一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

加藤女流初段の将棋に刮目せよ

2023-10-01 20:04:09 | 女流棋士
9月27日に第71期王座戦第3局が行われたが、同日、第31期倉敷藤花戦(倉敷市、アルスくらしき、山陽新聞社、日本将棋連盟主催)の挑戦者決定戦も行われた。結果は、西山朋佳女流三冠が加藤結李愛女流初段に勝ち、里見香奈倉敷藤花への挑戦を決めた。
加藤女流初段は若干20歳。将来有望の若手で、この倉敷藤花戦は2019年の第27期でも、挑戦者決定戦に進出している。今回は残念だったが、相手が悪すぎた。
私は将棋ペンクラブ関東交流会で加藤女流初段とおしゃべりをしたことがあるが、加藤女流初段は「大山康晴全集」で勉強していると言った。世の中に将棋棋書があまたある中で、大山本をチョイスするとは、なかなか見る目がある。
将棋は居飛車党で、矢倉、相掛かり、対振り飛車での左美濃、玉頭位取りなど、なんでも指す。いろいろな料理を出す町中華のごとくだ。全体的に手厚い将棋で、これも大山十五世名人の将棋が染みついているからではないだろうか。
第1図は今回の挑戦者決定戦。

▲7六銀と立った形が美しい。現女流棋界で、玉頭位取りを指す女流棋士は少ないと思う。「個性」という意味でも、加藤女流初段の存在は貴重だ。
第2図はその2週間前に行われた準決勝。相手はいま売り出し中の今井絢女流初段で、元奨励会1級の実力者だ。今井女流初段の三間飛車に、加藤女流初段は、がっちりと銀冠に組んだ。

この後今井女流初段は、角(馬)を切って飛金両取りに出る強襲をかけたが、そこで△5四角(第3図)がピッタリ。以下も難しいところはあったが、見事に勝ち切った。

第4図は、今年の1月3日に指された、第7回YAMADA女流チャレンジ杯決勝戦。遅れてきた実力者。堀彩乃女流1級との将棋だ。

相掛かりのスタートとなったが、加藤女流初段は△4三金右と、ガッチリと矢倉を構築した。
以下は難しいところもあったものの、加藤女流初段が勝ち切り、うれしい棋戦初優勝となった。
今後も加藤女流初段の戦いに注目していきたい。
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磯谷祐維女流2級、LPSAからデビュー!!

2023-08-30 23:50:50 | 女流棋士
きのう、LPSAからうれしいお知らせがあった。研修会員の磯谷祐維(いそや・ゆい)さんがB2に昇級し、LPSA所属の女流棋士として、デビューすることになったのだ。
磯谷女流2級については、ご存じの将棋ファンも多いと思う。LPSA主催のアマ大会や女流棋戦などで活躍し、私でさえその名前に見覚えがあった。
しかも聞くところによると、磯谷女流2級は元奨励会員で、2017年から10ヶ月間、奨励会に所属していた。それから研修会に入り直し、今回の女流棋士に繋がったものである。
いままでLPSAには、堀彩乃女流1級、礒谷真帆女流初段、田中沙紀女流1級の新入会があった。しかし、先輩女流棋士と同郷だったり、一時は女流棋士会所属だったり、ご母堂がLPSA所属だったりして、純粋?な新入会というのはなかった。それだけに、今回の磯谷女流2級の入会はビッグニュースだった。
もっとも磯谷女流2級も、LPSA大会の常連ではあった。ただ、いままでは同様の強豪女性が、そろって女流棋士会に入会していたのだ。
磯谷女流2級の画像を見ると、鮮やかな金髪である。どうも、それを認めるか認めないかが、所属先の決め手になったらしい。最近は船戸陽子女流三段が茶髪にしたようだし、LPSAはその辺、個性を尊重するのである。
とはいえ、ふつうは規模の大きい団体に所属したくなるものだ。日本将棋連盟の傘下に入れば、機関誌の「将棋世界」にも取り上げられる可能性が高い。雑誌に自分の記事(写真も)が載るのはうれしいものである。磯谷女流2級はそれをみすみす放棄したわけだが、その辺の葛藤はなかったのだろうか。
まあ、そういう些末なことは、どうでもいいのだろう。
ここで、みんなが思っていることを書く。ややこしいのが、その氏名である。上述のように、LPSAには礒谷女流初段がおり、こちらは「礒谷・いそたに」。祐維女流2級は「磯谷・いそや」である。
私も頭では分かっているのだが、ワープロの変換に任せて確認を怠ると、間違っていたりする。これから礒谷女流初段と磯谷女流2級がらみの記事を書く際は、気を付けなければならない。
そしてもうひとつ、私個人には、切実な問題がある。LPSA所属の女流棋士が増えると、「勝手にマッカラン勝負」での勝数も増えるということだ。
たとえば今回は、礒谷女流初段が3勝した。渡部愛女流三段はたまたま1勝に終わったが、これに来期磯谷女流2級が加わったら、この3名だけで10勝してもおかしくない。
それに加えて、ベテラン女流棋士がうっかり勝とうものなら、一口スポンサーへの寄付は、大変な額になる。
とりあえず磯谷女流2級の戦いぶりを見て、来年の「勝手にマッカラン勝負」の是非を決めようと思う。

