一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

桂扇生の落語を聞きに行く

2013-04-17 00:05:21 | 落語
14日(日)は、午後1時に家を出た。新大久保駅で降りて、大久保通りを大久保駅方面に歩く。ちょっと遠回りになったが、大久保駅の南口に着いた。めざす店は「とくちゃん」だ。
南口から徒歩1分とのことだったが、それらしき店は見当たらない。ためしにスマホで検索してみるが、その店が現われない。どうなっているのだ?
よく分からぬが、これは南口から思いっきり近いんじゃないかとフンで、改めて探す。と、ある雑居ビルの入口に、「桂扇生独演会」のチラシが貼られてあった。
ここだったか、と思う。しかし店の名は「としちゃん」だった。湯川博士幹事の字が達筆で、私が間違えていたのだ。
迷路のような通路を進むと、突き当たりに「としちゃん」があった。これは完全な居酒屋だ。
数席あるカウンターの手前に、広さ十数畳の和室があり、すでに何人かの客がすわっていた。ここが独演会の会場である。
どうしたものかと戸惑っていると、木村晋介将棋ペンクラブ会長(職業・弁護士)が現われた。将棋関係者は500円引き、のおかみさんの指示に従い、木戸銭1,500円を払う。私もそれに倣う。
しかし座敷は知らぬ顔ばかりである。ほかにペンクラブ関係者はいるのだろうか。なんで自分がここにいるのか、よく分からなくなってきた。
2時になった。傍らで寛いでいた扇生師匠がいったんフロアに降り、ラジカセの出囃子に乗って、改めて高座に上がった。
落語開始。きょうは将棋寄席ではないので、マクラはふつうである。
「例年ならいまごろは桜の季節なんですけども、今年はそんなことをいえなくなっちゃいましたね。それで用意してきたマクラがパーになっちゃった」
「1月は松、2月は梅、3月は桜でしたけども、太陽暦が採用されて、桜が4月になっちゃった。だけど地球温暖化で…」
フムフムと私たちは聞きほれる。達人の噺は、マクラでも聞かせるのだ。
その後方には、「第三十八回 桂扇生独演会」の張り紙がある。この店で、それだけの回数の独演会があったということだろうか?
書き遅れたが、当ブログでは、扇生師匠はお馴染みだろう。年末に行われる「将棋寄席」にレギュラー出演してくださっている、落語協会所属のベテラン真打である。将棋でいえば、順位戦B級1組在籍の九段というところか。
と、自衛隊限定のお菓子を持って、新たな客が入って来た。扇生師匠は、それまでもネタに使ってしまう。このへんの頭の回転の早さは、さすが落語家だ。
そこからいつの間にか噺に入った。粗忽者の息子と、そのオヤジのやりとりをおもしろおかしく描くものだ。
扇生師匠の噺は定評があるところで、きょうの噺もおもしろい。傍らの椅子席では、木村会長が真剣な表情で見入っている。落語を楽しむのはもちろんだが、扇生師匠の話芸を盗もうと、一言一句聞き逃さない姿勢である。
扇生は、バカ息子とそのオヤジのキャラクターを巧妙に使い分ける。将棋棋士と落語家。どちらも体ひとつで稼いでいるところ、扇子を使うところは同じだ。あと、伝統文化の継承者という役目も担っている。
最後も巧妙な下げだったのだろうが、私にはちょっと分からなかった。一席目が終了。
小休止だが、扇生師匠は先ほどの自衛隊菓子に興味津々だ。これはどこで買ってきたのか、かのお客に詳しく聞いている。
二席目開始。今度のマクラは、その自衛隊菓子だ。これ、陸自、海自、空自と、買う場所が違うと、中身は変わらないのに、○○限定菓子として売り出される。そこを扇生師匠は論破し、客から笑いを取った。身近な題材で、即興でマクラをこしらえるとは、さすがプロだと感心した。
二席目は、鹿を殺めてしまうと死罪になってしまった時代の、奈良地方での噺。
ある正直者の爺さんが、誤って鹿を殺してしまう。しかし奉行所にも情けがあり、お奉行様は白洲の場で、なんとか爺さんを無罪放免にしようとあの手この手で助けようとする。
しかしその意が汲み取れぬ爺さんは、その度に「へえ、私が殺しました」と認めてしまうのだ。この辺のやり取りが実におかしい。
これも下げの意味がよく分からなかったが、めでたく大団円となった。
時刻は3時半を過ぎたところ。同じ場では引き続き打ち上げが行われるが、私(たち)は参加しない。4時からその一隅で指導対局が行われ、私はそちらに参加するのだ。そしてその講師は、かの美人女流棋士・矢内理絵子女流四段であった。
コメント (2)
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