感染症診療の原則

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薬局データが使える、な国での試み

2013-01-08 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
各医療機関で年末に感染性胃腸炎症状の人の受診がスローダウンして、かわってインフルエンザが増えてきたねえ・・・・という話になっていました。
米国も日本もインフルエンザA/H3N2が主流。

例年より早い立ち上がり。
日本のグラフも似たようなかんじです。

EUではH1N1(2009年流行)増加中。

歴史的には重症化する人が多かったわけですので、冬休み開けての感染拡大を心配している人たちもいます。

あわててワクチンをうっているひともいますが、効果を期待するまでに2-3週間といわれていますので、間に合わず発症~寝込んだ~という人もいるでしょうし、感染していても自覚症状がない人もいますので(なったことなんかないよ、という認知)、実際にどれほどの規模の流行だったかを知るためには、血清サーベイをやるしかありません。
臨床の人的には、わかったから、だから何?的話なのかもしれませんが。

インフルエンザは通常、子ども達で流行してその親世代20ー30代に広がってというかたちですが、子ども達の学校欠席状況からリアルタイムなインパクトを推定できることもあります。

皆さんのお住まいの地域は参加しているでしょうか。
学校欠席者サーベイランス

電子カルテの連携は難しいですが、処方箋薬局のデータベースをリアルタイムでみることで、「おお、この時期からタミフルやリレンザがたくさんでているね~」というインパクトをつかむ方法もあります。
薬局 処方箋サーベイランス

これだけでは、だから何?かもしれませんが、経年的なデータが蓄積されると、たとえば特定のウイルス株のときは流行の立ちあがりがはやいとか、ピーク期間が長いね、とか、比較において分かることも増えます。

(それでも、だから何かもしれませんが)

症候群サーベイランスでリアルタイムに近い感染症のトレンドを見るという方法は、サミットやオリンピック、ワールドカップなどのイベントの際のバイオテロの探知などにも活用されています。

ラボで確定診断されたケースを数えるのは、精度はあがるのですが時間がかかって、早期探知が難しくなります。
感染症全部にはむいていませんが、特定の目的で特定の感染症をwatchするにはいいですね。

そして、医師が手作業で報告をするのではなく、自動的に情報を吸い上げるような仕組みがよいわけです。
(薬局のデータベースの方が電子カルテより汎用性が高い)

昔、米国でST合剤がある時期からよく処方されており、これはHIVが広く認知される前、PCPの患者がまとまった数発生していた・・・という話。薬の売れ行きが語る感染症。

(オランダのように、インフルエンザかなと思ったら寝て治す。受診しない、処方されない、疫学データにあがあらないような国ではつかえないですが~)
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