Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

3 水産教育は水産業とどうかかわるのか?

2010-02-27 | 水圏環境リテラシープログラム
3 水産教育は水産業とどうかかわるのか?

 水産教育は高等学校における職業教育であるということを理解した。すなわち水産教育は水産業に人材を輩出するための専門的機関である。しかしながら,年々水産高校の卒業生は減っている。その理由は,水産業界が受け皿になり得ない状況が生じてきたためである。

 確かに,全ての生徒が水産業界に就職できないというわけではなく,水産高校卒業の約1割程が専門的な職業に従事していることは事実である。

 しかしながら,就職したくても就職できない,あるいは就職は別の業界へといった例が残りの9割を占めることになる。

 水産高校は職業教育が目的であるはずであるにもかかわらず,そのほとんどが水産業界に就職しておらず,別の業界へ就職するという状況が生じている,受け皿になり得ていないという事実は,水産業と水産教育との関わりを考えていく上で大切なポイントである。

 水産業界が水産教育の完全な受け皿になり得ないという事実の中で,水産教育から水産業へフィードバックできるものはあるのだろうか?

 水産教育から水産業へのフィードバックは可能であると私は確信している。すなわち,水産教育によって新しい分野を開拓できる可能性がある,ということである。確かに,水産業界は水産教育の受け皿であるという観点からすると,先は見えない。しかし,水産教育に新しい分野の創出をゆだねるという観点からみると,そこには新しい可能性が秘めている。

 つまり,水産業界は水産教育の受け皿であるという考えではなく,水産教育によって新しい産業分野を生み出していくという観点から水産教育を見ていく必要があろう。したがって,水産教育からのフィードバックを考えたときに,水産教育というそのものの定義,そして水産業界を受け皿にするという固執した考えを払拭し,もう一度最初からやり直すことが必要だ。それは,あたかも100年以上の歴史のある水産教育が原点において行ってきたことと同様のことをやればいいのである。

 以上見てきたが,水産教育は新しい産業分野を作っていくものであるというスタート地点に立ち返り,議論を進めていく必要があろう。

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