一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第95期棋聖戦第2局

2024-06-17 23:34:57 | 男性棋戦
きょう17日、ヒューリック杯第95期棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)第2局が、新潟市で行われた。
新潟県は知られざるローカル線の宝庫で、私が活動的だった30代のころ、廃線間近の新潟交通や蒲原鉄道に乗りに行ったものである。
第2局は藤井聡太棋聖の先手で、初手は飛車先の歩を伸ばした。対して山崎隆之八段は角道を開ける。
その後、山崎八段は端歩を突いた。藤井棋聖はそれに挨拶せず、玉を上がる。藤井棋聖は以前もこのパターンで似た手を指したことがある。私も序盤の端歩には挨拶しないことが多いので、思想の深浅はともかく、我が意を得た思いだった。
山崎八段は角道を止めたが、最終的には向かい飛車に振った。名人戦の豊島将之九段に続き、居飛車党の振り飛車である。また先日も、A級順位戦で佐藤天彦九段がもはやおなじみの振り飛車に出て、難敵永瀬拓矢九段を降した。山崎八段の振り飛車採用は、これらも少なからず影響していると思う。
藤井棋聖は早くも右桂を跳ねるが、対して山崎八段は、気圧されたように角を引いた。これが私には疑問で、向かい飛車に振ったなら、元気よく△2四歩▲同歩△同飛とぶつけたい。
山崎八段は左桂を二段跳びし、相手の右桂と交換した。これを山崎八段らしい手といっていいのか?
中盤になり、山崎八段、馬を作りに行くか、4筋の歩を取りこむかの局面になった。ところが山崎八段は、好点に角を据えた。これも立派な手なのだが、どうもお行儀が良すぎる。善悪はともかく、これは山崎八段の将棋ではないと思った。
さらに進んで、山崎八段、角銀交換の駒損から、その銀を飛金両取りに打った。これも微妙なところで、検討陣の評価は分からぬが、駒損からの攻めだから、逆に先手の駒を捌かせている、ともいえる。仮にこの銀で飛車をタダ取りできたとしても、この銀は半分遊ぶ。思ったほど駒得はしていないのである。
藤井棋聖、この銀を尻目に、さらに桂捨てに出た。花村元司九段の名言に「両取りを掛けられたら、3枚目の捨て駒をしろ。相手はどの駒を取っていいか分からず、間違える」がある。また「両取り逃げるべからず」「攻めるは守るなり」の有名な格言もある。藤井棋聖のこの桂は、まさにそれらを地で行くものだった。
藤井棋聖、山崎八段の銀を剥がす。山崎陣は左右に分断されている上、右金も一段金なので、守りが弱い。山崎八段、序盤で桂の二段跳ねをする前に、金を締まる機会はあったはずだ。なんでこんなに気負ってしまったのだろう。
以下、山崎八段も反撃するが、両者の形勢バーは開くばかりである。さすがに藤井棋聖も、自身の優勢を感じ取っている。ということは、もう藤井棋聖の勝ちは動かない、ということだ。
最後は藤井棋聖が山崎玉を即詰みに討ち取り、幕。盤石の2連勝となった。
2局終わり、あまりにも予想通りの結果に、私はガックリである。もうちょっと山崎八段らしい将棋が見られるかと思ったが、指し手が借りてきた猫のように大人しく、ちっとも山崎八段らしさが感じられない。
第3局は7月1日だが、山崎八段に勝ちのイメージがまったく見えないいま、よほどのことがない限り、藤井棋聖の勝利は濃厚だろう。21歳で永世棋聖か……。ただただ、恐ろしい。
コメント
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