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2015年度 若セミ 第1回5月29日 徳田先生のQA

2015-06-02 | Aoki Office

①質問者 : 初期研修医1年目 兵庫県
質問内容 : illness scriptはSystem 1(直観)を指しているように思いました。commonな疾患のtypicalな症状であれば私のような初学者でも問診や身体所見で取りたいものが想起できると思いますが、commonな疾患のatypicalな場合やましてrareな疾患のatypicalな症状ではどうすればいいのか分からず場当たり的に大量の検査を出してしまった事があります。先生方はどのようにして診断力やsystem1を訓練していかれたのでしょうか?

回答:illness scriptとSystem 1(直観)は同じではありません。経験を積むと、さまざまな病気のillness scriptが典型例と非典型例も含めた形で豊富な知識として蓄積されます。診断力やsystem1を伸ばすためには、臨床的経験を積むことと、成書で確認すること、そしてすぐれた指導医と対話することと思います。

②質問者 : 初期研修医20代
質問内容 : 最近、救急外来などで診察をしています。特に鑑別が上がらないときなどに、「ノイズ」と思われる病歴や身体所見に惑わされていると後で反省することが多いです。
これに関しては経験を積むことでしか克服できないのでしょうか。
一例一例の質を高める方法はないでしょうか?

回答:ノイズは通常、病態生理学でシグナル情報のグループとのつながりが乏しいです。代表的な疾患の病態生理学を成書で習熟することが必要と思います。

③質問者 : 医師 20代
質問内容 : サットンの法則では最もcommonなものを鑑別にあげるとありますが、反応性リンパ節はウイルス性の方が頻度的には多いと思われますがどうして結核があがるのでしょうか?

回答:サットンの法則は「原因を求める際に最も中心的な病変部位の検査(通常は生検)を行うことを勧める」ものです。セミナーで挙げたケースでは、エコー検査が「反応性」という「ミス」診断を行ったことを、生検で証明されたということです。

④質問者 : 医師 小児科 50代
質問内容 : 説明されている”ルール”のエビデンスはあるのでしょうか。

回答:臨床推論の総論ルールは論理学での「考え方」を述べたものですので、エビデンスを求めるという事実や現象ではありません。ゼブラ対馬などは、事前確率による「考え方」であり、オッカムの剃刀は確率の積の法則の「考え方」です。

⑤質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : 症状の聞き取りから、キーワードを選び、即した身体所見をとることは大切と思います。次にどんな検査をするか、あるいはしないかについては、各施設の装備によっても異なると思います。症例では、血液検査、エコーもCTも次々にされてすぐに結果が出ていますが、実際には時間の制約もあると思います。この疾患を考えた時には、この順番で検査を行うというシリーズの学び方も必要と思いますが、先生は、どのようなご指導をされておられるのでしょうか。

回答:検査を行う場合には、下記の点を順に考えます
(1) その検査によって、治療介入の選択に影響を与えるかということ。
(2) 患者さんへの侵襲度(放射線被ばくも含めて)が少ないものから考える
(3) 費用負担が小さいものから考える。

⑥質問者 : 医師 研修医一年目
質問内容 : 一般にシマウマ馬ルールにのっとって、馬を考えるとのお話がありましたが、どの様な条件でシマウマを考慮にいれるのでしょうか?

回答:患者さんの病歴と所見が、「馬」と考える疾患のillness scriptに適合しない場合です。
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