一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

4月の将棋ペンクラブ将棋会(後編)・盛りだくさんの一日

2013-04-28 00:31:42 | 将棋ペンクラブ
その局面がこれ。

先手・彼女:1六歩、1九香、2六飛、3五歩、3七桂、4七歩、5七歩、6七歩、6八金、7五歩、7七金、7九玉、8五歩、9七歩、9九香 持駒:角、桂2
後手・Kun:1一香、1四歩、2三銀、2四歩、3二金、4一飛、4五歩、5四歩、5五角、6二金、6三銀、6五歩、7二玉、7四歩、8六歩、8七銀、9一香、9五歩 持駒:桂、歩3
(▲7五歩まで)

▲7五歩に、Kun氏は△3七角成の予定だったというが、そこで彼女は▲8六飛と回る、といった。▲8六飛! この大転換が彼女の狙いだったのか!
ヤケクソに突いたと思った▲7五歩に、こんな遠大な構想があったとは知らず、私たちはまたまた感嘆の声を上げた。
実際は△3七角成で△7六桂とし、▲同金△8八角成▲6九玉△7六銀成▲同飛△8七馬で後手優勢だと思うが、実戦ではどう転んだか分からない。これは彼女の面目躍如だった。
彼女もすぐには帰らず、しばし話をする。やはり…というか、彼女は加藤一二三九段のファンだった。著書「棒銀の闘い」は、穴が開くほど読んだという。
詰将棋は5手詰を繰り返し解き、ヒマなときは加藤九段の実戦譜をネットで調べ、その手つきを真似て、盤に並べるという。
「こんなので勉強になってるか分からないけど…」
と彼女は謙遜するが、とんでもない。理想的な勉強法ではないか。
対四間飛車のときは、相手が△5四歩と突いてくるのを期待し、▲9七角からの山田定跡を指したいのだという。
彼女の口から「山田定跡」という単語が出て来たものだから、私とKun氏は顔を見合わせて笑う。
「それは△3二銀型の場合ですよね?」
私が問うと、彼女は
「もちろん!」
と笑みを見せた。
ウオーッ…。こんな妙齢の女性と「山田定跡」で盛り上がるとは、夢じゃないだろうか。
昨今の対振り飛車は、スキあらば穴熊という風潮があるが、彼女はそれに目もくれず、棒銀を中心とした急戦策に活路を見出している。私はホトホト感心した。これは将棋ペンクラブ、彼女をスカウトして、夏の社団戦に出てもらうしかない。
彼女はノートを取り出し、私たちが管理しているブログ名を書くよう求めてきた。
それは光栄なことだが、当ブログは若い女性向けではないので、どこまで期待に沿えるか、不安なところではある。
彼女は名刺まで配ってくれ、彼女がこの会に好感を持ってくれたのはうれしかった。
…というところで、彼女は退席。Na氏は彼女とネット上で知り合ったというが、今回はNa氏の殊勲甲だった。心から御礼を申し上げたい。
彼女が去ったあと、残ったメンバーでしばし雑談。会計を終え表へ出ると、雨が降っていた。

私たちは河岸を変え、近くの「酔の助」に向かう。前回もお邪魔したところだ。
ここ「酔の助」は先日放送された「タモリ倶楽部」でロケ地に使われたらしい。しかし満席になっていないだろうか。
Na氏はここで帰宅し、参加は5人。店に入ると、テーブル席は空きもあったが、奥に案内された。そこは座敷席で、かなり広かった。ここなら大人数の宴会もラクにできる。
突きだしは小皿で6種類。前回と同じで、人数に関わらず、この数で出てくるらしい。
とりあえず飲み物と、人数分のつまみを頼む。H氏とOh氏は当然将棋。私たちも指すことにした。Oh氏がさっきとは別の駒を出してくれ、Kun氏とA氏がペアを組み、私と対戦することになった。
これなら何かのハンデを付けてもいいが、A氏の出した条件は、「私たちの振り飛車に対して、大沢さんは急戦で向かうこと」だった。
それならほっといたって▲5七銀左とやるつもりだったからハンデにもならないが、まあ、それで進める。
ペア組の後手番で、△3二銀~△4二飛に△5四歩だったので、私は▲9七角と進める。先ほど話に上った山田定跡だ。
△4一飛に▲7九角△4五歩▲6六銀。山田定跡はここからむずかしいのだが、ペア組に一失あり、私が指し易くなった。
私は勝ちを急がず、着々と陣形をまとめる。頃はよしと、と金攻めに出たところで、これ以上指すのはバカバカしい!とばかり、Kun氏が投了した。
ペア将棋はふたりの呼吸が合わないと、将棋がヘンになる。この結果はやむを得なかった。
隣の将棋は相穴熊。観戦するのがウンザリする戦型だ。
ちょっと一休み。A氏が、
「大沢さんはボクの文章の目標だから…」
と、また訳の分からないことをいう。著書が読売新聞でも紹介された作家センセイにいわれると、イヤ味にしか聞こえないが、A氏はその類の冗談はいわない人である。この言葉をどう解釈したらいいか、いまだに分からない。
今度は組み合わせを変えて、Kun氏・一公-A氏の角落ち戦。Kun氏と私は棋風が違うので、角のハンデは上手に厳しい。しかし「手厚く指す」という方針は同じなので、それに沿って指した。
途中、読みの齟齬がいくつかあったが、これは想定内。しかしA氏の反撃が鋭く、最後は負けにしたと思った。
しかしそこからA氏が緩み、最後は上手△3七歩、4七と、下手▲2七銀、2八玉…の局面から、△3九角▲同玉△3八金までで終了。△3九角で△3九銀は、▲1七玉と上がられて詰まない。△3九角が簡明である。
というところで、Kun氏が味よく帰宅。残った4人でしばし雑談をしたが、今度は練馬あたりで飲み直そう、ということになった。しかし私はさすがにパスである。4人で店を出たが、私はここで帰宅となった。
夕方までの将棋会、飲み会での彼女の快進撃、居酒屋でのペア将棋と、きょうも盛りだくさんの内容だった。またお邪魔できれば、うれしい。
コメント (4)
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