ともあれ磯谷先生、女流棋士デビューおめでとうございます。これからバリバリ活躍してください。応援しております。
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堀女流1級の快進撃

2023-07-17 23:35:58 | 女流棋士
この10日、第3期白玲戦・女流順位戦D級で、堀彩乃女流1級が昇級したが、堀女流1級はその3日前、リコー杯第13期女流王座戦本戦1回戦で、中井広恵女流六段に勝ったことを忘れてはならない。
この対局の前まで、堀女流1級の対中井戦は1勝1敗。よって、堀女流1級に臆するところはなかったと思う。
将棋は力戦相居飛車。堀女流1級の角の動きがややいびつで、中井女流六段がその角を狙い、銀を捨てて角を詰ませた。結果的には銀香と角の交換になったから先手指せたが、自陣の守りに銀を1枚使わされたのが痛い。形勢は中井女流六段がよしなのだろう。
終盤、中井女流六段が△3一金と竜取りに当てる。ここで竜を逃げていては後手を引くので、堀女流1級はいきおい▲同竜(第1図)。

中井女流六段は当然△同銀と取り、堀女流1級は▲5八金と逃げた。
以下、激しい攻め合いになるも、堀女流1級が手堅い受けも織り交ぜ、攻め勝った。
戻って図での、当然に見えたやり取りが、実は問題だったようだ。
図では△3一同銀に代え、△4八銀不成と詰めろで金を取るのがよかったようだ。
むろん先手には▲4一角があるが、△6一玉で問題ない。この進行なら、中井女流六段に勝機があったと思う。
いずれにしても、堀女流1級は堂々の勝利。のちの女流順位戦と合わせ、今年度8勝1敗である。ちなみにその1敗は、倉敷藤花戦で喫したもの。私の懐具合を考慮してくれて、本当に堀女流1級は優しい。
冗談はさておき、この好成績は、大野教室での勉強が花開いたと考える。もし女流棋士が同じ勉強時間ならば、質のいい勉強をしたほうが勝つ。
昨年の田中沙紀女流1級の女流順位戦昇級もそうだったが、大野八一雄七段の功績は大きい。
さて、堀女流1級の女流王座戦の次の相手は、加藤桃子女流四段。これが初対局だが、難敵である。対局日は8月7日(月)。当日は陰ながら応援しよう。
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女流棋士12星座・2023年版

