教室にいま話題の桐谷広人七段を招んでくれるよう、大野七段に懇願する。時代はいま、桐谷七段である。指導対局はともかく、おもしろい話が聞ければうれしい。
「きょうは雨だから早く切り上げましょう」
と大野七段がいい、一度は席を浮かしかけたが、結局みんなで雑談して、閉店の11時まで居座ってしまった。
コメント
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