感染症診療の原則

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高齢者施設とインフルエンザ

2012-02-02 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
集団生活ではもともと感染症は広がりやすいことがわかっています。

シーズン中は特にこれといったリスクがない人でも感染することのあるインフルエンザですが、免疫が低下しているような人たちがたくさん集まる施設ではどのようなことに注意をすればよいか(現実としてできる対応の線引きはどこか)考えてみたいと思います。

2011年12月に出た、カリフォルニア州の長期療養施設のためのインフルエンザ対策の資料をみてみましょう。

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潜伏期間は1-4日(平均2日)。
最も人に感染させやすいのは症状が出て最初の3日。
しかしウイルスそのものは症状がではじめてから7日以上たっても気道に存在します。

こどもや免疫が低下している人ではこの期間が長引きます。
つまり、インフルエンザは無症状の人からも感染します

高齢者の特徴として、もともと健康な成人とは異なり、インフルエンザの症状は典型的ではありません
精神状態の変化などで表現されることがあります。体温は平熱あるいは低い場合もあります
また、自分で明確に症状をうったえられない人も入所しています。

最も強い症状は3-7日のうちにおさまりますが、咳症状や倦怠感は2週間以上続くことがあります。

高齢者の施設には、新規入所者、外出や外泊からもどった入所者、職員、面会者からウイルスがもちこまれます。。

咳の飛沫や鼻水等に存在するウイルスは、紙や布の表面において24-48時間も感染力を失わず存在します。机の上や電話機が汚染していると考えてください。

つまり、感染は人から人へ直接的にも起こりますし、汚染された手指などから粘膜へ間接的に感染が起こる場合もあります。
部屋の中に咳をしている人がいれば感染の原因になります。

インフルエンザの対策として有効生が確認されているのは入所者と職員へのワクチン接種です。
ワクチンは100%感染を予防しませんが、発症者の重症化(合併症)や死亡、職員の欠勤を予防します

職員に対して:ワクチン接種をすすめましょう。新規入職の職員には最初の勤務までに接種をするように伝えましょう(あるいは接種証明の提出)。

入所者に対して:入所者にワクチン接種をすすめましょう。8-4月にかけて新たに入所する人には接種をしましょう。
咳症状のある人には、可能ならばマスクをつけてもらいましょう。
可能ならば症状のある人と他の人の間は3フィートあけましょう。
手洗いを励行し、難しい場合はアルコールの刷り込み製剤で手指の衛生を保ちましょう。

面会者に対して:呼吸器症状のある人は発症から5日経過しないと面会できないこと、何らかの症状のある子どもは発症から10日をすぎないと面会できないことを掲示しましょう。
インフルエンザ症状のある訪問者に対して、なぜ感染予防策が必要なのかを説明する文書を提供しましょう。
面会者に対して、咳エチケットなどの対応を明示しましょう。
面会者に対して、インフルエンザワクチンの接種をすすめましょう。
手指衛生、ティッシュ、マスクの準備をしましょう。

インフルエンザの流行期に面会をする場合は、
(1)症状がある人は、訪室の際はサージカルマスクをして口と鼻を覆いましょう
(2)咳やくしゃみはティッシュにするようにし、それはゴミ箱にすてましょう。
(3)部屋に入る前に面会者の手を清潔にし、入所者に接触する前後、退室の際にも手指衛生を保つようにしましょう。

インフルエンザ流行期には子どもの面会をすべて制限することも検討しましょう。

※その他、サーベイランスのための症例定義、ラインリスト作成のフォーマット、アウトブレイク時の対応などが掲載されています。
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対策が不備だと問題になるでしょうけれど、スタンダードプリコーションはじめ、標準的な感染対策をしている施設について、それで感染が広がっても「誰かのせい」ではありません。犯人探しや医療バッシングはやめましょう。誰にも益はありません。

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