2023-06-19 00:11:39 | 女流棋士
3年ぶりに、「女流棋士十二星座」を記す。

♒ 水瓶座(みずがめ座)Aquarius 1月20日~2月18日
谷川治惠女流五段(2.9)
中倉宏美女流二段※(1.26)
北尾まどか女流二段(1.21)
石本さくら女流二段(1.27)
野田澤彩乃女流初段(1.25)
大島綾華女流初段(1.31)
加藤結李愛女流初段(2.15)
多田佳子さん(2.7)
宇治正子さん(1.31)
福崎睦美さん(2.3)
林葉直子さん(1.24)

♓ 魚座(うお座)Pisces 2月19日~3月20日
里見香奈白玲・清麗・女流王座・女流王位・倉敷藤花(3.2)
蛸島彰子女流六段※(3.19)
植村真理女流三段(3.16)
岩根忍女流三段(3.16)
室谷由紀女流三段(3.6)
加藤桃子女流三段(3.9)
中倉彰子女流二段※(3.2)
山根ことみ女流二段(3.9)
伊藤明日香女流初段(3.16)
脇田菜々子女流初段(3.7)
頼本奈菜女流初段(3.12)
村山幸子さん(3.10)

♈ 牡羊座(おひつじ座)Aries 3月21日~4月19日
高群佐知子女流四段(4.1)
香川愛生女流四段(4.16)
貞升南女流二段(4.19)
藤田綾女流二段(3.24)
伊奈川愛菓女流二段(3.29)
坂東香菜子女流初段(3.31)
相川春香女流初段(4.18)
藤井奈々女流初段(3.31)
礒谷真帆女流初段(3,22)
佐々木海法女流1級(3.31)

♉ 牡牛座(おうし座)Taurus 4月20日~5月20日
千葉涼子女流四段(4.21)
中村真梨花女流四段(5.20)
船戸陽子女流三段※(4.23)
島井咲緒里女流二段※(5.15)
山田朱未女流二段(5.18)
村田智穂女流二段(5.1)
宮宗紫野女流二段(4.23)
安食総子女流初段(5.2)
川又咲紀女流初段(4.28)
水町みゆ女流初段(4.21)
山口絵美菜さん(5.4)

♊ 双子座(ふたご座)Gemini 5月21日~6月21日
甲斐智美女流五段(5.30)
寺下紀子女流四段※(6.20)
長沢千和子女流四段(6.18)
竹部さゆり女流四段(6.4)
高橋和女流三段(6.17)
井道千尋女流二段(5.21)
室田伊緒女流二段(5.24)
カロリーナ・フォルタン女流初段(6.17)
武富礼衣女流初段(5.25)
小高佐季子女流初段(6.4)
内山あや女流初段(5.22)
堀彩乃女流1級※(5.28)

♋ 蟹座(かに座)Cancer 6月22日~7月22日
西山朋佳女王・女流名人・女流王将(6.27)
中井広恵女流六段*(6.24)
早水千紗女流三段(7.20)
渡部愛女流三段※(6.26)
鎌田美礼女流2級(6.24)
木村朱里女流1級(7.11)
竹俣紅さん(6.27)

♌ 獅子座(しし座)Leo 7月23日~8月22日
藤森奈津子女流四段※(8.2)
真田彩子女流三段(8.13)
松尾香織女流二段(7.30)
加藤圭女流二段(8.18)
大庭美夏女流初段※(8.1)
野原未蘭女流初段(8.4)
岩佐美帆子女流1級(8.15)
藤田麻衣子さん(8.3)

♍ 乙女座(おとめ座)Virgo 8月23日~9月22日
渡辺弥生女流二段(9.2)
長谷川優貴女流二段(9.13)
塚田恵梨花女流二段(8.27)
山口仁子梨女流2級(9.17)
梅津美琴女流2級(9.1)

♎ 天秤座(てんびん座)Libra 9月23日~10月23日
伊藤沙恵女流四段(10.6)
本田小百合女流三段(10.3)
神田真由美女流二段※(10.11)
石高澄恵女流二段(9.27)
山口恵梨子女流二段(10.12)
高浜愛子女流1級(10.2)

