感染症診療の原則

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Q&A 尿路感染症(サンド デジタルセミナー)

2013-02-02 | 薬剤師さんLOVE
尿路感染症、濃かったですね(尿じゃなくて内容ですよ)。

昨年、石で苦しんだ編集長が、当時者談を話すかなーと思ったら話しませんでした(ちょっとがっかり。ぼそぼそ)。



(ブログでローカーボダイエットの話を書いたら、「ハイリスクになりますよ」と教えてくださった皆様ありがとうございます)

あ。話がずれてすみません。
サンドのQ&Aのアナウンス記事でした(^^;).

さっそくQ&Aが完成です。
質問を送ってくださった全国の皆様ありがとうございます。

Q&Aのきれいな印刷版が欲しい方はサンドからもらってください。HPからダウンロードもできるそうです。
また、報告冊子もつくってくださるそうです。

いつも監修をしていただいているのは東京女子医大病院 相野田 祐介 先生です。
ありがとうございます。


2012年度第4回 尿路感染症
講師  感染症コンサルタント   青木 眞 
   中部ろうさい病院 副院長   藤田 芳郎 先生
日時  2013年1月25日(金)18:30~20:00

※本資料は講義中にお受けした質問に対する回答をまとめたものです。
あくまで講義の質問に対する私見であり、臨床現場で用いられる際の責任は負いかねます。
実際の臨床現場ではケースバイケースですので、各個人の責任で御活用下さい。

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Q1:本日はどうも有難うございました。私共も無症候性細菌尿かどうか何時も非常に迷います。尿のグラム染色で1種類の細菌がどん食されているようでしたら、かなりの確立で感染源として有用となるでしょうか?(また、どん食がみえても無症候性の場合もありうるでしょうか?)宜しくお願いいたします。

A1: 貪食像は確かに起因菌に対する白血球の反応として認めることはよくありますが、しかし関係ない菌を貪食する場合もありますし、また本当に感染症であっても貪食像を認めないこともあります。
繰り返しになりますが、尿路感染症の診断は総合的な判断が必要となります。診断はしばしば難渋します。

Q2:尿路感染症での入院適応の判断基準について、腎盂腎炎・膀胱炎それぞれどのように判断すべきでしょうか。救急外来からの入院基準などはしばしば悩みます。

A2:絶対的な適応はありません。原則的に膀胱炎の場合には外来診療可能な場合がほとんどだと思います。一方で、腎盂腎炎に関しては、講義で触れたように菌血症のリスクが高い疾患のため、注意深い経過観察が必要です。入院適応については、全身状態・基礎疾患・医療アクセスや社会的事情等もあると思いますので、最終的には現場の判断になりますが、仮に外来で診療する場合においても頻回のフォローアップを行うことが多いかと思います。


Q3:腎排泄型の薬剤は尿で濃縮され、肝代謝型の薬剤は尿への移行は低いわけですが、尿路感染症において、肝代謝型の薬剤が使える場面はあるか(リファンピンなど)、投与量調整を考慮するべきか(腎排泄型で減量もしくは最大量が必要でない、肝代謝型で増量など)、この点で膀胱炎と腎盂腎炎で考え方が違うことがあるか、以上、よろしくお願いします。

A3:
原則として抗菌薬は、一部の例外を除いて血流に入って効果を発揮するものであり、血流豊富な腎臓では多くの薬剤が移行します。
そして多くの抗菌薬は腎臓排泄であり、しばしば用いられるペニシリン系・セファロスポリン系抗菌薬のほとんどは腎臓排泄です。
尿路感染症に関して治療データが十分な、通常ガイドラインなどで推奨されている抗菌薬の多くは腎排泄型ですが、腎排泄のみ以外の抗菌薬も含まれていることもあります。
それぞれの疾患ごとに治療のデータが十分にある抗菌薬を選択されれば、問題ないと思います。


Q4:わかりやすいご説明ありがとうございました。
症例2の方の感受性結果では、CTX:Sですが、CTRXが投与されています。当院の感受性結果でも、CTXが表示されます。CTXに感受性があれば、CTRXでも同様の効果が期待できると考えてよろしいでしょうか?


A4:感受性結果については、CTXとCTRXとは、大腸菌などの腸内細菌科やインフルエンザ桿菌や淋菌や髄膜炎菌などについてはどちらかで代用できることになっております。ただし、CTRXの投与が推奨されない場合(新生児など)もありますし、また投与量・投与回数や排泄経路はそれぞれの薬剤で異なりますのでご注意ください。


Q5:女性の膀胱炎で再燃より再感染のほうが多いということですが、臨床的に区別する方法はありますか? また比較的近い期間での再感染の場合は、前の原因菌の感受性は同じと考えてよいでしょうか。耐性になっていないとしても、抗菌剤の投与期間を変える必要はあるのでしょうか?

A5:臨床的に再燃と再感染を区別する方法はありません。文献的には症状が持続する場合や2週間内の再発は、治療失敗または再燃を疑うとなっていますが、実際に膀胱炎は再感染を繰り返しやすいため、区別はできません。
再燃の場合に、確かに治療期間を延長するという文献報告もあります。しかし再燃の場合に重要なことは、診断が違う場合(実は膣炎や尿道炎など)、解剖学的な問題(結石や腫瘍など)、あとは極稀に想定している微生物が異なる可能性などを考慮することであり、安易に抗菌薬を繰り返したり延長したりするよりも、まずは原因検索することをご検討いただいた方がよいかもしれません。


Q6:膀胱洗浄は否定的な意見が多いようですが、逆行性感染を助長するからでしょうか。

A6:現在は原則的に推奨されません。昔は、ワシントンマニュアルにも膀胱洗浄を推奨する記載があるくらいでしたが、メリットが乏しいことや、逆行性感染を助長することなどから現在は原則として推奨されません。



Q7:尿道炎はSTDの意味合いが多いように思いますが、若年女性で膀胱炎との区別がつきにくいように思います。何かコツはありますでしょうか。

A7:
問診は重要です。疑わしいSTDは疑わしい病歴があるかどうかということを確認することが重要です。(もちろん、繊細なところですので問診の際には、御本人が話しやすい状況を作ってあげることも重要です。)


Q8:尿検査・尿培養のみでは、「膀胱炎」と「腎盂腎炎」と「無症候性細菌尿」は、いずれも尿中細菌(大腸菌)陽性であるという情報のみで鑑別が困難であり、鑑別方法としては病歴・身体所見が重要(というかそれくらいしかない?)で、もちろん尿路感染症以外の問題も考えながら検討していくプロセスが必要という認識でよろしいのでしょうか?

A8:
その通りです。尿培養の結果のみで上記を鑑別することは困難です。


Q9:男性の尿路感染症は、基本的に全例尿路の解剖や機能的問題を確認する必要があるという認識でよろしいのでしょうか?

A9:全てというわけではありませんが、問診や身体所見で疑われる場合などでは考慮する必要があると考えます。
男性同士の性交渉歴など明らかな誘因がある場合もあります。
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