良い質問を頂きましたので、香坂先生に御回答頂きました。
質問:
心電図スクリーニングに対するさまざまなガイドラインの考え方というところで、米政府予防医学作業部会ガイドラインやカナダ定期健康診断作業部会ガイドラインでは、「スクリーニングを行うことを推奨しないと表記されている」とのことですが、そういった推奨となった背景につきまして、ご存じでしたらご教示いただきたく存じます。
回答:
大規模コホートの研究成果等により、心電図所見が従来からの古典的な危険因子をうわまわる予後規定因子となっていないことがその大きな理由です。また、よくみられる左心肥大や脚ブロック心電図の所見に有効な「介入」がしにくいというところもスクリーニングを難しくしています(むしろ余計な検査や手技が増えるだけという報告が多い)。高齢者の心房細動のスクリーニングが有望だと考えられていますが、現在のところ講演中に紹介させていただいた通りRCT を行っても決定的な結果をもたらさなかったため、現在はまだ様子見という状況です。