♏ 蠍座(さそり座)Scorpio 10月24日~11月21日
上田初美女流四段(11.16)
鈴木環那女流三段(11.5)
鹿野圭生女流二段※(11.1)
飯野愛女流初段(11.17)
北村桂香女流初段(11.14)
和田あき女流初段(11.14)
松下舞琳女流初段(10.25)
田中沙紀女流1級※(11.18)
今井絢女流1級(10.25)
榊菜吟女流2級(11.12)

♐ 射手座(いて座)Sagittarius 11月22日~12月21日
関根紀代子女流六段(12.15)
山下カズ子女流五段※(12.8)
斎田晴子女流五段(12.4)
久津知子女流二段(11.23)
中村桃子女流二段(11.30)
石橋幸緒さん(11.25)

♑ 山羊座(やぎ座)Capricorn 12月22~1月19日
清水市代女流七段(1.9)
矢内理絵子女流五段(1.10)
山田久美女流四段(1.6)
大庭美樹女流初段※(1.12)
和田はな女流1級(1.14)
山口稀良莉女流1級(1.11)
久保翔子女流2級(1.12)
林まゆみさん(12.31)

蟹座、乙女座、蠍座には、名前の終わりに「子」が付く女流棋士がいない。
この3年は、、蠍座と山羊座に加入した女流棋士が多かった。
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堀女流1級に期待する

2023-06-14 23:47:20 | 女流棋士
きのう行われた第13期女流王座戦二次予選で、堀彩乃女流1級が室田伊緒女流二段に勝ち、初の本戦トーナメント進出を決めた。

図の、銀を取りつつ竜を切った手が強手で、以降も難しいところはあったが、堂々と勝ち切ったのだった。

そんな堀女流1級は2016年8月、女流3級の資格を得た。このとき、LPSAに入会した。
それまでLPSAへの新入会は船戸陽子女流三段の例があったが、新人の入会はなかった。ゆえに、この状態が続けばLPSAの未来は尻すぼみ、と考えられていた。そこにこの朗報だったわけだ。堀女流3級の師匠は、同じ高知県出身の森雞二九段。姉弟子にLPSAの島井咲緒里女流二段がいた。とはいえ、けっこうな決断である。それが分かっているから、堀女流3級の新入会は、全国のLPSAファンに夢と希望を与えたのであった。
2017年3月、堀女流3級は女流2級に昇級し、正式な女流棋士となる。
2019年10月、女流1級に昇級。
ここまではまあ、順調といえよう。しかしその後は停滞し、きょう現在女流1級のままである。
ちなみに2017年3月以降のデビューで、女流初段以上になっている女流棋士は、武富礼衣女流初段から松下舞琳女流初段まで、12名に上る(加藤桃子女流三段、西山朋佳女流三冠を除く)。
女流初段への昇段規定は、年度指し分け(8勝以上)がポピュラーだが、堀女流1級はそれすら達成できなかったことになる。たとえば昨年度(2022年度)は途中まで13勝9敗だった。ところがそれから悪夢の5連敗。まさかの負け越しで1年が終わり、女流初段昇段を逸したのだった(もっともこの時期、堀女流1級は精神的にも肉体的にも、対局どころではなかったから、やむを得ない)。
それと誤解なきよう書けば、私も堀女流1級に指導対局を受けたことがあるが、何度も吹っ飛ばされた。強い将棋だと思った。
服装はいつも黒系で古畑任三郎を想起させ、自宅にはテレビを置いてない、とどこかで聞いた。それだけストイックに将棋に取り組んでいる証でもあるが、それが成績に反映されないのがもどかしい。「女流1級」はいかにも字づらが悪い。
最近の堀女流1級は、大野教室に通い、腕を磨いている。その成果が徐々に表れ、今年度はこの勝利で6勝1敗である。第3期白玲戦・女流順位戦D級では、昇級の目も残している。
堀女流1級は将棋ペンクラブの将棋会にも指導に来てくれ、会員のファンも多い。そんな私たちの期待に応えてくれたら、うれしい。
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