Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

URLが変更となりました

2012-08-08 | ツイッター
教育研究活動に関するホームページのURLが変更となりました。教材,研究論文などを順次リンクしていきたいと思っております。

水圏環境リテラシー教育推進プログラムhttp://web.mac.com/hypomesus/site1/HOME.html

水圏環境教育研究室
http://web.mac.com/hypomesus/site2/HOME.html


日本水圏環境教育研究会
http://web.mac.com/hypomesus/jamee/Welcome.html

神鷹丸 気仙沼入港

2012-08-07 | ツイッター


東京海洋大学練習研究船 神鷹(しんよう)丸が気仙沼港に入港した。海洋大学海洋科学部は海鷹(うみたか)丸,神鷹丸,青鷹(せいよう)丸,ひよどりの4隻を所有しているが,海鷹丸は南極,ひよどり,青鷹丸は東京湾周辺,そして神鷹丸は日本の沿岸を主に航海する。今回の神鷹丸は,日本一周クルーズを締めくくる最後の帰港地である。

気仙沼には三陸沿岸域の復興研究の拠点としてサテライトが設置されている。
気仙沼にサテライトが昨年設置されて以来初めての本学練習船の入港となった。午前中は船内見学が催され,地元の鹿折小学校の生徒約50名が2班に分かれ実習中の学生たちにより案内された。

生徒さんたちは大変喜んで家族に報告したそうです。

午後1時からは船内学生教室において,地震災時に被災し,自ら船を操り九死に一生を得た経験を持つ地元の大鍋屋旅館店主から講演をいただいた。学生たちは貴重な体験に真剣に耳を傾けていた。

「皆さん,自分の船がもし津波に巻き込まれたらどうしますか?私は,この津波で船長として3つの決断に迫られた。1回目は,自分の船を海に出す時,2回目は,巨大津波に立ち向かう時,3回目は気仙沼湾内に広がった火災に封じ込まれたとき。その時の判断は何が正しいかわからない。もし,気仙沼湾のことを知らなければ助かっていなかったでしょう」

夕方からは,本学同窓会楽水会気仙沼支部の皆様との交流会が開かれた。この交流会では,地元気仙沼の会社経営者やOBの気仙沼市長も駆けつけ,大学に対する強い期待を寄せていただいた。地元の期待に応えるよう取り組んでいきたいと決意を新たにした。


水圏環境リテラシー学実習

2012-08-02 | 水圏環境教育


水圏環境リテラシー学実習が千葉県館山市にある坂田ステーションにて始まった。坂田ステーションは研究施設であり,潜水による魚類生態学,バイオテクノロジー等の最先端の研究を行っている。宿泊施設,講義室,前浜,館山湾を利用して本実習が行われている。

アオリイカの卵を発見しました。

この実習では,スノーケリング,磯観察,シーカヤックのトレーニングを通して,水圏環境リテラシー基本原則をもととした自然観察ガイドや科学コミュニケーターとして活躍する素地を養う。ここで学ぶ海に対する見方は2つある。

1つは海と人間を一体化する見方である。本来,私たち人類と海との関わりは深い。海は食の恵みを与えてくれる。魚食文化は我々日本人にとってなくてはならない。また,海は航路である。古代より,人類は船で世界中を航海してきた。5万年前にアフリカを出発した祖先は船を使って世界各地に分布を広げた。海は人間生活の一部なのである。体験を通して海とふれあうことで,私たちの祖先の考え方に触れ,人類がいかに海との関わりの中で生活を繰り広げてきたかを体験的に学んでいく。

2つめは,海を客体化する見方である。客体としてとらえるとは,海の環境を客観的にとらえることである。波,風,潮流はどのようになっているのか,沿岸部の地形はどうなっているのか等を陸上から,そして海の上から,海の中から客観的に認識し,議論する。

前者は伝統的なものであり,本来私たちの日常生活にも密接に関わるものである。海に出て体験することで理解が進む。一方で,2つめの見方は前者に比較すると難しい。客観的に自然をとらえることが我々日本人は生活の中であまり行っていない。自然を客観的にとられるのは非日常であり,それは科学者や専門家の仕事である。そもそも,学校教育において客観的に自然をとらえるとはどういうことか,が十分に教えられていない。むしろ,余計なものとして扱われる(育成するには大変な労力を要する)。客観的に自然をとらえるということは,科学的に自然を観察するということである。

自然を客観的に見ることで科学が進歩したことは承知の事実である。そして現代社会も細分化され,それぞれの分野は飛躍的に発達した。しかしながら,細分化し発達したものは統合することが大変難しい。それは,海洋の分野でも同じである。海洋化学,海洋物理学,水産学,等々専門分野が多岐にわたり交流が難しくなり,本来海を理解するために始まった学問が,さらに混沌とした世界を作り上げていく。本来の海の姿が見えなくなってしまう。

かといって,一体化することだけでは,そもそも科学は発達しないし,科学を理解することができない。一体化と客体化の両面を兼ね備えたリーダーがこれからの時代に求められる。